ブラックナイト衛星とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > ブラックナイト衛星の意味・解説 

ブラックナイト衛星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/24 23:04 UTC 版)

STS-88ミッションで撮影されたブラックナイトといわれる物体

ブラックナイト衛星: Black Knight satellite)は、極軌道近くで地球を周回しているとされる存在の疑わしい物体。一説ではおよそ13,000年前から存在し、地球外生命体に由来すると考えられている[1][2]

解説

ブラックナイト(黒騎士)の名称の起源は明らかではない[1]。本来の「黒騎士」とは、紋章を塗りつぶし、出自を明らかにしていない騎士を指す言葉である。

「人類の手によらない人工衛星が地球を周回している」というミステリーの発端は、1954年セントルイス・ポスト・ディスパッチ英語版サンフランシスコ・エグザミナーの2紙を含む新聞に掲載された、アメリカ空軍が地球を周回する2つの衛星の存在を報告したとする記事である(この当時、人類はまだ衛星の打ち上げに成功していない)[3]。これには冥王星の発見で知られる天文学者クライド・トンボーも関わっているとされた[4]。この記事は、UFO研究家ドナルド・キーホー1953年の書籍『外宇宙からの空飛ぶ円盤英語版』の内容にトンボーの研究内容を組み合わせたもので[4]、書籍のプロモーション記事だという見方もある[1]。当時のトンボーは軍の依頼によって、宇宙開発の障害となる自然天体の有無を調査していた[4]

1960年2月、「アメリカ海軍が赤道面から79度傾いた軌道を公転周期104.5分で周回している暗く回転する物体を発見した」との記事が新聞に報じられた。物体はかなり特異な軌道を持ち、遠点が1728キロメートル、近点はわずか216キロメートルであるとしている。この物体は、世界のどの国からも所有を表明されなかった。後の公開情報によれば、当時のアメリカ海軍は非常に似た軌道へ打ち上げられたコロナ偵察衛星(ディスカバラー8号)の「落下した部品」を追跡していたとされる。ディスカバラー8号は1960年5月に大気圏に再突入して燃え尽きており、同時期に周辺の破片も大気圏内に落ちたと考えられる[1][3][5]

1973年スコットランドのSF作家ダンカン・ルナン英語版1920年代に検出された異常な電波信号の記録を解析し、信号は13,000年前からの近くに存在していた探査機から送信されたメッセージで、探査機の起源はうしかい座イプシロン星(イザル)であると推定した[1]。これが引用され「ブラックナイト衛星は地球外生命に由来し、13,000年にわたって地球を周回している」という説の根拠とされている。しかし当時のルナンは探査機の位置を月と地球のトロヤ点(ラグランジュ点のL4またはL5)としており、地球を周回する衛星の存在については言及していない[6]。ブラックナイト衛星については、自分とは無関係のナンセンスと2013年にコメントしている[1]

1998年に行われた国際宇宙ステーション計画のSTS-88ミッションにおいて写真撮影された物体が、ブラックナイト衛星であるという説が広く主張されている[7]。しかし、これは船外活動の間に船体から外れてしまった熱ブランケットである可能性が高い。宇宙開発ジャーナリストジェームズ・オバーグ英語版によれば、ブランケットは軌道を離れて落下し、約1週間後に燃え尽きたという[1]

参考文献

  1. ^ a b c d e f g Redpath, Martina (2013年11月19日). “The Truth About the Black Knight Satellite Mystery”. Armagh Planetarium英語版. 2015年6月14日閲覧。
  2. ^ “13000 year old alien satellite orbiting Earth”. Voice of Russia. (2013年8月8日). http://sputniknews.com/voiceofrussia/news/2013_08_08/13000-year-old-Alien-satellite-orbiting-Earth-7824/ 2016年3月8日閲覧。 
  3. ^ a b Dunning, B. (2013年6月4日). “The Black Knight Satellite”. Skeptoid英語版 Podcast. Skeptoid Media Inc.. 2014年3月10日閲覧。
  4. ^ a b c Redpath, Martina (2013年7月18日). “Clyde Tombaugh and the Mysterious Satellite”. Armagh Planetarium. 2015年6月14日閲覧。
  5. ^ Editors (1960年3月7日). “Science: Space Watch's First Catch”. TIME Magazine. http://content.time.com/time/magazine/article/0,9171,894745-1,00.html 2014年4月9日閲覧。 
  6. ^ Michael S. Collins and the Winterwind staff. “An Interview with Duncan Lunan - Part Two - Unabridged Version”. Winterwind Productions. 2015年8月23日閲覧。
  7. ^ James Oberg (2014年10月21日). “Phantom satellite? What IS it? What ISN’T it? WHY the confusion?”. 2016年3月8日閲覧。





英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ブラックナイト衛星」の関連用語

ブラックナイト衛星のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ブラックナイト衛星のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのブラックナイト衛星 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2024 GRAS Group, Inc.RSS