遠位尿細管性アシドーシス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/24 03:14 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動遠位尿細管性アシドーシス(えんいにょうさいかんせいアシドーシス、英:distal renal tubular acidosis、dRTA)とは腎臓の遠位尿細管障害により起こる代謝性アシドーシスである。尿細管性アシドーシスの中では I型に分類されている[1]。
原因
病態
遠位尿細管ではH+をアンモニアとともに NH4+として排泄し、HCO3−を再吸収している。そのため遠位尿細管が障害されると、H+の排泄とHCO3−の再吸収をすることができなくなる。
結果的に体内にH+が蓄積され、尿中にはHCO3−が排泄されることとなる。マイナスに荷電したHCO3−が排泄されることでその電荷に引き寄せられたNa+イオンとK+イオンが尿細管内に出てしまう。これにより低カリウム血症・低ナトリウム血症となる。
カルシウムイオンCa2+は血液中では半数がアルブミンと結合しており、半数が無機イオンの形で存在している。アルブミンと結合したCa2+は、糸球体でサイズバリア・チャージバリアによって濾過されない。体内に蓄積されたH+は血中に存在するアルブミンと結合するが、もともと結合していたCa2+を血中に追い出す形で起こる。そのため、血中には無機Ca2+が増える。無機Ca2+は糸球体で濾過されるため、尿細管内に濾過されるCa2+の量が増加する。そのため、骨軟化症・腎石灰化などの症候が出現する。
治療
アルカリとカリウムの補充が主となる。尿細管性アシドーシス自体には根本的な治療がないため、対症療法しかできない。また、クエン酸含有アルカリ液(Shohl液)は血液をアルカリ化し結石を防止する。
診療科
脚注
- ^ 冨田公夫、「尿細管性アシドーシスの分類と診断」『日本内科学会雑誌』 86巻 10号 1997年 p.1891-1896, doi:10.2169/naika.86.1891
参考文献
- 佐々木成、「遠位尿細管性アシドーシス」 medicina 22巻 10号, 1985/10/10, doi:10.11477/mf.1402219962
- 関常司, 堀田晶子, 鈴木正志, 山田秀臣, 「尿細管性アシドーシス (PDF) 」『日本腎臓学会誌』 53巻 2号 2011年 p.173-176
外部リンク
- 尿細管性アシドーシス 小児慢性特定疾病情報センター
遠位尿細管性アシドーシス
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「尿細管性アシドーシス」の記事における「遠位尿細管性アシドーシス」の解説
遠位尿細管性アシドーシス(えんいにょうさいかんせいあしどーしす)は、尿細管の中でも糸球体から遠い部分である遠位尿細管が何らかの障害によって、水素イオン(H+)を排泄できない事で起こる尿細管性アシドーシス。近位尿細管性アシドーシスよりも重篤である。また腎石灰化を伴うことが多い。
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