複素関数と2次元調和関数
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/06/18 02:16 UTC 版)
「調和関数」の記事における「複素関数と2次元調和関数」の解説
複素数 z = x + iy (x, y ∈ R) を変数とする複素 1 変数複素関数 f (z) について、これを実 2 変数の関数として書き直すことができる。実 2 変数複素関数 w(x, y) = f(z) を、実部と虚部に分解すると w(x, y) = u(x, y) + iv(x, y) (u, v ∈ R), 実部と虚部に対応する実 2 変数の実関数として u(x, y) と v(x, y) が得られる。このとき、w が複素微分可能であれば u(x, y), v(x, y) は実 2 変数の調和関数となる。 コーシー・リーマンの関係式より、2 つの関数 u(x, y), v(x, y) は { ∂ u ∂ x ( x , y ) = ∂ v ∂ y ( x , y ) ∂ u ∂ y ( x , y ) = − ∂ v ∂ x ( x , y ) {\displaystyle {\begin{cases}{\dfrac {\partial u}{\partial x}}(x,y)={\dfrac {\partial v}{\partial y}}(x,y)\\{\dfrac {\partial u}{\partial y}}(x,y)=-{\dfrac {\partial v}{\partial x}}(x,y)\end{cases}}} を満たすが、これをベクトル解析の言葉で書き直せば grad u(x, y) = (∂y, −∂x)Tv(x, y) となり、この湧き出し div grad u(x, y) = Δ u(x, y) はゼロなので、関数 u(x, y) は 2 次元のラプラス方程式を満たす調和関数であることが分かる。同様の方法でまた v(x, y) も調和関数であることが導かれる。すなわち、正則な複素関数の実部と虚部は実調和関数となる。 逆に、2 つの実調和関数がコーシー・リーマンの関係式を満たすとき、それらは共役であるといい、共役な実調和関数の対u(x, y), v(x, y) が与えられると、z = x + iy を変数とする正則関数f(z) = u(x, y) + iv(x, y) が得られる。単連結領域上の実調和関数は共役調和関数を持つ(すなわち正則関数の実部あるいは虚部である)。
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