縄とびの寒暮傷みし馬車通る
作 者 | |
季 語 | |
季 節 | 冬 |
出 典 | 夜の崖 |
前 書 | |
評 言 | 鬼房は昭和29年に第3回現代俳句協会賞を受賞。 対象となった作品30句のなかにこの句が含まれている。 つい最近、この句が詠まれた場所、塩竈市赤坂の交差点ポケットパークに句碑が建った。 戦後のこの交差点付近には蹄鉄屋があり、荷馬車がたくさん往来していたと言う。 その頃の縄飛びは長い縄を二人で回し子供たちが次々と飛ぶ遊びだった。縄飛びのひゅうひゅうと地を打つ音と、荷馬車のごろごろとゆく音が日暮れの寒い町に響き渡る。どこにでもあった実景だが、作品化された時「傷みし」という言葉によりより心象化され、虐げられた人々の暮らしが見える。 簡潔な表現だが奥深い味わいがありこの詩情の豊かさは鬼房の代表句として誰もが納得する句となっている。 受賞作の中の好きな作品をあげておく。 青年へ愛なき冬木日曇る 青麦のたしかな大地子の背丈 孤児たちに清潔な夜の鰯雲 怒りの詩沼は氷りて厚さ増す 油じむ肘の強さも氷雨中 |
評 者 | |
備 考 |
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