AN/UYK-20とは? わかりやすく解説

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AN/UYK-20

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/10 02:57 UTC 版)

AN/UYK-20の筐体

AN/UYK-20は、UNIVAC(後のユニシス)がアメリカ海軍向けに開発したコンピュータ[1][2]AN/UYK-7を補完するミニコンピュータとして、射撃指揮システムなどで広く用いられた[3]

概要

アメリカ海軍では、コンピュータの多角的な活用を図るべく、1971年8月、資材本部(NAVMATCOM)に戦術情報処理システム室(Tactical Automated Data Systems Office, TADSO)を設置した[3]。当時、海軍ではAN/UYK-7の配備を進めていたが、これはメインフレームにあたる大型機であり、TADSOの開設直後より、これよりも手軽に使用できるミニコンピュータについての要請が各部署から殺到した[3]。このようなニーズに対応するために多目的デジタルコンピュータ(All Applications Digital Computer, AADC)の計画も進められてはいたものの、これが実用化されるのは早くとも4年後の見込みであった[注 1]

TADSOでは、暫定措置として民間の設計を採用した小型コンピュータの取得を計画し、1972年8月までに仕様書を完成させ、海軍電子システムズコマンド (NAVELEXに開発を委託した[3]。NAVELEXは、12月には提案依頼書を各社に送付しており、これに応じた提案書を審査した結果、コントロール・データ・コーポレーションゼネラル・エレクトリックレイセオン、そしてUNIVACの4社が仕様に合致していると評価した[3]。このうち最も安い価格を提示したUNIVACに対し、1973年4月に発注がなされ、1974年5月より量産機の納入が開始された[3]

本機は、アメリカ海軍の制式コンピュータとして初めて16ビットマイクロプロセッサを採用した[1]。283命令のレパートリーを有しており、主記憶装置磁気コアメモリ)のサイクルタイムは0.75マイクロ秒、メモリサイズは8-64キロワードとされており、発展型のUYK-20Aでは32-262キロワードに拡張された[1]。また本機では、UYK-7よりも格段に集積回路(IC)化が進められており[4]、筐体高さ0.51メートル×幅0.48メートル×奥行き0.61メートルとかなり小型であるにもかかわらず、UYK-7の初期モデルより高性能ですらあった[1]。要求仕様では平均故障間隔(MTBF)2,000時間とされており、配備当初はこれに遠く及ばず予備機が必要な状況もあったが、1981年には、要求仕様を凌駕する12,096時間を達成した[3]。その後、AN/UYK-7がAN/UYK-43に代替されるのと歩調を合わせて、AN/UYK-44に代替されていった[1]

脚注

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注釈

  1. ^ AN/UYK-20の実用化に伴って、AADC計画は機上コンピュータのみを対象とするように方針転換し、AN/AYK-14として結実した[3]

出典

  1. ^ a b c d e Friedman 1997, pp. 56–58.
  2. ^ 海人社 2002.
  3. ^ a b c d e f g h Boslaugh 2021.
  4. ^ Friedman 1997, pp. 45–48.

参考文献




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