認識論理
(epistemic logic から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/23 15:57 UTC 版)
![]() | この記事には参考文献や外部リンクの一覧が含まれていますが、脚注による参照が不十分であるため、情報源が依然不明確です。 |
認識論理(にんしきろんり、英: Epistemic logic)は、様相論理の一種であり、知識についての推論を扱う。認識論は古代ギリシアにまで遡る哲学の主題の1つだが、認識論理は比較的最近のもので、哲学、理論計算機科学、人工知能、経済学、言語学など多数の分野に応用されている。アリストテレス以来、哲学者は様相論理を論じ、オッカムやドゥンス・スコトゥスがそれを発展させてきたが、認識論理を初めて体系的に定式化したのは C.I. Lewis であった(1912年)。その後発展していき、1963年にソール・クリプキによって今の形式が完成された。
1950年代には知識を扱う論理体系に関する論文が多数書かれたが、その元となったのは1951年に Georg Henrik von Wright が書いた論文 An Essay in Modal Logic である。1962年には、ヤーッコ・ヒンティッカの Knowledge and Belief が発表された。これは、知識の意味論を様相性で捉えることを示唆した最初の書籍である。これはそれまでの先人の築いたものの上に成り立っていたが、研究が本格化したのはこれ以降であった。例えばその後、認識論理に動的論理の考え方を導入することで公開的告知の論理 (public announcement logic) や product update logic が生まれ、会話における認識の微妙な点をモデル化しようとした。
標準可能世界モデル
知識をモデル化しようとする試みの多くは可能世界モデルに基づいている。そのためには、可能世界をエージェントの持つ知識と一致するものと一致しないものに分ける必要がある。本項目では論理に基づくアプローチを論じるが、もう1つ重要な手法として事象に基づくアプローチがある。その場合、事象は可能世界の集合であり、知識は事象に対する作用素である。2つのアプローチは戦略的には密接に関連するが、以下の2点が重要な違いとなっている。
- 論理に基づくアプローチを支える数学的モデルはクリプキ構造だが、事象に基づくアプローチの場合はオーマン構造が関連する。
- 事象に基づくアプローチでは論理式は全く使われないが、論理に基づくアプローチでは様相論理の体系を使う。
一般に論理に基づくアプローチは哲学・論理学・人工知能で使われ、事象に基づくアプローチはゲーム理論や数理経済学で使われる。論理に基づくアプローチでは、以下で示すように、統語論と意味論は様相論理の言語を使って構築される。
統語論
認識論理の基本の様相作用素は、通常 K と表記され、「-ということが既知である」、「-ということが認識論的に必須である」、「-でないということは既知のことと一致しない」と解釈される。知識を表現すべきエージェントが複数存在する場合、作用素に添え字を付与し(
「epistemic logic」の例文・使い方・用例・文例
- epistemic logicのページへのリンク