QWOPとは? わかりやすく解説

QWOP

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/08/18 13:40 UTC 版)

QWOP
対応機種
開発元 Foddy.net
発売元
デザイナー ベネット・フォディ(英語版)
人数 1
発売日 ブラウザ版:
  • WW 2008年11月12日
iOS
  • WW 2010年12月21日
Android
  • WW 2013年7月4日
ゲームエンジン
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QWOP ([kwɒp])は、2008年に公開されたブラウザゲームである。本作のシステムはラグドール物理を基にしており、QとWとOとPのキーだけで運動選手を走らせることを目的としている(マルチプレイヤー版ではプレイヤー1がQとWと EとRのキーを使い、プレイヤー2がUとIとOとPのキーを使う)。本作は公開から2年後の2010年12月からインターネット上で注目を集め、作者であるカット・コピーの元メンバー、ベネット・フォディ(英語版)のウェブサイトのアクセス数が3000万回を超える一因となった[1]。

制作

本作の作者である、ベネット・フォディ。2009年撮影

2008年11月、当時オックスフォード大学マーティン校の課程「新生物科学の倫理」に副責任者兼上席研究員として勤務していたベネット・フォディ(英語版)が自身のウェブサイトFoddy.netにて本作を公開した[2][3]。

彼は、取り組んでいた哲学の論文の完成に手間取っている間、ゲームの作り方を独学した[4]。

彼は5歳の時に初めてZX Spectrum 48Kを買い与えられて以来、ゲームに親しんできた[4]。

フォディは以下のように述べている。

QWOPは自分で目標を設定できるところが気に入られたのではないかと私は考えています。キャラクターを5メートル走らせることができることに満足できる人もいれば、1時間かけて少しずつコースを1周できることに喜びを見出す人もいるでしょう。もし、スコアランクや基準点をもうけていたら、こういう人たちがいらついた末に遊ぶのをやめ、何とかしてでもクリアしようと躍起になる者やマゾプレイヤーしかこのゲームを遊ばないと思います。
(“One of the things I found with QWOP is that people like to set their own goals in a game. Some people would feel like winners if they ran 5 meters, and others would feel like winners if they inched all the way along the track over the course of an hour. If I had put a social leaderboard or par system in, those people would probably have all quit out of frustration, leaving only the most determined or masochistic players behind.")[5]

設定

プレイヤーキャラクターの名前は "Qwop" であり、彼はある小さい国のオリンピック代表選手である。陸上競技[注 1]に出場する。

システム

プレイヤーはそれぞれのキーを巧みに押し、転ぶことなく前に進むようにする必要がある[7]。

ゲームオーバー条件

本作ではキャラクターが「地面に倒れる」あるいは「100m 先で幅跳びする」ことでゲームオーバーとなる。

キャラクターが地面に倒れた場合はeveryone is a winnerと書かれた賞状が提示されて終了となる。100m 先の幅跳びラインを超えた1歩目を踏むとNATIONAL HEROというメッセージと共に記録が提示されて終了となる。

スタート画面においてit's not about whether you win or lose.というメッセージが表示されることも相まって、本作におけるゲームオーバーの意味・位置づけは曖昧である。地面に倒れることは失敗とも記録達成とも言えるし、100m先に着いても幅跳び記録が気に入らないなら失敗とも取れる。これは意図的なものであり、制作者はゲームオーバーを失敗や成功と結びつけていない[5]。

操作体系

プレイヤーが操作できるのはQとWとOとPのキーだけであり、QとWのキーはそれぞれ太腿の動きに対応しており、OとPはそれぞれ脹脛の動きに対応している。Qを押すと、選手の右の太腿が前に動き、左の脹脛が後ろに動く。Wを押すと、Qを押したときとは逆の動きをする。同様に、Oを押すと選手の右の脹脛が前に動くと同時に左の太腿が後ろに動き、Pを押すとOの時とは逆の動きをする。これらの挙動は現実世界における重力への抵抗と慣性に基づくものである。

反響

本作はQとWとOとPのキーだけを使ったシンプルな内容ながらも、公開されて以来、その難易度の高さで注目されるようになり[8][9]、フォディの元には多数の嫌がらせメールが届いた[10]。

使えるのは4つキーだけという難易度の高さゆえに批判が絶えなかった一方[8]、WIREDによるとフォディのウェブサイトには3000万件以上のアクセスがあり[1]、PopSciは挑んではあきらめるプレイヤーが続出したことを報じている[11]。

ニューヨーク近代美術館にて2011年7月。

2011年7月27日、ビデオゲーム文化を扱う出版社キル・スクリーンの主催したイベント“Arcade”の一環として本作がニューヨーク近代美術館にて展示された[12]。

2013年4月10日、本作において100メートル51秒という記録をたたき出した、インドのカルナータカ州チンタマニ(英語版)在住の人物が、ギネス世界記録に登録された[13]。

また、アメリカ合衆国で放送されたテレビドラマ『The Office』の第9シーズンにおいて、本作が登場している[14]。

2014年10月15日には、日本のテレビ番組『マツコ&有吉の怒り新党』にて、「主人公がすぐ死ぬゲーム」として『ドラゴンズレア』と『トランスフォーマー コンボイの謎』とともに本作が紹介された[6]。

2020年8月29日に、日本のくろうどというプレイヤーによって50秒834という記録がたたき出され、7年ぶりに世界記録を更新した[15]。

2021年2月26日には、Wesley LiaoによりAIにQWOPを走らせる方法が発表され、同AIにより47秒34というタイムが記録された[16][17][18]。

現在の世界記録は日本のくろうどが2022年6月18日に記録した45秒53[19]。

移植版・派生作品

2011年、本作のiPhone アプリ版の配信が行われた。iPhone版はひし形の操作部をQWOPのキーの代わりとして使う以外はオリジナル版とほぼ同じである[20]。

KotakuはiPhone版について「オリジナルよりも無理ゲー度が4000パーセント以上あがった」と評し[21]、親指オリンピック("An Olympic Challenge For Thumbs")と呼んだ[22]。

フォディのゲームを集めたイベント "The Foddy Winter Olympics" がオースティンで開かれた[23][24] 後の2012年2月には、2人対戦に対応した2QWOPが公開された[25]。

2QWOPは画面が2分割されているのが特徴であり、プレイヤー1がQとWと EとRのキーを使い、プレイヤー2がUとIとOとPのキーを使う[26][27][28][29][30]。

2016年にはHTML5版のQWOPが公開され、2020年のAdobe Flashのサポート終了後も稼働している[31]。

関連項目

脚注

注釈

  1. ↑ おたぽるでは100m走と紹介されているが、途中でハードルが登場するなど本来の100m走とは異なる場面も含まれているため、本項では便宜上陸上競技とする[6]

出典

  1. 1 2 Benenson, Fred (2011年8月2日). “Meet Bennett Foddy: The man behind QWOP and GIRP”. Wired Magazine. 2011年8月14日閲覧。
  2. ↑ “Bennett Foddy”. The Oxford Centre for Neuroethics. 2012年3月13日閲覧。
  3. ↑ “Dr Bennett Foddy”. Insititue for Science and Ethics. 2012年3月13日閲覧。
  4. 1 2 Rose, Mike (2012年2月13日). “Road to the IGF: Bennett Foddy's GIRP”. Gamasutra. 2012年2月19日閲覧。
  5. 1 2 Brown, Mark (2011年3月). “Games work "neurological magic," says QWOP creator”. Wired Magazine. Ars Technica. 2012年2月21日閲覧。
  6. 1 2 “有吉弘行も思わず「キビシ~!!」と一言 初見でクリアはまず無理! 「すぐ死んじゃう」理不尽すぎるゲーム”. おたぽる (2014年10月16日). 2017年6月27日閲覧。
  7. ↑ “Browser Game Pick: QWOP (Benzido)” (2008年11月7日). 2010年12月25日閲覧。
  8. 1 2 Biado, Ed (December 14, 2010). “What’s so hard about QWOP?”. Manila Standard Today. 2010年12月25日閲覧.
  9. ↑ Prokrastination, Baby (2012年2月8日). “Internet, du Ort ohne Langeweile”. Zeltijung. 2012年2月19日閲覧。
  10. ↑ Foddy, Bennett (December 2010). QWOP. foddy.net. Accessed from June 16, 2013.
  11. ↑ Salgado, Filipe (2012年2月6日). “The PopSci Flash Arcade”. PopSci. 2012年2月19日閲覧。
  12. ↑ Chai, Barbara (July 28, 2011). “Kill Screen Hosts Game Night at the Museum”. The Wall Street Journal. 2011年8月15日閲覧.
  13. ↑ Fastest 100m run, QWOP (flash game) Archived March 15, 2013, at the Wayback Machine. . challengers.guinnessworldrecords.com. Accessed from March 28, 2013.
  14. ↑ Johnson, Ryan. (September 24, 2012). Indie Feature:The QWOP Game Makes an Appearance in The Office Season 9 Premiere. rantgaming.com. Archived from September 26, 2012. Accessed from July 18, 2013.
  15. ↑ “4つのキーで陸上選手を走らせる高難度ゲーム『QWOP』で人類未踏の100m50秒台が達成される。7年前に達成された記録を1秒更新”. 電ファミニコゲーマー – ゲームの面白い記事読んでみない? (2020年8月30日). 2022年1月28日閲覧。
  16. ↑ Liao, Wesley (2021年3月12日). “Achieving human-level performance in QWOP using Reinforcement Learning and Imitation Learning” (英語). Medium. 2022年1月28日閲覧。
  17. ↑ “AIが激ムズ100メートル走ゲー『QWOP』の人類の世界記録を抜く。人間の元世界記録保持者を教師とし、独学と模倣の果てに大記録を達成”. 電ファミニコゲーマー – ゲームの面白い記事読んでみない? (2021年3月17日). 2022年1月28日閲覧。
  18. ↑ “40 Hours of Training Was All an AI Needed to Shatter the World Record in the World's Hardest Video Game” (英語). Gizmodo. 2022年1月28日閲覧。
  19. ↑ “QWOP - speedrun.com”. www.speedrun.com. 2022年1月28日閲覧。
  20. ↑ “QWOP for iOS by Bennett Foddy app detail”. 148apps. 2011年8月15日閲覧。
  21. ↑ Good, Owen (2010年12月23日). “Oh, Great, QWOP Just Got 4000 Percent More Impossible”. Kotaku. 2012年3月21日閲覧。
  22. ↑ McWhertor, Michael (2011年1月1日). “QWOP For iPhone Is An Olympic Challenge For Thumbs”. Kotaku. 2012年3月21日閲覧。
  23. ↑ Alford, Ben (2012年2月10日). “In the Austin Area? Go Play Mega GIRP This Sunday”. 4 Player Podcast. 2012年3月13日閲覧。
  24. ↑ Alford, Ben (2012年2月20日). “Two Player QWOP Released”. 4 Player Podcast. 2012年3月13日閲覧。
  25. ↑ Good, Owen (2012年2月19日). “The Sequel No One Wanted: 2QWOP”. Kotaku. 2011年8月15日閲覧。
  26. ↑ Kayatta, Mile (2012年2月16日). “QWOP Gets Awkward Multiplayer Mode”. Escapist Magazine. 2012年2月19日閲覧。
  27. ↑ Venado (2012年2月17日). “Two-Player QWOP: Now Available For All Your Silly Walk Needs”. Gamer Front. 2012年2月19日閲覧。
  28. ↑ Larrabee, Ryan (2012年2月16日). “Two Player QWOP Targets the Rage Centers of the Brain”. Piki Geek. 2012年2月19日閲覧。
  29. ↑ Zivalich, Nikole (2012年2月16日). “2QWOP: Multiplayer QWOP Is Now Available”. G4tv. 2012年2月19日閲覧。
  30. ↑ Heller (2012年2月16日). “QWOP gets majorly awkward with split-screen support”. MMGN. 2012年2月24日閲覧。
  31. ↑ “QWOP” (英語). www.foddy.net. 2022年1月28日閲覧。
  32. ↑ Matulef, Jeffrey (2013年1月5日). “Disney Japan's Winnie the Pooh browser game is too hard for children, everyone else” (英語). Eurogamer. 2019年9月11日閲覧。
  33. ↑ Fernando Alfonso III (2013年1月3日). “Forget QWOP: 4chan discovers the most frustrating kids' game ever”. The Daily Dot. 2019年9月14日閲覧。
  34. ↑ BurnsTwitter, Ashley (2013年1月4日). “The Game That’s Causing An Internet War: ‘Winnie The Pooh Home Run Derby’” (英語). UPROXX. 2019年9月14日閲覧。

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