RSA暗号と素因数分解問題の関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 05:03 UTC 版)
「RSA暗号」の記事における「RSA暗号と素因数分解問題の関係」の解説
RSA暗号は、安全性が素因数分解問題と同値であると期待されている暗号方式であるが、本当に両者が同値であるかどうかについては分かっていない。 素因数分解を解けるオラクルを用いれば、 n {\displaystyle n} から p {\displaystyle p} および q {\displaystyle q} が計算でき鍵生成と同様にして、秘密鍵 d {\displaystyle d} を知ることが出来る。即ち、RSA暗号が解読出来る。従って、RSA仮定が証明できれば素因数問題の困難性が示せる。しかし、逆が成立するかどうかはよく分かっていない。ある条件下では否定的な結果もでている。 RSA暗号が選択平文攻撃に対して完全解読できない、ということとRSA仮定とは同値である。 RSA問題を解く方法として、現在知られている有力な方法は、素因数分解問題を解くことに使える方法だけである。素因数分解問題を解く方法として、楕円曲線法や数体篩法などのアルゴリズムが知られているが、これらの方法はどれも準指数時間アルゴリズムであり、多項式時間で素因数分解問題を解く方法は知られていない。 暗号理論の世界では、多項式時間で解読することができない暗号方式を安全であると定義することがある(計算量的安全性)。この意味で、RSA暗号の安全性について、現在知られている範囲では、安全であると期待されていて、その反証がない、と言える。 RSA問題や素因数分解問題はNP問題であるので、これらの問題が (決定性のある) 多項式時間では解けないことが証明できれば、P≠NP予想が肯定的に解決することになる。 但し、ハミルトン閉路問題など他のNP問題(NPかつNP困難なNP完全問題を含む)が多項式時間で解けることが証明されればP=NPとなってしまう。
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