JICAアフリカ・ホームタウン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/10 06:31 UTC 版)
JICAアフリカ・ホームタウンとは、国際協力機構(JICA)が行っている日本の地方自治体とアフリカ諸国の国際交流のことである。
概要
JICAは2025年8月に神奈川県横浜市にて開催される第9回アフリカ開発会議(TICAD 9)に併せて、アフリカ諸国との関係を更に強化することでアフリカが抱えている課題の解決と日本の地方活性化に貢献することを目的として、以前からアフリカ諸国との国際交流を行っている日本の地方自治体をアフリカ各国の「ホームタウン」に認定した上で双方の交流を推進することを決定。第1弾として、同月21日に日本国内の4市が認定された[1][2]。
認定都市
認定日 | 認定自治体 | 相手国 | 相手国との関わり | 出典 |
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2025年8月21日 | ![]() |
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2020年東京オリンピック・パラリンピックのホストタウン | [3][4] |
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2020年東京オリンピック・パラリンピックのホストタウン | [5] | |
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JICA地域おこし研究員プログラム事業 | [6][7] | |
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2024年開催の海事フォーラムでの交流 | [8] |
認定の検討を予定している自治体
騒動
日本の地方自治体がアフリカ各国のホームタウンに認定されたことを海外のメディアが報じた際に一部の報道機関が「日本が長井市をタンザニアに捧げる」(タンザニアタイムズ)[注釈 1][10]、「木更津で働くための特別なビザを日本政府が用意する」(英国放送協会[11]など)[注釈 2]などと報じた[12]。
この報道に対して、識者から批判があがったほか[13]、ホームタウンとして認定された4市の住民からも移住者による治安の悪化などを懸念する声が高まり[12][14]、4市の市役所には市民からの抗議電話が相次ぎ[15]、Google マップでは市役所や警察署などの名称が一時書き換えられる事態となった[16][17]。
これを受けて、4市の市長らが否定の声明を出したほか[4][7][18][19]、JICAや外務省も該当の報道機関に対して訂正を申し入れる事態になった[2][20]。内閣官房長官の林芳正も2025年8月26日の記者会見において、「移民の受け入れ促進や相手国への特別な査証の発給は想定していない」と述べた上で研修事業の一環で一時的に4市に受け入れる研修生についても事業終了後は出身国にそれぞれ帰国することを説明した[21][22]。
脚注
注釈
出典
- ^ “JICA 国内自治体をアフリカ各国の「ホームタウン」に認定へ”. NHKニュース. 日本放送協会 (2025年8月17日). 2025年9月2日閲覧。
- ^ a b “「JICAアフリカ・ホームタウン」に関する報道について”. ニュース・広報. 独立行政法人国際協力機構 (2025年8月25日). 2025年9月2日閲覧。
- ^ 山形県長井市総合政策課オリンピックパラリンピック・文化スポーツ交流推進室 (2019年9月3日). “ホストタウン交流「長井市×タンザニア」”. グローカル外交ネット. 外務省. 2025年9月2日閲覧。
- ^ a b 内谷重治 (2025年8月25日). “長井市の国際交流に関する報道について”. 長井市ホームページ. 2025年9月2日閲覧。
- ^ “JICAアフリカ・ホームタウンに認定”. 木更津市 (2025年8月25日). 2025年9月2日閲覧。
- ^ “三条市役所@sanjo_cityのポスト”. X(旧・Twitter) (2025年8月21日). 2025年9月2日閲覧。
- ^ a b 滝沢亮 (2025年8月26日). “三条市の国際交流に関する報道に関しまして”. 三条市. 2025年9月2日閲覧。
- ^ 今治市役所 (2025年8月21日). “今治市がアフリカ・モザンビーク共和国の「ホームタウン」に――JICAアフリカ・ホームタウンサミット【愛媛県今治市】”. PR TIMES. 2025年9月2日閲覧。
- ^ “アフリカ諸国の「ホームタウン」 三条市など認定 JICA /新潟”. 毎日新聞 (2025年8月23日). 2025年9月2日閲覧。
- ^ 山形新聞 (2025年8月26日). “「長井市捧げる」誤解で抗議殺到 「ホームタウン」巡るタンザニア報道”. Yahoo!ニュース. LINEヤフー株式会社. 2025年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月2日閲覧。
- ^ “Kisarazu: Why Japan name am as di hometown for Nigerians and which visa dem wan give dem”. BBC News Pidgin (2025年8月23日). 2025年8月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月2日閲覧。
- ^ a b 渡辺浩 (2025年8月25日). “アフリカの「ホームタウン」に長井、木更津、三条、今治の4市 「移住先では」と懸念の声”. 産経新聞. 2025年9月2日閲覧。
- ^ “「日本が山形・長井市をタンザニアに捧げた」現地報道が物議 へずまりゅう氏や参政党市議が疑問”. 日刊スポーツ (2025年8月24日). 2025年9月2日閲覧。
- ^ “「木更津にアフリカ移民」デマ拡散 JICA「ホームタウン」認定 市が完全否定も抗議殺到”. 千葉日報 (2025年8月25日). 2025年9月2日閲覧。
- ^ “アフリカの「ホームタウン」認定、情報錯綜し4市に苦情殺到”. AFP通信 (2025年8月27日). 2025年9月2日閲覧。
- ^ 日本テレビ (2025年8月26日). “【それって本当?】JICA「ホームタウン」認定で誤情報が拡散…自治体は困惑”. 日テレNEWS NNN. p. 2. 2025年9月2日閲覧。
- ^ 新潟放送 (2025年8月26日). “JICAの『ホームタウン認定』に“事実と異なる内容”での苦情殺到 グーグルマップの三条市役所が「ガーナ市役所」に”. TBS NEWS DIG. 2025年9月2日閲覧。
- ^ 渡辺芳邦 (2025年8月25日). “JICA アフリカ・ホームタウン認定状交付に係る木更津市の見解”. 木更津市. 2025年9月2日閲覧。
- ^ 徳永繁樹 (2025年8月26日). “JICA「アフリカ・ホームタウン」に関する今治市の見解”. 今治市. 2025年9月2日閲覧。
- ^ “「JICAアフリカ・ホームタウン」に関して”. Ministry of Foreign Affairs of Japan. 外務省 (2025年8月25日). 2025年9月2日閲覧。
- ^ “タンザニアへの町の「譲渡」を否定、誤情報拡散で反移民めぐる反発の声”. CNN.co.jp (2025年8月27日). 2025年9月2日閲覧。
- ^ “アフリカ「ホームタウン」事業が波紋 移民促進と誤解拡散、政府否定”. 時事通信 (2025年8月28日). 2025年9月2日閲覧。
関連項目
- JICAアフリカ・ホームタウンのページへのリンク