イデアルの根基
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/30 00:37 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動ここで定義された根基イデアルは、半素環の記事において非可換環に一般化される。
定義
可換環 R のイデアル I の根基は、Rad(I) または と表記され、
と定義される。
直感的には、I の根基は I の元のあらゆるベキ根を取ることで得られると考えられる。同じことだが、I の根基はベキ零元からなるイデアル(冪零イデアルと呼ばれる)の における逆像である[1]。後者は はそれ自身イデアルであり、 I を含むことを示している。
I の根基が有限生成ならば、 を何乗かすると I に含まれる[2]。とくに、I と J がネーター環のイデアルであれば、I と J が同じ根基をもつことと、I が J のあるベキを含み J が I のあるベキを含むことは同値である。
イデアル I が自分自身の根基と一致すれば、I は根基イデアルまたは半素イデアルと呼ばれる。
例
整数環 Z を考える。
- 4の倍数のイデアル 4Z の根基は 2Z である。
- 5Z の根基は 5Z である。
- 12Z の根基は 6Z である。
- 一般に、mZ の根基は rZ である。ただし r は m のすべての素因数の積である(radical of an integer を参照)。実はこれは任意のイデアルに一般化される(性質を参照)。
準素イデアルの根基は素イデアルである。イデアル I の根基が極大であれば、I は準素である[3]。
I がイデアルであれば、 である。素イデアルは根基イデアルである。よって任意の素イデアル P に対し である。
I, J を環 R のイデアルとする。 が comaximal であれば、 も comaximal である[4]。
M をネーター環 R 上有限生成加群とする。このとき
が成り立つ[5]。ただし は M の台で、 は M に伴う素イデアルの集合である。
- 1 イデアルの根基とは
- 2 イデアルの根基の概要
- 3 性質
- 4 参考文献
- 5 関連項目
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