私的言語とは何か
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/24 15:52 UTC 版)
もし誰かが、かれ以外の誰にも理解できない言語を、理解するかのように振る舞うことがあったとしたら、それこそが私的言語だということができよう。とはいえ、その言語が単に孤立した言語である、つまりかつて翻訳されたことがないというだけでは、十分ではない。ある言語がヴィトゲンシュタインのいう私的言語であるためには、原理的に(通用する言語に)翻訳できない言語でなければならない。たとえば、他人には窺い知ることができないような内的経験を記述する言語である。ここでいう私的言語とは、単に「事実として」ただひとりが理解する言語のことではなく、「原理的に」ただひとりにしか理解できない言語のことである。絶滅寸前の言語を話す最後のひとりは私的言語を話しているわけではない。その言語はなお原理的に習得可能だからである。私的言語は習得不可能かつ翻訳不可能でなければならない。そして、にもかかわらず話者はその意味を理解するかのようでなければならない。
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