適法なるイエスとは? わかりやすく解説

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適法なるイエス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/27 02:29 UTC 版)

適法なるイエス
著者 Shmuley Boteach
言語 英語
題材 宗教
出版社 Gefen Publishing House
出版日 2012年2月1日
出版形式 ハードカバー, 電子書籍
ページ数 300
ISBN 978-9652295781

適法なるイエス (Kosher Jesus) (2012年)は正統派ユダヤ教ラビ・シュミリー・ボウテイアク (Shmuley Boteach) の著書で、ユダヤ教キリスト教の関係に焦点を当てている。

背景

ボウテイアクは本書の前に Kosher SexThe Michael Jackson Tapes を含む2ダース以上の本を書き著しており、テレビのリアリティー・ショー"家庭の平和 (Shalom in the Home) "のホストでもあった[1] 。本書の主題の背景として、ほぼ1世紀前の1925年12月改革派ユダヤ教のラビ・スティーヴン・サミュエル・ワイズがユダヤ人イエスに関する説教を行い、Agudath Harabonim (The Union of Orthodox Rabbis of the United States and Canada, 合衆国カナダの正統派ラビ連合のヘブライ語名) から非難の布告を発せられるに至る騒動を起こしたことがある[2][3]。 また、ボウテイアクは本書を書く重要なきっかけになった、あるキリスト教宣教師との遭遇を経験した。

"まだ私が若いラビで、学校内で生徒たちにプーリームのプレゼントを配っていたとき、その30歳の男が微笑みながらやってきて、プーリームを喜び祝い、人々を集めました。それから彼は新約聖書とヘブライ語聖書を巧みに取り出し、何故私がイエスを信じないのかと詰問しました。彼はキリスト教の宣教師で、多勢の生徒たちの前でイエスなしには私は地獄で焼かれるだろうと言いました。私はそれに応えることのできない無力さにとても驚きました。その日から私はヘブライ語聖書とともに新約聖書を読み始め、その大部分を記憶するようになりました"[4]

内容

ユダヤ属州 during the 1st century

本書は1世紀の第二神殿期のユダヤ教新約聖書の文脈で、イエスの教えのラビ・ユダヤ教的な起源を精査する。また、史的イエスへの学問的な見解と、ユダヤ人著者たちによって表現された初期ラビ文献の神学的な理想とを比較する。

ボウテイアクはイエスをメシアだとは信じていないと明確に述べている。同時に、ボウテイアクは「ユダヤ人は彼の神性を認めずに、イエスから学ぶべきことが多くある。イエスを偉大な賢明さ、美しく倫理的な教え、そして全くのユダヤ的愛国心の人として受け入れるべき理由は多い"[5]」と論じる。彼はユダヤ・キリスト教的価値観について、「ユダヤ的価値観とキリスト教的価値観を結びつけるのはイエス自身だ」と結論づける[6]。本書は2012年エルサレムニューヨークにオフィスを持つ Gefen Publishing House より発行された。

本書ではイエスは賢人で、博識なトーラーを厳守するユダヤ教のラビだと論じられる。彼はユダヤ人コミュニティーの大切なメンバーだったとする。同時に、イエスはローマ人たちをその残酷さから嫌っていて、彼らに対して勇敢に戦ったと言う。本書はユダヤ人はイエスの処刑に関与しなかったとし、むしろ彼の裁判と死の責任はポンティウス・ピラトゥスをはじめとするローマ人にあるとする。イエスはローマによる圧政を覆そうとして処刑されたのであって、トーラーのあらゆる面からのユダヤの祭礼遵守のために働いたとする[7]

ボウテイアクは本書が「イエスの教えの本来の起源をトーラー、タルムードとラビ文献にさかのぼるものである[4]」とする。

彼は敬虔なユダヤ人としてのイエスに関する新しい見解が反ユダヤ主義を撲滅し、ユダヤ人とクリスチャンの友好関係を築き、ユダヤ・キリスト教的価値観を強化するものだとする希望を表明した[8]

ボウテイアクはイギリスのユダヤ人学者であるHyam Maccoby の成果に言及した。Maccoby はイエスは主流派のユダヤ教の教師であり、その教えは後に曲解されて使徒パウロがキリスト教を創設したとする見解に賛同した[9]

反応

The Algemeiner Journal の批評家ジェレミー・ローゼンはボウテイアクが「クリスチャンにはイエスが神ではなく、魅力あるユダヤ人青年だと理解してもらいたいし、ユダヤ人にはイエスが異端で、ユダヤ人を2000年間に渡って迫害してきた宗教の創設者だと考えるのを止めてほしいのだ」と意見を述べた。

脚注

  1. ^ Brown, Matthew (2012年6月21日). “Popular author Rabbi Shmuley Boteach seeks to become first rabbi in Congress”. Deseret News. 2022年4月11日閲覧。
  2. ^ Adam Soclof (2012年2月5日). “Kosher Jesus - Again”. Jewish Telegraphic Agency. 2022年4月11日閲覧。
  3. ^ DR. WISE RESIGNS FROM JEWISH FUND; Says He Does Not Wish Sermon on Jesus to Hurt United Palestine Appeal. He explains his position. Louis Lipsky Defends Him as a Champion of Zionist Cause and Religion of Jews.”. The New York Times (1925年12月25日). 2022年4月11日閲覧。
  4. ^ a b Mayefsky, Chana (2012年1月25日). “Shmuley Boteach: Was Jesus Kosher?”. Publishers Weekly. 2012年1月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年9月26日閲覧。
  5. ^ Richard Allen Greene (2012年4月5日). “Jews reclaim Jesus as one of their own”. CNN. 2022年4月11日閲覧。
  6. ^ Paul de Vries (2012年3月23日). “Koshering Jesus More: An Evangelical Review of Shmuley Boteach's 'Kosher Jesus'”. Christian Post. 2022年4月27日閲覧。
  7. ^ Boteach (2012). Kosher Jesus, p. xvii
  8. ^ Edward Kessler (2014年3月27日). “Jesus and the Jews”. The Tablet. 2022年4月27日閲覧。
  9. ^ Rosen, Jeremy (2011年12月26日). “Book Review: Kosher Jesus”. The Algemeiner. 2013年4月28日閲覧。

関連項目

外部リンク




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