ガソリン 自動車用ガソリン

ガソリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/29 05:00 UTC 版)

自動車用ガソリン

自動車用ガソリンはの低温の中でもエンジンが始動し、暑さでもパーコレーションを起こさず、また、腐食性などがないことが要求される。

一般にはガソリンスタンドで販売される。日本の商慣行では、重量でなく体積を単位として取引される。このため猛暑で在庫ガソリンの体積が膨張すると、収益面で売り手が有利になる(寒冷期は逆)[15]

規格

欧米

ヨーロッパ規格ではEN228、アメリカ合衆国ではアメリカ材料試験協会のASTM D439で基準が設けられている[14]

アメリカ合衆国で販売されるガソリンは、品質により、一般ガソリン(conventional)、含酸素ガソリン(oxygenated)、RFG(reformulated、リフォーミュレーテッドガソリン、改質ガソリン)に分けられる[16]。含酸素ガソリンは含酸素化合物を酸素量換算で2.7Wt%(重量%)以上混合したガソリンをいう[16]。また、RFGは含酸素化合物を最低2.0Wt%混合したガソリンをいう[16]

日本

日本産業規格ではJIS K 2202によって規格化されている[1]

アンチノック性による分類

ヨーロッパ

ヨーロッパ規格(EN228)では、アンチノック性の下限値95/85(RON/MON)の基準を満たすガソリンをプレミアムガソリンとして販売し、レギュラーガソリンと区別している[17]。さらに、アンチノック性の下限値が98/88(RON/MON)の基準を上回るものは、スーパープラスという[17]

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国で販売されるガソリンは、オクタン価により、レギュラー(regular、オクタン価87)、中間グレード(midgrade、オクタン価89)、プレミアム(premium、オクタン価91以上)に分けられる[16]

日本

日本ではアンチノック性が大きい高オクタン価ガソリンは「ハイオク」や「プレミアム」と呼ばれ、レギュラーガソリンは単に「ガソリン」または「レギュラー」などと呼ばれている。

ハイオクガソリンは各社で差別化を図るために商標が与えられ、ハイオク仕様車が登場するまでは大々的な宣伝活動が行われていた。一部の元売会社ではレギュラーガソリンにも商標が与えられていることがある。(出光興産の「赤アポロガソリン」や「出光ゼアス」、旧・日本石油の「日石シルバーガソリン」など)

有鉛ガソリンと無鉛ガソリン

の含有量が一定基準以下のガソリンを無鉛ガソリン、その基準を満たさないものを有鉛ガソリンという。

古くはノッキング防止と動弁系部品の減摩剤として、テトラエチル鉛を添加した有鉛ガソリンが自動車用ガソリンとして使われていたが、鉛の毒性を理由とする無鉛化の動きにより規制された。

日本では1987年(昭和62年)までに完全無鉛化され[18]、公道を走る自動車のガソリンは全て無鉛ガソリンになっている。

ヨーロッパ規格(EN228)では、2000年以降、ガソリンの鉛最大含有量は5 mg/lとされ、その基準を満たさないガソリン(有鉛ガソリン)の販売は禁止されている[14]。また、ガソリンに含有するベンゼンの有害性から、無鉛ガソリンではベンゼンの上限値も設けられるようになった。日本国内で、市販自動車用ガソリンとして低ベンゼン製品の販売を最初に開始したのは出光興産で、その後、他社も追随するようになった。2000年からはベンゼン含有量1容量 %以下の製品が出荷されてきている[18]。ヨーロッパ規格(EN228)では、ベンゼンの上限値は1vol %(体積比)とされている[17]


  1. ^ a b c d e f g h i 危険物ガソリンについて! (PDF) 小林物産
  2. ^ 身近な危険物の火災、その消火方法 (PDF) - 消防庁
  3. ^ 元科学捜査官「ガソリンで短時間に高温か 逃げるのは困難」 - NHK
  4. ^ 工藤章, 「三国同盟と人造石油 : 日独経済・技術協力をめぐって」『社会経済史学』 55巻 5号 1989年 p.555-580,712, doi:10.20624/sehs.55.5_555
  5. ^ a b c 藤元薫, 「合成ガスから液状炭化水素の合成」『有機合成化学協会誌』 41巻 6号 1983年 p.532-544, doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.41.532
  6. ^ a b c d e 乾智行, 「秘話人造石油 : 鉄からゼオライトへ(化学への招待)」『化学と教育』 37巻 3号 1989年 p.282-285, doi:10.20665/kakyoshi.37.3_282
  7. ^ 三輪宗弘, 「海軍の技術選択の失敗 : 航空機用ガソリンと石炭液化」『第5回シンポジウム「日本の技術革新―経験蓄積と知識基盤化―」研究論文発表会論文集』 特定領域研究「日本の技術革新―経験蓄積と知識基盤化―」総括班 2010年 p.27-30, NAID 120006654598
  8. ^ 大塚博, 富田宣, 「(233)フィッシャー法合成ガソリンの成分分析に就て」『工業化学雑誌』 44巻 9号 1941-1942年 p.746-747, doi:10.1246/nikkashi1898.44.9_746
  9. ^ 三井啓策, 「旧海軍燃料廠におけるベルギウス法の研究と結果」『燃料協会誌』 54巻 10号 1975年 p. 846-856, doi:10.3775/jie.54.10_846,
  10. ^ 石川勇, 「石炭液化反応器へのRI技術の応用」『RADIOISOTOPES』 45巻 5号 1996年 p.349-350, doi:10.3769/radioisotopes.45.349
  11. ^ 乾智行, 萩原隆, 武上善信, 「修飾したメタノール合成触媒とZSM-5ゼオライトからなる複合触媒による合成ガスからの選択的炭化水素合成」『石油学会誌』 27巻 3号 1984年 p.228-235, doi:10.1627/jpi1958.27.22
  12. ^ 藤元薫, 「稼動を始めたニュージーランド合成ガソリンプラント」『燃料協会誌』 66巻 1号 1987年 p.2-12, doi:10.3775/jie.66.2
  13. ^ a b 石油の種類について (PDF) 沖縄県
  14. ^ a b c ロバート・ボッシュ著、小口泰平監修『ボッシュ自動車ハンドブック第2版』シュタールジャパン、2003年、235頁
  15. ^ 猛暑、燃料商社に恩恵/ガソリンの体積が膨張/入荷時よりかさ増え利益 『日本経済新聞』朝刊、2018年8月16日(マーケット商品面) 2018年8月16日閲覧。
  16. ^ a b c d e 米国におけるガソリンの需給動向 (PDF) 一般財団法人日本エネルギー経済研究所 2004年10月
  17. ^ a b c ロバート・ボッシュ著、小口泰平監修『ボッシュ自動車ハンドブック第2版』シュタールジャパン、2003年、236頁
  18. ^ a b 燃料油の品質規制と対応の経緯 (PDF) コスモ石油
  19. ^ セスナ172P | Alpha Aviation
  20. ^ セスナ172型ディーゼル・エンジン搭載機耐空検査に合格 | Alpha Aviation
  21. ^ a b 国際先端テスト関連資料 (PDF) 総務省消防庁 2013年6月
  22. ^ 特許庁ホームページ - 鉛-錫合金めっき代替の鉛フリーめっき
  23. ^ 不正ガソリン製造・販売で罰金 三重の業者、灯油混ぜる」『日本経済新聞日本経済新聞社、2016年2月15日。
  24. ^ 多用途での活躍が期待される新型双発機 - JGAS AVIATION BLOG






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