第3楽章「無窮動」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/11 09:40 UTC 版)
「ヴァイオリンソナタ (ラヴェル)」の記事における「第3楽章「無窮動」」の解説
アレグロ、ト長調。『ツィガーヌ』の系譜に連なる華やかなフィナーレ楽章である。第1楽章の第2の素材(「狼の怒り」)の変形による序奏の後、ジャンケレヴィッチが「名誉回復されたパガニーニの名人芸(ヴィルテュオジテ)」と表現するように、ヴァイオリンが息つぐ暇を与えず急速に動き回る。ラヴェルはこの楽章について「できるだけ速く弾いてよろしい」と語っている。ピアノのパートは単なる伴奏にとどまらず、第1楽章、第2楽章の主題の変形を弾いており、ジュルダン=モランジュはヴァイオリンだけが前面に出る演奏を戒めている。 前の楽章からの引用については主題や動機が変形されているため、特に第2楽章からの引用はやや分かりにくい。次ののモチーフ(譜例・上)は、第2楽章に由来しているが(譜例・下)リズムが変えられている。音程に着目すると「4度下降、3度上行、3度下降…」という同じ動き方をしている。 (第3楽章) (第2楽章) 次のモチーフ(譜例・上)も第2楽章に由来している(譜例・下)。ここではリズムもほぼ同じである。 (第3楽章) (第2楽章) 次のモチーフ(譜例・上)も第2楽章のモチーフ(譜例・下)に由来しており、音の動く音程がほぼ同じである。このモチーフは低音部でも演奏される。 (第3楽章) (第2楽章) 長7度の跳躍をもつ次のモチーフ(譜例・上)は、第1楽章のモチーフ(譜例・下)に由来している。 (第3楽章) (第1楽章(再掲)) 終結部分では、第1楽章冒頭の主題が 完全五度の響きを伴い ff で再現された後(譜例)、ト長調の主和音と嬰ヘ長調の主和音が同時にアルペジオで鳴らされ、ト長調の主和音で曲を閉じる。 (第3楽章) (第1楽章の冒頭)
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