オクトパス・ガーデン オクトパス・ガーデンの概要

オクトパス・ガーデン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/12 17:32 UTC 版)

ビートルズ > 曲名リスト > オクトパス・ガーデン
オクトパス・ガーデン
ビートルズ楽曲
収録アルバムアビイ・ロード
英語名Octopus's Garden
リリース1969年9月26日
録音
ジャンルカントリーロック[1]
時間2分51秒
レーベルアップル・レコード
作詞者リチャード・スターキー
作曲者リチャード・スターキー
プロデュースジョージ・マーティン
アビイ・ロード 収録曲
オー!ダーリン
(A-4)
オクトパス・ガーデン
(A-5)
アイ・ウォント・ユー
(A-6)

背景

「オクトパス・ガーデン」の歌詞の原案は、スターが1968年にサルデーニャ島で休暇を過ごしていた時にピーター・セラーズから聞いた話に由来している[2]。スターはその日の昼食にフィッシュ・アンド・チップスを注文したが、魚の代わりにイカが出された。その時セラーズは、海の底を動き回りら光沢のある石やブリキやビンなどを探して、自分達が暮らす洞窟の前に飾るというタコの習性について話した[3][2]

1969年1月より開始されたゲット・バック・セッションに向け、スターは本作と「テイキング・ア・トリップ・トゥ・キャロライナ」、「ピカソ」の3曲のスケッチを提出した[4][2]。同年1月26日にアップル・スタジオで行われたセッション時に、スターはハリスン、グリン・ジョンズジョージ・マーティンの3人に既に完成していた曲の一部を聴かせた。曲を気に入ったハリスンは、アコースティック・ギターで伴奏しながら、様々な提案をした[2]。このことについて、スターは「ヴァースとサビは問題ないけど、僕は絶対に曲を仕上げられなかった。ジョージが代わりに仕上げてくれたんだ。僕は3つのコードを弾くだけだった。それしか弾けなかったからね。ジョージが経過のコードを入れると、その数が10に増えて、僕は天才のような感じになった」と振り返っている[2]。映画『レット・イット・ビー』にも、この時の模様が収録されており、この最中にスタジオに入ってきたジョン・レノンドラムを演奏する場面も含まれている[5]

1969年9月の取材で、「子供にすごく受けるのでは?」という質問に対して、ハリスンは「何人かの大きな子供たちからも、この曲がアルバムで一番のお気に入りと聞いている。つまり、大抵の人達は『ああ、リンゴの曲か』となるんだけど、リンゴがこの曲をやったのは素晴らしいことだと僕は思ってる。すごくカントリー&ウエスタンっぽくって、ハッピーな曲だ」と答えており[6]、「resting our head on the sea bed(海の底を枕代わりにして)」と「We would be warm below the storm(嵐が来たって暖かい)」というフレーズがお気に入りであると語っている[2]

レコーディング

「オクトパス・ガーデン」のレコーディングは、1969年4月26日にEMIレコーディング・スタジオのスタジオ2で開始された。8トラック・レコーダーのトラック1にポール・マッカートニーベース、トラック2にスターのドラム、トラック3にハリスンのリードギター、トラック4にレノンの指弾きによるリズムギター、トラック8にスターのボーカルが録音された[2]。レコーディング初日には歌詞が完成していたが、テイク23では「his little hideaway in a cave(洞窟の中の小さな隠れ家)」と韻を踏むために、「Octopus's garden in his grave(彼の墓の中のタコさんの庭)」と歌われている[2]。同日は32回録音され、最終テイクとなるテイク32が、オーバー・ダビング用のマスターに採用された[2][7]

4月29日にスターのリード・ボーカルがダブルトラックになり、マッカートニーのピアノを追加した後に4種類のステレオ・ミックスが作成された[2]

7月17日にテイク32に対して、コンプレッサーリミッターの処理が施されたコーラスと、「イエロー・サブマリン」でも聴けるコップの水をストローで泡立てた音が加えられた[2]

最終段階で8トラック・レコーダーのトラック1にマッカートニーのベース、トラック2にスターのドラム、トラック3に効果音、トラック4にピアノの低音部とこれをなぞったギター、トラック5にタムタムとバッキング・ボーカル、トラック6に追加のバッキング・ボーカルとオーバー・ダビングされたリードギター、トラック7にピアノとリードギター、トラック8にリズムギターが収録された[2]

本作が完成した後に、試験的に7種類のモノラル・ミックスが作成されたが、いずれも未発表となっている。また、ステレオ・ミックスについても、現存しているのはマスターのみとなっている[2]


注釈

  1. ^ 本名のリチャード・スターキー名義。

出典

  1. ^ Halpin, Brooke (2017). Experiencing the Beatles: A Listener's Companion. Rowman & Littlefield. p. 104. https://books.google.co.jp/books?id=P5MtDwAAQBAJ&pg=PA104&dq=Octopus%27s+Garden+country&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwis36ePu9PsAhVF-WEKHWKpAgAQ6AEwAnoECAAQAg#v=onepage&q=Octopus's%20Garden%20country&f=false 
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q Abbey Road 2019, p. 8.
  3. ^ The Beatles 2000, p. 312.
  4. ^ Everett 1999, p. 234.
  5. ^ Spizer 2003, p. 166.
  6. ^ Kahn 2020, p. 89.
  7. ^ Lewisohn 2004, p. 174.
  8. ^ Ward, Thomas. Octopus's Garden - The Beatles | Song Info - オールミュージック. 2020年9月8日閲覧。
  9. ^ Gundersen, Edna (2006年11月13日). “A likely lament: 'You can't do that to The Beatles”. USA Today (Gannett). オリジナルの2012年10月25日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20121025005818/http://usatoday30.usatoday.com/life/music/news/2006-11-13-beatles-cover_x.htm 2018年11月1日閲覧。 
  10. ^ Party Gras! - Sebastian | Songs, Reviews, Credits - オールミュージック. 2020年9月8日閲覧。
  11. ^ The Michigan Journal (University of Michigan-Dearbom) 26 (3): 11. (1996). 
  12. ^ CollegeHumor (4 August 2009). Ringo Wants to Sing More (Music Video). 2020年9月8日閲覧
  13. ^ a b “リンゴ・スター、「オクトパス・ガーデン」が未発表ヴァージョンの曲入り絵本に”. BARKS (ジャパンミュージックネットワーク). (2013年6月13日). https://www.barks.jp/news/?id=1000091247 2020年9月8日閲覧。 
  14. ^ a b なごむ! リンゴ・スターの絵本『タコくんのおにわ』12月に刊行”. OTOTOY. オトトイ (2014年10月10日). 2020年9月8日閲覧。


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