エティック
エティック【etic】
読み方:えてぃっく
言語学や文化人類学などで、ある現象を分析する方法の一つ。外部の観察者の視点から客観的に分析を行うもので、アメリカの言語学者K=L=パイクによって提唱された。phonetic(音声学の)という語の後の部分を取って作られた言葉で、emicと対をなす。→イーミック
エティック【ETIC】
エティックとエミック
(エティック から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/05/31 18:05 UTC 版)
エティックとエミック(英語: Etic and emic)は、言語学・文化人類学などにおける視点の区分である。ケネス・リー・パイクにより、「phonetic(音声論的)」と「phonemic(音素論的)」から造語された。後者は英語読みに合わせてイーミックとも表記される。ある対象を研究者により先に設定された分析基準にもとづいて理解することをエティックな立場、内側から対象そのものの分析基準にもとづいて理解することをエミックな立場と呼ぶ[1]。
学史
エティックとエミックの概念を提唱した。
エティック・エミック概念の導入は、アメリカの言語学者であるケネス・リー・パイクにより行われた。パイクは1950年代、言語学とそれ以外の文化研究が分離されている状況を批判し、両者を包括的に取り扱うための方法論を見出そうとした[2]。
パイクは言語学における音声・音素の区別をより広い範疇に導入すべく、「phonetic(音声論的)」と「phonemic(音素論的)」から接頭辞「phon-(音の)」を取り去った語として「etic」「emic」を造語した。音声論においては国際音声記号などを利用し、通言語的な基準を用いて音声を記述する一方、音素論においては異なる音声でも、話者自身が区別しないものについてはひとまとめに扱う。これを拡張し、パイクは一般化された基準にもとづく調査研究をエティックなアプローチ、内在的な基準にもとづく調査研究をエミックなアプローチと呼称した[2][3]。
人類学者のマーヴィン・ハリスはパイクのエティック・エミック概念を援用しながら、より科学的方法論に近いエティックな立場を重視する文化唯物論を擁護したが、一方でパイクはあくまでエティックな視点とは科学者コミュニティにおけるエミックな視点にすぎないと反駁した。ハリスの死後「エティック」という用語が人類学において重視されることは少なくなり、エティックな方法論を採用する研究者もこの語を用いることはほとんどなくなった。また、「エミック」も、人類学者の研究対象の慣習・視点について論じる際に補助的に用いられる程度となった。宗教学における宗教認知科学など、エティックな方法論を重視する研究自体はその後も継承され続けている[2]。
出典
- ↑ 祖父江孝男『文化人類学入門』(kindle)中央公論社〈中公新書 ; 560〉、1991年11月、118-119頁。doi:10.11501/13181006。 ISBN 978-4-12-190560-4。
- 1 2 3 Mostowlansky, Till; Rota, Andrea (2020-11-29). “Emic and etic” (英語). The Open Encyclopedia of Anthropology. doi:10.29164/20emicetic.
- ↑ 吉田集而「エティックとエミック」『現代の人類学 3』至文堂、1984年2月、62-77頁。 doi:10.11501/12144597。
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