Commodore_CDTVとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > Commodore_CDTVの意味・解説 

Commodore CDTV

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/19 01:09 UTC 版)

Commodore CDTV
Commodore CDTVのキーボード
メーカー コモドール
種別 マルチメディア機
世代 第4世代
発売日 1991年4月[1]
1991年秋[1]
CPU Motorola 68000
対応メディア CD-ROM
コントローラ入力 キーボード
マウス
ゲームパッド
互換ハードウェア Amiga 500
次世代ハードウェア Amiga CD32
テンプレートを表示

Commodore CDTV(コモドール シーディーティーヴィー)は、1991年コモドール社から発売されたマルチメディア機。「CD-ROMを内蔵したパソコン」と言われることもある[2][3]。CDTVはCommodore Dynamic Total Visionの略である[1][2]

概要

当時は音楽用CDやパソコン用CD-ROMの普及と同時に「マルチメディア」という言葉が流行した時代であり、CDという規格を策定したフィリップス社のCD-iを筆頭に、CD-ROMをメディアとして採用した「マルチメディア機」がいくつかの大手家電メーカーからリリースされていた。パソコンのAmigaを擁するコモドールもその波に乗る形で、これまでコモドールが主なターゲットとしていたパソコン・ゲーム市場ではなくマルチメディア機市場をターゲットとして発売された製品である。

CDTVのハードウェア構成は同社のパソコンAmiga 500英語版とほぼ同じ仕様で、AV機器様の外観をした本体(キーボードは着脱式となる)にCD-ROMドライブ(等倍)を内蔵したものである。

CDTVはアメリカの家電見本市CESで1990年6月[1]と1991年5月に発表し、続いてイギリスのWorld of Commodore 1991でも発表された[4]。日本では三井物産が販売代理店となり、Amigaの流通ルートなどで発売された[1]

発売当初の販売価格は999ドル[1]。1992年時点での販売価格はアメリカが799ドル、日本が16万8000だった[1]。当時のコモドールが拠点としAmigaが最も普及した国であるイギリスでの小売価格は、本体にリモコンと2本のCD-ROMタイトルが付いて499ポンドであった[5]

市場での失敗

しかし、パソコンとしてもゲーム機としても使い物にならない「マルチメディア機」の市場は、家電メーカー各社が期待したほどには大きくはならなかった。フィリップス・CD-iを筆頭に、3DO社/パナソニック・3DO(1993年)、パイオニアレーザーアクティブ(1993年)など、CD-ROMをメディアとして採用した「マルチメディア機」を標榜するハードはすべて商業的に失敗している。CDTVも例に漏れず失敗した。

ただ、CDTVは日本とアメリカでは敗退したが、イギリスやフランスでは一定の成功を収めた[6]

CDTVに固有の問題としては、AVファンに大きな知名度を誇るパソコンのAmigaシリーズの一機種であり、その中でも最大のヒット機種であるAmiga 500と同等のアーキテクチャを採用しながらも「Amiga」ブランドを採用せず別ラインのAV機器としての販売戦略を取ったことも、一般AVファンの関心を引かなかった一因であった。また、コモドールはAmiga専門誌でこのCDTVを盛んに宣伝したが、CDTVはAmiga 500にCD-ROMドライブを付けただけのハードであったことはAmigaユーザーには周知であったため、ほとんどのAmigaファンはわざわざCDTVを買うのではなくAmiga 500用CD-ROMドライブが出るのを待つ、という選択肢を取った。ほどなくAmigaユーザーの期待に答える形で、CDTV用ソフトにも対応したAmiga 500用CD-ROMドライブがAmiga A570という形でリリースされ、その時点でCDTVの存在意義は完全になくなった。CDTVの設計を見なおしたモデルであるCDTV-IIが計画されていたが[7]出荷には至らず、最終的にコモドールは1993年に後継機のAmiga CD32を投入し、CDTVの販売を終了した。

CDTVの失敗から、後継機のAmiga CD32では対象ユーザーが曖昧な「マルチメディア機」ではなく明確にゲーマーを対象にした純然たる「ゲーム機」として、Amigaのブランドでリリースされた。また、Amiga CD32はAmiga 1200のハードを流用している点ではCDTVと同レベルだが、単にAmiga 1200にCD-ROMドライブを内蔵するだけではなく"Akiko Chip"を追加で搭載し、対応ソフトもCD32でしか動作できない設定とした。しかしPC/AT互換機市場の拡大と共にホビーパソコン市場が衰退する中、ゲーム業界の市場でも後れを取っていたAmigaの売れ行きも低下しており、経営が悪化していたコモドールはAmiga CD32のリリースから半年後に倒産した。

ハードウェア

CDTVはOSとしてAmigaOS 1.3を搭載している。同年にはAmigaOS 2.0がリリースされているが、CDTVのリリースとほぼ同時期となったためにCDTVでは採用されていない。CDTVはAmigaで動画再生を可能とするためにコモドール自身が開発したCDXL英語版規格に対応しており、CD-ROMによる動画再生をサポートしたハードとしては初期の部類に入る。

内部のハードウェア構成はAmiga 500とほぼ同じだが、フロッピーディスクドライブが廃止された代わりにCD-ROMドライブが付いている。外装はパソコンと言うよりAV機器のような雰囲気にデザインにされ、リモコンが付属している。最初期の販売モデルではキーボードとマウスもついていなかったが、後にバンドルされるようになった。

脚注

出典

  1. ^ a b c d e f g ジャストシステム出版編集部(編)『世界のコンピュータ・マップ '93』ジャストシステム、1992年、226-228頁。NDLJP:13167891/117
  2. ^ a b 矢田光治(編)『ハイパーメディア』日刊工業新聞社、1990年、50-53頁。NDLJP:13165420/33
  3. ^ 電脳商会『CD-Iビジネス入門』ぎょうせい、1991年、204-205頁。NDLJP:13318842/110
  4. ^ The Commodore CDTV Information Center - www.cdtv.org.uk”. 2011年4月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年4月18日閲覧。
  5. ^ Amiga History Guide”. 2008年4月18日閲覧。
  6. ^ ジャストシステム出版編集部(編)『世界のコンピュータ・マップ '94』ジャストシステム、1994年、246頁。NDLJP:13150454/127
  7. ^ The Big Book of Amiga Hardware - Commodore CDTV-II”. 2008年4月18日閲覧。

関連項目




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「Commodore_CDTV」の関連用語

Commodore_CDTVのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



Commodore_CDTVのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのCommodore CDTV (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS