化学吸着
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/12/13 01:33 UTC 版)
化学吸着(かがくきゅうちゃく、英: Chemisorption)とは、吸着のうち表面と吸着質との間の化学反応を伴う種類のものを言う。 吸着剤表面に新たな化学結合が形成される。腐食のように巨視的に目に見える現象もあれば、不均一触媒反応における反応過程のように微視的な現象もある。吸着質と基質の表面との間の強い相互作用により、新しい種類の電子結合が生じる[1]。
化学吸着と対立する概念として、物理吸着という種類の吸着もある。この場合、吸着質および表面の化学種には変化が伴わない。慣例的に、「物理吸着」と「化学吸着」とを分ける境目は吸着する化学種あたりの結合エネルギーにして 0.5 eV とされる。
その特殊性から、化学吸着の性質は化学種と表面構造によって大きく左右される。
応用
化学吸着の重要な応用例として、不均一触媒が挙げられる。この触媒反応では、分子が化学吸着により生じた中間体を経て反応する。化学吸着を起こした化学種は、互いに結合を生じた後に表面から脱着する。
自己組織化単分子膜
自己組織化単分子膜(SAM)は金属表面に反応試薬を化学吸着させることにより形成される。有名な例としては、金表面にチオール(RS-H)を吸着させて生じるものが挙げられる。この過程では強い Au-SR 結合が生じ、H2 が脱離する。密度の高い SR 基により表面は保護される。
気体-表面化学吸着
速度論
化学吸着は吸着の一種であるから、吸着の過程に従う。 最初の段階では吸着質粒子が表面と接触する。粒子が表面に捉えられるためには、気体-表面井戸型ポテンシャルを超えるエネルギーを持っていないことが条件となる。もし粒子が表面と弾性衝突をする場合、粒子はバルク気体へと戻っていってしまう。しかし、非弾性衝突により十分な運動量を失った場合、粒子は表面に「くっつき」、物理吸着のように表面と弱く結合した前駆状態を生じる。粒子は表面上に拡散し、ポテンシャル井戸の深い化学吸着サイトを見付けるとそこで表面と化学反応を起こし、さもなくば時間と共に十分なエネルギーを得て単に脱着する[2]。
表面との反応は関与する化学種によって異なる。反応に関するギブズエネルギーの公式
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