組織型プラスミノゲン活性化因子とは? わかりやすく解説

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組織プラスミノーゲン活性化因子

(組織型プラスミノゲン活性化因子 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/13 10:45 UTC 版)

組織プラスミノーゲン活性化因子(tissue plasminogen activator:略称 t-PA または PLAT)は、線溶系に関与するセリンプロテアーゼの1種(EC 3.4.21.68)である。ウロキナーゼ(uPA)と同じく、プラスミノーゲンを活性化することでフィブリンを分解させ、血栓溶解薬として塞栓症および血栓性疾患(心筋梗塞脳梗塞)の治療に使われる。組み換え型t-PA(rt-PA)も用いられている。

血管内皮細胞から分泌される。ウロキナーゼと同様に、1本鎖t-PA(前駆体)として作られ、プラスミン等により開裂されて活性の高い2本鎖t-PA(ジスルフィド結合でつながっている)となるが、1本鎖t-PAも活性を有する。プラスミノーゲンを活性化し、活性型のプラスミンを生成する。プラスミンは血栓のフィブリンを溶解するセリンプロテアーゼであり、また細胞外基質の分解にも関与する。t-PAは凝固線溶系において、1本鎖型のプラスミノーゲンを開裂し2本鎖型のプラスミンにする。このプラスミンがトロンビンを分解し血栓を溶解する。また細胞外基質の分解を通じて細胞移動やがん転移にも関与する。

問題点

脳細胞は一度破壊されると再生せず、脳の血流が途絶えてしまうとその時点から脳細胞が死滅していく。そのため、t-PA製剤は発症後4.5時間以内に薬を投与しなければならない。

t-PAは、誤って脳出血患者に使用すれば出血が止まらないことから、投与前の診断が非常に重要となる。そのため、CTMRIなどを備えた高次医療機関での投与が必要とされるが、脳神経外科医不足の問題から24時間365日体制でt-PAの投与を行う施設はごく限られている。そうした背景もあって、日本では2005年10月の承認から2007年1月までに4800例ほどにしかt-PAが使用されておらず、その恩恵を受けている患者は一握りにすぎない[1]

遺伝子組換え組織プラスミノーゲン活性化因子

天然型のt-PAは半減期が短く、医薬品として用いる場合には大量長時間に投与する必要があり、非梗塞部位での出血のリスクが高い。その改善の為アミノ酸配列を変更し、半減期を延長した遺伝子組換え製剤が開発された[2]

脚注




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