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アイ語

(Cofán language から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/04/05 16:22 UTC 版)

アイ語
A'ingae
話される国 エクアドル, コロンビア
地域 アマゾン川
民族 アイ人
話者数 エクアドルに900人(2001 SIL)、コロンビアに1千500人(Civallero 2008)[1]
言語系統
言語コード
ISO 639-1 なし
ISO 639-3 con
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アイ語(A'ingae、スペイン語にちなむ名称はコファン語 (Cofán))は、エクアドル北東部とコロンビア南部のアマゾン川流域の先住民・アイ人の使用する言語である。アイ語は形態的には膠着語に属し、主に数々の文法的機能を果たす様々な接辞に依存している。

音韻論

アイ語の音節構造は、CV、CVʔあるいはCVNである。つまり言い換えるならば、音節末の子音声門閉鎖音または鼻音でなければならない。

母音

アイ語の母音鼻音化したものとそうでないものとに分かれ、いずれも5種類ずつ見られるため、合計で10種類の母音が存在することになる。このほか、音韻論的分析における声門閉鎖音も母音の変異音と見做すことが可能で、5つが存在する。アイ語には後舌狭母音は見られない。以下の一覧表には、アイ語の10の母音を示しておく。

i, ĩ ɨ, ɨ̃
ɛ, ɛ̃ ɔ, ɔ̃

a, ã

子音

アイ語の破裂音無気音有気音、前鼻音化有声音の三種類に分けられる。破擦音には無声と有声との対立が存在する。摩擦音は無声音のみである。

両唇 唇歯 歯茎 硬口蓋 軟口蓋 声門
無声破裂音 p, pʰ t, tʰ k, kʰ
有声破裂音 mb ~ b nd ~ d ŋg ~ g ʔ
無声破擦音 ts, tsʰ tʃ, tʃʰ
有声破擦音 ndz ~ dz ndʒ ~ dʒ
摩擦音 f s ʃ (x) h
鼻音 m n ɲ
はじき音 ɾ
接近音 ʋ j ɣ(ɰ)

正書法

アイ語の正書法は、ラテン文字に基づくものとなっている。その中でも最も普及しているのは宣教師Borman夫妻の手によるBorman正書法である。この正書法はスペイン語の正書法から非常に大きな影響を受けている。

大文字 小文字 名称 音価(IPA
A a a a
An an an ã
B b be b
C c ca あるいは ce k
Cc cc cca
Ch ch che
Chh chh chhe tʃʰ
D d de d
Dy dy dye
E e e ɛ
En en en ɛ̃
F f efe f ~ ɸ
G g ge g ~ ɣ
I i i i
In in in ĩ
J j je あるいは jota h ~ x
M m eme m
N n ene n
Ñ ñ eñe ɲ
O o o ɔ
On o on ɔ̃
P p pe p
Pp pp pe
Q q que あるいは cu k
Qq qq qque
R r ere ɾ
S s ese s
Sh sh she ʃ
T t te t
Tt tt tte
Ts ts tse ts
Tss tss tsse tsʰ
U u u ɨ
Un un un ɨ̃
V v ve ʋ
Y y ye あるいは i griega j
Z z ze あるいは zeta dz
' ' e' あるいは oclusivo glotal ʔ

数詞

現在アイ語で使われている数詞は1–5であり、5以上の数は一般的にはスペイン語で表される。5以下の数は二進法に基づくものとなっている。

  • 1: fue'cco(二進法: 1)
  • 2: ccoangi'cco(二進法: 10)
  • 3: coanifué'cco(二進法: 10 + 1 = 11)
  • 4: ccattufayi'cco(二進法: 100)
  • 5: fuefayi'cco(二進法: 1 + 100 = 101)

Borman (1976) によると、6–10の数は以下のように表現される。

  • 6: ccáfaiseyi'cco(含意: もう一方 (の手) に換えて)
  • 7: ccáfaiseyiccoangi'cco(含意: もう一方 (の手) に換えて2まで)
  • 8: ccáfaiseyiccoanifué'cco(含意: もう一方 (の手) に換えて3まで)
  • 9: ccáfaiseyiccattufayi'cco(含意: もう一方 (の手) に換えて4まで)
  • 10: tive pa'tssi(含意: 両手)

また de Castellví (1938) によると、4は fúe'fáyi(1 * 100)、5は fué'fáye(1 + 100)、6は fuéfuiséi-kuángi(100 + 10)、7は fué-fuiséi-kinifúe(100 + 11)、8は fúe-faiséi-katifaye(100 + 100)ともいうことができる。これはアイ語がかつてはより厳格な二進法の体系を有していたことの表れである。無論、日常生活においては5以上の数が用いられることはまれであると思われ、Borman や de Castellví が記した5以上の数の説もさほど普及している訳ではないと思われる。

脚注

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  1. ^ Lewis et al. (2015).

参考文献

関連文献

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