球面三角法
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/05/18 03:27 UTC 版)

球面三角法(きゅうめんさんかくほう、英: spherical trigonometry)とは、いくつかの大円で囲まれた球面上の図形(球面多角形、とくに球面三角形)の辺や角の三角関数間の関係を扱う球面幾何学の一分野である。 球面上に2点A,Bがあるとき、この2点と球の中心を通る平面で切断したときの断面に現れる円が大円であり、このときの大円上の弧ABを球面多角形においては辺と呼ぶ。 通常、球の半径は1とするので、辺の長さはその辺を含む大円における中心角の弧度法表示と一致する。 平面三角法では6つの要素のうち3つの要素が決定されれば、残りの3つの要素を求めることができる。球面三角法でも同様に、3つの要素が分かれば残りの3つの要素を求めることができる[1]。
球面三角法は、主に天文学や航海術で利用されてきた。現在では電子計算機の発達により、より簡潔に式を表すことができる行列を使用した座標変換に計算方法が移行している[2]。
球面三角法の基本公式
ABC を球面三角形とし辺 BC, CA, AB の長さをそれぞれ a, b, c とする。弧 AB を含む大円が乗る平面と弧 AC を含む大円が乗る平面のなす角を A とする。これは、点 A における2つの大円の接ベクトルのなす角ともいえる。ただし、a と一致するとは限らない。同様に B, C も定義する。 このとき、次の式が成り立つ。
球面三角法の余弦定理
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ネイピアの円と直角球面三角形 右図をネイピアの円という。
球面三角形 ABC の極三角形 A'B'C' 一般に、大円の平面に垂直な直径の両端をその大円の極という。右図において球面三角形ABCの1つの辺BCを考えると、それには2つの極があるが、そのうち辺BCから見てAと同じ側にあるほうをA'とする。同様に辺CA, ABについても極B', C'を定めることができる。このようにして得られた3点A', B', C'を結んで新しい一つの球面三角形A'B'C'が得られる。これを元の球面三角形ABCの極三角形という。
球面三角形A'B'C'が球面三角形ABCの極三角形であるならば、逆に球面三角形ABCは球面三角形A'B'C'の極三角形である。また今、球面三角形A'B'C'が球面三角形ABCの極三角形であるとし、その三辺、三角をそれぞれa', b', c'、A', B', C'で表すと、a, b, c、A, B, Cとの間には次のような関係がある[注釈 1]:
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