オラフ・ステープルドン オラフ・ステープルドンの概要

オラフ・ステープルドン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/25 17:50 UTC 版)

経歴

イギリスリヴァプールの南のウィラルで生まれ、6歳までは父親の赴任先であるエジプトポートサイドで過ごした。オックスフォード大学ベイリオル・カレッジで近代史を学ぶ。第一次世界大戦では救急部隊に所属。1920年リヴァプール大学で哲学の博士号を取得、その後、英文学、哲学、心理学の講師を務めるなどした。1919年に従姉妹のアグネスと結婚。

1930年に発表した『最後にして最初の人類』で小説家として認められた。1948年にはポーランドで開かれた「平和のための世界識者会議」に出席。同年、英国惑星間協会でアーサー・C・クラークの招待を受け講演した。

1950年9月6日に、冠状動脈閉塞で死去した。 夫人との結婚前のラブレターの他、作家のH・G・ウェルズ、ナオミ・ミッチソン、ヴァージニア・ウルフアーサー・ケストラーオルダス・ハクスリー、哲学者のバートランド・ラッセルらとの書簡も残されている。

2001年に、第1回コードウェイナー・スミス再発見賞を贈られた。

作品

長編小説『最後にして最初の人類英語版』は人類の20億年に渡る未来を描いた作品で、当時無名でありながらも高い評価を得た。ちなみにこの時まで、ステープルドンはほとんどSF小説を読んだことがなかったという。

続いて1937年に発表した『スターメイカー英語版』は、さらに宇宙規模のスケールを拡大した幻視的な作品で、第一次大戦後の次の戦争の危機が忍び寄る時代を背景に、平和への思いとその観念的な解決を遠未来から俯瞰して見せ、そのあまりに冷たく美しいヴィジョンによりブライアン・オールディスによって「堪えがたいほど壮麗な作品」と評された。ホルヘ・ルイス・ボルヘスはスペイン語版の解説で、文学の新しい形態である「科学的な性格を持つ寓話あるいは空想譚」のうち、ポーはその両者に取り組み、ステープルドンは両者を結合させたと述べ、また「世界の複数性とその劇的な歴史の、蓋然性と信憑性を備えた表現でもある」と評している[1]。また物理学者フリーマン・ダイソンは、ダイソン球を始めとする宇宙文明に関するアイデアを『スターメイカー』から得たとしている。

他に代表的なSF小説として、現代に現われた超人類を描いた『オッド・ジョン』、人間と同等の知能を持った犬の物語『シリウス』がある。どの作品においても、人類の未来についての深い洞察が込められている。 存命中に最も売れた本は、素人向けの哲学の歴史と実践のための入門書"Philosophy and Living, 2 volumes"だという。

作品リスト

小説

  • 最後にして最初の人類 (Last and First Men) 1930年
  • (Last Men in London) 1932年
  • オッド・ジョン (Odd John) 1935年
  • スターメイカー (Star Maker) 1937年
  • (Darkness and the Light) 1942年
  • シリウス (Sirius) 1944年
  • (Death into Life) 1946年
  • (The Flames) 1947年
  • (A Man Divided) 1950年

評論など

  • (A Modern Theory of Ethics: A study of the Relations of Ethics and Psychology) 1929年
  • (Waking World) 1934年
  • (Saints and Revolutionaries) 1939年
  • (New Hope for Britain) 1939年
  • (Philosophy and Living, 2 volumes) 1939年
  • (Beyond the "Isms") 1942年
  • (Youth and Tomorrow) 1946年

翻訳

映画化

  • 最後にして最初の人類 (映画)英語版

  1. ^ 内田兆史訳「オラフ・ステイプルドン『スターメイカー』」(『序文つき序文集』国書刊行会 2001年)


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