結合性と乗法写像
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/27 08:43 UTC 版)
上では結合性を A の全称量化された「元」を以って定義したが、元を陽に用いずに結合性を定義することも可能である。多元環を、線型空間 A 上の写像(乗法) M : A × A → A {\displaystyle M\colon A\times A\to A} として定義する。このとき結合多元環は、写像 M が M ∘ ( Id × M ) = M ∘ ( M × Id ) {\displaystyle M\circ ({\text{Id}}\times M)=M\circ (M\times {\text{Id}})} なる性質を満たすような多元環として定まる。ここで、記号 "∘" は写像の合成、Id: A → A は A 上の恒等写像である。 これが上で与えた定義と同値な定義であることを見るには、上記等式の各辺が三つの引数をとる写像であることを理解するだけで十分である。例えば左辺は ( M ∘ ( Id × M ) ) ( x , y , z ) = M ( x , M ( y , z ) ) {\displaystyle (M\circ ({\mbox{Id}}\times M))(x,y,z)=M(x,M(y,z))} として作用する。同様に単位的結合多元環は、単位写像 η : K → A {\displaystyle \eta \colon K\to A} を定義することによって与えられる。これは M ∘ ( Id × η ) = s = M ∘ ( η × Id ) {\displaystyle M\circ ({\text{Id}}\times \eta )=s=M\circ (\eta \times {\text{Id}})} なる性質を満たすものである。ここで、単位写像 η は K の元 k を A の元 k1, 即ち A の単位元 1 のスカラー k-倍へ写す。また写像 s はもともとの素のスカラー乗法 K × A → A である。従ってスカラー乗法が陰伏的なものと理解するならば、上記の等式は s のところを Id に代えて記すこともある。
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