限界マンション
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/24 17:08 UTC 版)
限界マンション(げんかいマンション)は、日本のマンションの形態を表す言葉。
概要
分譲マンションにおいて建物の老朽化と居住者の高齢化により空室化や賃貸化が急速に進み、維持管理や建て替えが困難となる。その結果管理が不全となったマンションのことをいう[1]。現状を見てみれば、限界マンションとは東京都23区内の人気エリアであっても身近なものになりつつあることが分かる[2]。
限界マンションというものは日本全国において増加してきている。限界マンションには行き場の無い高齢者が取り残されており、都会の限界集落の様相を表している。この限界マンションからは、これからの日本は人口が減少する時代を迎えるものの住宅を過剰に供給し続けるという政策の貧困さと、少子高齢化が進んで行く未来の縮図を見て取ることができる。日本には古いマンションを維持して長く利用する仕組みが無いという指摘もある[3]。
限界マンションの始まりは建物の劣化からである。特に劣化しやすいのは外壁の塗装と防水の破断である。このように劣化すれば新たな入居者がいなくなり居住者の人数そのものが減少する。賃貸をしているのに空き室であったり、持ち主は引っ越したものの売却や賃貸を行っていないことなどからである。そうなれば管理組合の運営が停滞して、建物や敷地やエレベーターなどの共有施設の点検や清掃が行き届かなくなり、共同生活のルールが守られなくなりトラブルが発生する可能性も出てくる。所有者は賃貸を目的ならば管理組合の総会に出席しなかったり活動に無関心なことも多く、管理組合は健全に機能しなくなる。誰も理事に立候補しなくなり、同一人物が理事を継続するケースも増え、こうなれば惰性的になり管理費を使い込むということが発生する場合もある。限界マンションとなることを防ぐためにはマンションの建て替えをするという手段もあるのだが、マンションの建て替えをするためには多数の賛成を得る必要がある。若年層が多いマンションならば今後も住み続ける予定から賛成を得られやすいが、高齢者が多いマンションならば費用や体力の負担が大きく賛成を得ることは難しい[4]。
マンションの管理員の担い手が足りなくなっていることも限界マンションとなっている原因である。大阪府のシルバー人材センターでの管理員の講習は50人の枠に200人以上が応募するというのが普通であったのが、2018年時点でここ数年は応募段階で定員割れするという状態となり、実際に受講するのは40人以下になるという場合もあるとのこと。かつてはマンション管理員といえば定年退職した人の第二のキャリアとして人気の職種であったのだが、この年代の人たちが求職市場に出てこなくなったのが原因である。2013年に施行された法律により企業は希望者全員を65歳まで雇うことが義務付けられたために、60代前半の求職者が減少したためである[5]。
限界マンションとなっているマンションは、消防関係の法定点検も困難になっている。業者の中には依頼者にとって良い意味でいい加減にやっているというところもある。建築基準法で定められている維持保全や定期点検や報告は、限界マンションの管理組合ではしっかり守ろうと思っても守れない状態である[6]。
限界マンションとなっているのは、家賃の安い賃貸マンションともなっており、外国人にとっても借りやすくなっている。もはや相手を選んでいられない状態のため、外国人を拒否している場合は少ない。住民の半分以上が外国人のところもあり、ゴミ集積所の案内も外国語で書かれている。外国人がゴミの出し方をいい加減にしているために日本人までもがゴミをいい加減に出すようになり集積所は荒れ放題となっているところもある。外国人の中にはトイレが使用できないのを我慢できなくて、便を上階から庭に投げ捨てるという場合もある[6]。
脚注
- ^ “【戦慄のルポ】いま全国の「限界マンション」で起きていること”. 現代ビジネス (2016年12月30日). 2025年8月24日閲覧。
- ^ “東京・練馬区の「マンション」が大変なことに…”. 現代ビジネス (2025年6月29日). 2025年8月24日閲覧。
- ^ “「限界マンション」が急増、やがてスラム化し廃墟となる”. ビジネス+IT. 2025年8月24日閲覧。
- ^ “限界マンションとは何か?マンションの耐用年数47年と築年数について解説!|一括査定で不動産売却【すまいValue】”. sumai-value.jp (2022年12月27日). 2025年8月24日閲覧。
- ^ “管理人の人手不足が「限界マンション」を生む! 法律の影響も…”. AERA DIGITAL(アエラデジタル) (2018年4月20日). 2025年8月24日閲覧。
- ^ a b “「限界マンション」70代の管理組合長が明かす軋轢と分断”. NEWSポストセブン. 2025年8月24日閲覧。
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