社会帝国主義とは? わかりやすく解説

社会帝国主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/09/12 23:31 UTC 版)

社会帝国主義(しゃかいていこくしゅぎ、英語: Social Imperialism, ドイツ語: Sozialimperialismus)とは、政治用語の一種。ヴラジーミル・レーニン(Владимир Ленин)はこの言葉について「言葉は社会主義者、実際の振る舞いは帝国主義者」と表現した[1]。「社会帝国主義者」はマルクス主義者による言葉であり、軽蔑のニュアンスを込めて用いられることが多い。差し迫った欧州戦争(第一次世界大戦)に対する国際労働者運動の立場、とりわけ、ドイツ社会民主党に関して、20世紀初頭の議論の際にマルクス主義者の間で初めて使用された。ローザ・ルクセンブルク(Rosa Luxemburg)は1915年に論考『国際社会の再構築』を執筆している[2]。この文脈では、「社会排外主義」「社会愛国主義」という用語に似通ってはいるが、同じ意味で使うことはできない。毛沢東1964年7月に論考を発表し、「帝国主義が存在する限り、社会主義諸国の無産階級労働者は、国内の有産階級に対しても、国際帝国主義に対しても立ち向かわねばならない。帝国主義は、あらゆる機会を捉えて社会主義諸国に対する武力介入を狙うか、あるいは社会主義諸国を穏やかな形で崩壊させようとするであろう。社会主義国を破壊するか、資本主義に堕落させようとして全力を尽くすであろう。国際階級闘争は、必然的に社会主義諸国の内部に反映されることになる」「ソ連共産党第22回党大会で、修正主義者であるニキータ・フルシチョフ(Никита Хрущев)の一派は、『平和共存』『平和的移行』という反革命理論を策定したうえに、『ソ連においては、プロレタリアートによる独裁はもはや不要であるというだけでなく、不可能である』と宣言することにより、修正主義を完全な体系に発展させた。彼らは『全人民のための国家』『全人民のための党』という、ばかげた理論を提示している」「ソ連共産党第22回党大会の場でフルシチョフが発表した政治綱領は、偽りの共産主義綱領であり、プロレタリアート革命に反対し、労働者の党による独裁を廃止しようとする修正主義的なものである」「修正主義者であるフルシチョフが発表したプロレタリアートによる独裁の廃止は、社会主義と共産主義への裏切りに他ならない」と書いた[3]アルバニア共産党エンヴェル・ホッジャ(Envel Hoxha)は、「我々マルクス主義者は、階級の基準によって自らを導き、その立場に従い、君主、イラン国王、反動派閥が支配する国家ではなく、人民、プロレタリアート、真の意味での民主主義、主権と自由を支援する。我々は、『超大国のくびきから解放されたい』と願う人々と民主主義国家を支援する。しかしながら、『正しい道を進み、君主の階級基準と一致し、超大国や、超大国と結びついた国際的独占に立ち向かわない限り、これらを適切に行うことは不可能である』と強調しておきたい」「中国の指導部は、この複雑な階級の問題について、『一つにまとめあげることで解決できた』と主張しているが、この解決策はマルクス主義に反するものだ。中国の指導部の主張に反し、「第一世界」に対する、あるいはアメリカ帝国主義やソ連の社会帝国主義、あるいは「第二世界」に対する闘争を目的に掲げている第三世界の国家はほとんど存在しない」と書いた[4]ミロヴァン・ジラス(Milovan Djilas)は、ソ連による東ヨーロッパの占領と経済搾取やユーゴスラヴィアに対するソ連の敵対的な政策について、「ソ連帝国主義」と呼んだ[5]ヨシップ・ブロズ・ティトー(Јосип Броз Тито)はヨシフ・スターリン(Иосиф Сталин)のソ連と対立していた[6]


  1. ^ Владимир Ленин. “Imperialism, the Highest Stage of Capitalism - IX. CRITIQUE OF IMPERIALISM”. Marxists Internet Archive. 2023年9月10日閲覧。
  2. ^ Rosa Luxemburg. “Rebuilding the International”. Marxists Internet Archive. 2023年9月10日閲覧。
  3. ^ 毛沢東. “On Khrushchov’s Phoney Communism and Its Historical Lessons for the World: Comment on the Open Letter of the Central Committee of the CPSU (IX)”. Marxists Internet Archive. 2023年9月10日閲覧。
  4. ^ Enver Hoxha. “Imperialism and the Revolution”. Marxists Internet Archive. 2023年9月10日閲覧。
  5. ^ Milovan Djilas. “The New Class - An Analysis of the Communist System” (PDF). 2021年1月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月10日閲覧。
  6. ^ Jeronim Perović. “The Tito–Stalin split: a reassessment in light of new evidence” (PDF). University of Zurich. 2017年9月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月10日閲覧。
  7. ^ 日本共産党第20回党大会決議 - 第4章 世界史の道程と科学的社会主義の生命力”. 日本共産党資料館. 2013年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月10日閲覧。
  8. ^ Geoff Eley "Social Imperialism" pages 925-926 from Modern Germany Volume 2, New York, Garland Publishing, 1998 page 925.
  9. ^ a b Eley, Geoff "Social Imperialism" pages 925-926 from Modern Germany Volume 2, New York, Garland Publishing, 1998 page 925.
  10. ^ Eley, Geoff "Social Imperialism" pages 925-926 from Modern Germany Volume 2, New York, Garland Publishing, 1998 pages 925-926.
  11. ^ a b c Eley, Geoff "Social Imperialism" pages 925-926 from Modern Germany Volume 2, New York, Garland Publishing, 1998 page 926.
  12. ^ Kaillis, Aristotle Fascist Ideology, London: Routledge, 2000 page 7
  13. ^ Kaillis, Aristotle Fascist Ideology, London: Routledge, 2000 page 165
  14. ^ a b Kaillis, Aristotle Fascist Ideology, London: Routledge, 2000 pages 165-166
  15. ^ Kaillis, Aristotle Fascist Ideology, London: Routledge, 2000 page 166
  16. ^ Kaillis, Aristotle Fascist Ideology, London: Routledge, 2000 page 151


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