Pd触媒を用いた合成法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 23:57 UTC 版)
「過酸化水素」の記事における「Pd触媒を用いた合成法」の解説
Pd(-Au)/CまたはPd(-Au)/SiO2触媒を用いてハロゲン化物イオン存在下、酸性条件で酸素と水素を直接反応させる。古くは、徳山曹達(現・トクヤマ)がPd/SiO2触媒を用いて、高圧の酸素と水素を反応させると過酸化水素が高濃度で蓄積できることを特許取得している。またデュポンも同様にPd触媒を用いた合成法を特許取得している。最近では、石原らはPd-Auコロイド触媒を適切に調製することにより、ほぼ100%の選択性で過酸化水素が生成することを報告している。酸素0.5気圧、水素0.5気圧の混合ガスを用いて、2時間反応させたところ0.4%の過酸化水素水が生成したとしている。本触媒系一般の問題点として、酸素と水素を直接混合するため爆発の危険性があること、過酸化水素を高濃度で蓄積するためには加圧が必要であること (1気圧では最高で1%〜2%)、生成する過酸化水素水には酸や塩が含まれることが挙げられる。 特に爆発の危険性の問題は重大であり、この危険性を回避するため、反応速度を犠牲にして水素と酸素の混合比を爆発範囲から外す方法のほかに、酸素と水素をパラジウム薄膜で隔てた合成法がChoudharyらにより提案されているが、パラジウムが水素透過能を示すのは通常遥かに高温であり、単に膜に穴が開いていることが疑われることに加え、過酸化水素生成速度が極めて遅いなどの難点がある。
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