Vs 上のユニタリ表現に関する問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/10 05:04 UTC 版)
「スピン角運動量」の記事における「Vs 上のユニタリ表現に関する問題」の解説
軌道角運動量演算子が L 2 ( R 3 ) {\displaystyle L^{2}(\mathbf {R} ^{3})} 上の「無限小回転に対する演算子」として定義可能であったのと同様、スピン角運動量演算子は Vs に対する無限小回転に対する演算子として定義する事ができる。しかしながら、軌道角運動量演算子の定義における L 2 ( R 3 ) {\displaystyle L^{2}(\mathbf {R} ^{3})} を単純に Vs に置き換えただけではスピン角運動量演算子は定義できない。これは次の理由による。 軌道角運動量演算子の場合、3次元回転行列群 SO(3) の L 2 ( R 3 ) {\displaystyle L^{2}(\mathbf {R} ^{3})} 上のユニタリ表現 λ ( R ( t ) ) : L 2 ( R 3 ) → L 2 ( R 3 ) , ϕ ( x ) ↦ ϕ ( R ( t ) − 1 x ) {\displaystyle \lambda (R(t))~:~L^{2}(\mathbf {R} ^{3})\to L^{2}(\mathbf {R} ^{3}),~~\phi ({\boldsymbol {x}})\mapsto \phi (R(t)^{-1}{\boldsymbol {x}})} を t に関して微分する事で軌道角運動量演算子を定義していた。 したがって軌道角運動量演算子の定義において単純に L 2 ( R 3 ) {\displaystyle L^{2}(\mathbf {R} ^{3})} を Vs に置き換えてスピン角運動量演算子を定義しようとすると、SO(3) の Vs 上のユニタリ表現が必要となる。しかしながら、そのような表現は常に存在するわけではないことが知られている:p375 Thm 17.10: 定理1 ― 次が成立する: sが整数の場合、SO(3) の Vs 上の既約なユニタリ表現が(同型を除いて一意に)存在する。 s が整数でない半整数の場合、SO(3) のVs 上の既約なユニタリ表現は存在しない。 すなわち上述した方法論では、s が半整数の場合に対してスピン角運動量演算子を定義する事ができない。この問題の解決方法は2つあり、後述するように2つは本質的に同値である。
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