Spring (一般社団法人)とは? わかりやすく解説

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Spring (一般社団法人)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/26 07:17 UTC 版)

一般社団法人Spring
創立者 山本潤[1][2]
団体種類 一般社団法人
設立 2017年7月
所在地 日本 東京都千代田区平河町一丁目6番15号 USビル8階
北緯35度40分57秒 東経139度44分23秒 / 北緯35.68250度 東経139.73972度 / 35.68250; 139.73972座標: 北緯35度40分57秒 東経139度44分23秒 / 北緯35.68250度 東経139.73972度 / 35.68250; 139.73972
法人番号 4010005027117
主要人物 佐藤由紀子(前代表理事)
主眼 性暴力被害当事者を中心とした活動、刑法性犯罪規定見直し
活動内容 ロビー活動、啓発活動、調査研究
従業員数 17人
会員数 180人
ウェブサイト 公式ウェブサイト
2023年9月時点
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Spring(スプリング)は、東京都千代田区に拠点を置く一般社団法人[3]性被害当事者を中心として活動する団体であり[4][5]性犯罪刑法のさらなる見直しや当事者が生きやすい社会をつくることを目的として2017年7月に設立された[6][7]。団体の名称には「性被害による凍りつきから動き始め、春(Spring)が訪れますように」というメッセージが込められている[7]。主な活動は、国会議員や関係省庁へのロビー活動や署名活動、啓発、調査研究である[7][8]

主な活動

刑法改正に向けた活動

Springは、2017年の刑法改正で積み残された課題を解決するため、「性被害を経験した人生を、刑法改正の社会資源にする」とのビジョンを掲げ[9][10]、「公訴時効の撤廃」「不同意性交等罪の創設」「性交同意年齢の引き上げ」など4点の要望を中心に活動を継続的に行っている[9]

2019年6月には「不同意」のみで性犯罪が成立するよう求める約4万6千人分の署名を法務相に提出した[11][12]

2023年6月の刑法改正に際しては、不同意性交等罪の創設や性交同意年齢の16歳への引き上げなどの実現に当事者団体として大きな原動力となったと評価されている[13][14][15]。初代代表の山本潤は法務省の刑事法検討会メンバーに加わった[13][16]

改正後も、公訴時効のさらなる見直し[17][18]Yes means Yes(相手の自発的な参加を確認しない性行為を処罰する)型刑法の導入[19]、トラウマ治療の普及啓発などを求めて活動を継続している[20]

調査研究・啓発活動

性被害の実態に関する大規模なアンケート調査を実施し、その結果を基に法改正の要望を提出した[21][22]

2019年に相次いだ性暴力事件の無罪判決を受け、性被害の実態調査の結果を司法関係者に示し、検討会及び法制審において心理学的・精神医学的知見が共有された[20]

略歴

2017年
  • 7月、一般社団法人Spring 設立[20]。設立のきっかけは2017年の性犯罪に関する刑法改正であり、積み残された課題解決と、当事者の声を立法の場に届けることを目指した[20][9]
  • 法務省へ「改正刑法運用に向けた要望書」を提出[official 1]
  • 量的調査の要望書を内閣府男女共同参画局へ提出[official 2]
2018年
  • 法務省「犯罪被害実態(暗数)調査」に関する意見交換会参加[official 3]
  • 英国視察実施[official 4][23]
  • 10月、法務省が設置した性犯罪に関する刑法見直し検討に向けたワーキンググループで、「Spring」メンバーが自身の被害経験を語った[24]
2019年
  • 5月、法務省および最高裁に対し、性犯罪に関する法改正を求める要望書を提出した[25][26]
  • 6月、「不同意」のみで性犯罪が成立するよう刑法改正を求める約4万6千人分の署名を法務相に提出した[11][12]
  • 12月、森まさこ大臣に刑法性犯罪の改正に向けた要望書を提出した[27]
2020年
  • 3月、「性犯罪に関する刑事法検討会」が法務省内に設けられ、Springの山本潤性暴力被害者支援看護職/SANE)理事も検討委員に加わった[28][29][13][30]。山本は、約1年にわたって検討会で弁護士や刑法学者らと意見交換を行った[6]
  • 3月、性暴力の根絶と性暴力被害者支援の運用や拡充に向けた要望書を橋本聖子内閣府男女共同参画担当相に提出した[31]
  • 11月、衆議院第1議員会館で「性被害の実態調査アンケート[32]」の結果を発表した[33][21]。また、橋本聖子男女共同参画相に被害の実態に即した刑法改正、性教育・人権教育の充実などを求める要望書を手渡した[21]
2023年
  • 6月、性犯罪規定を改正する刑法が成立した際、不同意性交等罪の創設や性交同意年齢の16歳への引き上げなどの実現に当事者団体として大きく貢献したと評価された[14][15]
  • 11月、第38回東京弁護士会人権賞に選出された[34][35]。この受賞については、当該団体がSNSでリコールに抗議するフラワーデモに連帯を表明していた群馬県草津町の元町議の性被害の虚偽告発が明らかとなった直後であったため、一部の弁護士から支援した団体として人権賞の趣旨に反するのではないかとの指摘がなされた[36]。虚偽告発の判明を受け、団体は同年12月に連帯撤回を表明し、当時の山本代表が「セカンドレイプの町草津」と表現したことについても、草津町町長らに対し謝罪した[37][38]。また、性暴力の虚偽の訴えは、名指しされた方に対する著しい人権侵害行為であると同時に、実際の被害の訴えを封じ込めることにつながる絶対に許されない行為であるとの見解を示した[official 5]
2024年以降
  • 不同意性交等罪の公訴時効の見直しやYes means Yes型刑法の導入のための調査、トラウマ治療の普及啓発を求めて活動している[20]

理事

  • 代表理事:田所由羽、早乙女祥子

出典

自団体資料

  1. ^ 法務省:「改正刑法運用に向けた要望書」を提出しました。”. 一般社団法人Spring (2017年7月29日). 2023年1月1日閲覧。
  2. ^ 【要望書提出】(追記)内閣府男女共同参画局へ、実態に即した量的調査実施のお願い”. 一般社団法人Spring (2017年11月17日). 2023年1月1日閲覧。
  3. ^ 法務省:犯罪被害実態(暗数)調査に関する意見交換会〜市民団体として史上初の参加!〜”. 一般社団法人Spring (2018年3月28日). 2023年1月1日閲覧。
  4. ^ 現地視察<イギリス>の記事(20件)”. 一般社団法人Spring. 2023年1月1日閲覧。
  5. ^ 草津町フラワーデモに関する当団体の見解について” (PDF). Spring (2023年12月5日). 2025年9月26日閲覧。

その他の資料

  1. ^ 性被害報道、記者は何を心がけるべきなのか?「性暴力被害取材のためのガイドブック」から考える”. Dialogue for People (2021年3月30日). 2025年9月26日閲覧。
  2. ^ (1)-「被害者の傷軽んじるな」”. 毎日新聞 (2019年6月23日). 2025年9月26日閲覧。
  3. ^ 日本版DBS成立、性被害者支援団体らは「対象の狭さ」を懸念 ベビーシッターや学習塾は任意に”. 弁護士ドットコム (2024年6月20日). 2025年9月26日閲覧。
  4. ^ 「抵抗不能」娘に性的暴行、有罪確定へ 最高裁”. 朝日新聞 (2020年11月7日). 2025年9月26日閲覧。
  5. ^ フラワーデモを記録する”. エトセトラブックス. 2025年9月26日閲覧。
  6. ^ a b 小川たまか (2021年7月27日). “性暴力の被害者団体を「インチキ」「狂信的」? 立憲民主党・本多平直議員は説明を”. Yahoo! JAPAN. 2025年9月26日閲覧。
  7. ^ a b c 一般社団法人 Spring / セルフヘルプという力”. 東京ボランティア・市民活動センター (2020年8月4日). 2025年9月26日閲覧。
  8. ^ Spring - 一般社団法人”. Syncable. 2025年9月26日閲覧。
  9. ^ a b c 内田英恵 (2023年1月28日). “同意のない性交が犯罪にならない現実――13万の署名と共に刑法改正に挑む当事者たち”. Yahoo! JAPAN. 2025年9月26日閲覧。
  10. ^ 性犯罪の刑法改正「時間切れ廃案はありえない」 当事者らが訴え「今国会で成立させて」”. 弁護士ドットコム (2023年6月2日). 2025年9月26日閲覧。
  11. ^ a b 性犯罪の刑法改正求め、4万5千人の署名提出 当事者団体「誰が見てもこの実態はおかしい」”. 弁護士ドットコム (2019年6月24日). 2025年9月26日閲覧。
  12. ^ a b 「不同意」のみで性犯罪成立 3団体、法改正求め署名提出”. 神奈川新聞 (2019年6月25日). 2025年9月26日閲覧。
  13. ^ a b c 「社会は変えられる」 声を届けるため、性暴力被害者が心がけたこと”. 朝日新聞 (2023年7月21日). 2025年9月26日閲覧。
  14. ^ a b “一般社団法人 Spring (第38回 東京弁護士会人権賞受賞)”. LIBRA 2024年6月号 (東京弁護士会). (2024年6月). https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2024_06/P20-23.pdf 2025年9月26日閲覧。 
  15. ^ a b 刑法性犯罪改正が必要だった理由〜罪と恥を加害者に返す”. 内閣府男女共同参画局 (2023年9月). 2025年9月26日閲覧。
  16. ^ 刑法性犯罪規定改正へ一歩 刑法見直す検討会設置決定 被害当事者も検討委員に”. 週刊金曜日 (2020年4月28日). 2025年9月26日閲覧。
  17. ^ 子どもへの性犯罪「証拠あっても免責される。正義あるのか」 当事者団体が「公訴時効の撤廃」うったえる院内集会開催”. 弁護士ドットコム (2025年9月2日). 2025年9月26日閲覧。
  18. ^ 性犯罪の公訴時効「撤廃か、さらなる延長を」 被害当事者らが会見”. 朝日新聞 (2023年1月26日). 2025年9月26日閲覧。
  19. ^ 沈黙はYesを意味しない 同意があると思い込んで処罰されない日本”. 朝日新聞 (2025年3月23日). 2025年9月26日閲覧。
  20. ^ a b c d e 「同意誤信」による性暴力はなくせるか SDGsジャパンと考える~危機突破のカギ【7】”. 朝日新聞SDGs ACTION! (2025年3月4日). 2025年9月26日閲覧。
  21. ^ a b c 多数は暴力伴わず 性被害 当事者団体調査 回答6000件 Spring”. しんぶん赤旗 (2020年11月21日). 2023年1月28日閲覧。
  22. ^ 性被害は「10代以下」に集中 ジャニーズ性加害問題から考える 子どもを守る「これからの教育」”. 東京新聞 (2023年10月2日). 2025年9月26日閲覧。
  23. ^ 小林恭子 (2018年7月6日). “スウェーデンで明確な同意がない性行為は違法に 「同意」の説明動画付き 日本は? ーロンドンでイベント”. Yahoo! JAPAN. 2025年9月26日閲覧。
  24. ^ 性暴力の被害届「警察が受理してくれない」 支援現場から見えた課題”. 弁護士ドットコム (2019年11月24日). 2025年9月26日閲覧。
  25. ^ 焦点:日本で相次ぐ性犯罪の無罪判決、法改正求める切実な声”. ロイター (2019年6月11日). 2023年1月28日閲覧。
  26. ^ 父親の性的虐待は、なぜ無罪になったのか  逃げ場ない被害者の心理、司法はもっと知って (1)”. 共同通信 (2019年5月30日). 2025年9月26日閲覧。
  27. ^ 小川たまか (2019年12月19日). “性暴力の被害者は笑えない? そんなわけないでしょう!”. Yahoo! JAPAN. 2025年9月26日閲覧。
  28. ^ 性犯罪に関する刑事法検討会”. 法務省. 2023年6月25日閲覧。
  29. ^ 法制審議会 刑事法(性犯罪関係)部会 第4回会議 議事録” (PDF). 法務省 (2022年1月26日). 2023年6月27日閲覧。
  30. ^ 「イエス」でなければレイプ罪 海外では被害者寄りの制度でも、日本では…”. AERA (2020年6月1日). 2025年9月26日閲覧。
  31. ^ 性暴力根絶・被害者支援を 当事者団体 刑法改正など要望 担当相「包括的に取り組む」”. しんぶん赤旗 (2020年3月25日). 2023年1月28日閲覧。
  32. ^ 15年では短すぎる!日本の性犯罪の時効”. 幻冬舎 (2024年6月6日). 2025年9月26日閲覧。
  33. ^ 性暴力、被害と認識する難しさ”. 毎日新聞 (2020年12月5日). 2025年9月26日閲覧。
  34. ^ 共同通信 (2023年11月27日). “「Spring」に人権賞 性犯罪規定改正で東京弁護士会”. ノアドット. 2024年2月28日閲覧。
  35. ^ 東京弁護士会人権賞”. 東京弁護士会. 2023年12月6日閲覧。
  36. ^ 「虚偽レイプ」訴えた元町議を支援した団体に「人権賞」、弁護士から疑問の声「趣旨に反する」 - 弁護士ドットコムニュース」『弁護士ドットコム』。2025年1月10日閲覧。
  37. ^ 「セカンドレイプの町」元草津町議の"性被害一部虚偽"で当事者団体が謝罪「多くの人を傷つける表現だった」”. 弁護士ドットコム (2023年12月6日). 2025年9月26日閲覧。
  38. ^ 草津フラワーデモへの連帯撤回”. しんぶん赤旗 (2023年12月14日). 2025年9月26日閲覧。

外部リンク




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