ベッチ数
(Betti numbers から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/24 10:18 UTC 版)
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代数的位相幾何学において、ベッチ数 (ベッチすう、英語: Betti numbers) は、位相空間に対する不変量であり、自然数に値をもつ。
右の図のようなトーラスを考える。このトーラスに切り口が円周になるように切れ込みをいれたとき、その結果二つのピースに分かれない切り方が、穴のまわりにそって一周する方法と、縦に切断する方法の二通りある。このことからトーラスの 1 次ベッチ数は 2 である[1]。直感的な言葉を使うと、 1 次以上のベッチ数は様々な次元の本質的な「穴」(閉曲線、閉曲面・・)の数である。例えば、円の 1 次ベッチ数は 1であり、一般的なプレツェル(pretzel)の場合は、1 次ベッチ数は穴の数の 2 倍となる。
ベッチ数は、今日、数学のみならず計算機科学やデジタル画像などの分野でも研究されている。
「ベッチ数」ということばは、エンリコ・ベッチ (Enrico Betti) にちなみ、アンリ・ポアンカレ (Henri Poincaré) により命名された。
定義
k を非負の整数 として、空間 X の k 次ベッチ数 bk(X) は、X の k 次ホモロジー群 Hk(X) のランクとして定義される。ホモロジー群は有理数体 Q 上のベクトル空間とすることもできるので、Hk(X; Q) のベクトル空間の次元としてベッチ数を定義することもできる。普遍係数定理は、ねじれのない単純な場合には(係数の取り方に依存せず)これらの定義が同じであることを示している。
またベッチ数を係数にもつ多項式としてポアンカレ多項式を定義する。すなわち、X のポアンカレ多項式 PX(t) とは b0(X)+b1(X)t+b2(X)t2+...+bn(X)tn のことである。
例
単体複体
上の図のような単体複体でのベッチ数を計算する。これは0-単体として a, b, c, d, 1-単体として E, F, G, H, I, 2-単体として色のついた部分 J ただ一つをもつものである。この図の連結成分はただ一つであり、1 次元の穴は色のついてない部分すなわち頂点 a, c, d をもつ三角形の部分である。また平面上にあり、「空洞」をもたない。以上の事からb0=1, b1=1,b2=0 であり、ポアンカレ多項式は 1+t となる。
グラフ理論
位相的グラフ理論では、頂点 n 個、m 本の辺、k 個の連結成分をもったグラフ G の 1次ベッチ数は、m − n + k に等しい。
このことは、辺の数についての数学的帰納法により直接証明ができる。つまり、新しい辺 1-サイクル分の数を増やすか、もしくは辺の連結成分の数を一つ減らすかのどちらかである。
第一ベッチ数は、グスタフ・キルヒホフ(Gustav Kirchhoff)がベッチ(Betti)の論文以前に導入した用語であるサイクロマチック数(cyclomatic number)とも呼ばれる。[2]第一ベッチ数のソフトウェア工学への応用は、循環的複雑度を参照のこと。
グラフの第 0 番めのベッチ数は、連結成分の数 k を単純に意味している。[3]
ポアンカレ多項式の計算例
- 点に対するベッチ数の列は、1, 0, 0, 0, 0, ...
- 円に対するベッチ数の列は、1, 1, 0, 0, 0, ...
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ポアンカレ多項式は、
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ポアンカレ多項式は、
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