男女共同参画センター横浜南
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外観
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| 概要 | |
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| 旧名称 | 横浜市婦人会館(1978年 - 2005年)[1] |
| 住所 | 神奈川県横浜市南区南太田1-7-20[2][3] 日本 |
| 座標 | 北緯35度26分10.6秒 東経139度36分54.1秒 / 北緯35.436278度 東経139.615028度 |
| 交通アクセス | 京急本線南太田駅から徒歩3分、または横浜市営地下鉄ブルーライン吉野町駅から徒歩7分 |
| 所有者 | 横浜市[4] |
| 経営者 | 公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会(指定管理者)[1] |
| 種類 | 公共施設(男女共同参画センター) |
| 現用途 | 男女共同参画推進・市民支援拠点 |
| 開業 | 1978年 |
| ウェブサイト | |
| 男女共同参画センター横浜南(フォーラム南太田) | |
男女共同参画センター横浜南(だんじょきょうどうさんかくセンターよこはまみなみ、愛称:フォーラム南太田)は、神奈川県横浜市南区にある横浜市の男女共同参画拠点施設である[5]。相談・講座・情報提供・施設提供等を通じて、市民および事業者の取組を支援する[4][5]。公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会が指定管理者として、横浜市内3館(横浜・横浜南・横浜北)を管理運営している[4][5]。
前身の「横浜連合婦人会館」は、関東大震災後の復興・救済活動の拠点として、女性たちにより1927年に自主建設された歴史を持つ(後述)。1978年に現在地に「横浜市婦人会館」として開館し、2005年に現名称に改称された[1][6]。
概要
男女共同参画社会の実現を目的として横浜市が設置した市民利用型施設であり、相談事業、情報提供、就労支援、市民や団体活動の支援などを行っている[5][7]。館内には交流ラウンジや資料室、就労体験ができる喫茶コーナー「めぐカフェ」のほか、会議室、音楽室、和室などの貸出施設がある[5][7]。
施設
- 交流ラウンジ:市民や団体の交流・情報交換のためのスペースで、ラウンジ内には作品展示ができるミニギャラリーと「めぐカフェ」がある[8]。
- めぐカフェ:2010年度に開設された就労体験型の喫茶コーナーで、若年女性らが接客や運営を体験できる場となっている[9]。
- 資料室:男女共同参画に関する図書・資料を収集・貸出し、漫画・絵本なども所蔵する[10][11]。3館合計で約6万8千点(2019年時点)を所蔵し[7]、3館の蔵書は相互に取寄せ・貸出・返却が可能である[12]。
- 子どもの部屋:講座や施設利用時に子どもを預けることができる一時保育室[13][12]。
- 研修室、会議室等:研修室、会議室、音楽室、和室、トレーニング室などを市民に貸出している[14][7]。調理・工作に対応する設備を備えた「生活工房」も設置されている[15]。
事業
- 情報事業
専門ライブラリの運営、資料・情報の収集提供のほか、テーマ別展示やレファレンスサービスの提供などにより情報発信を行う[7][16]。
- 講座事業
- 就業・起業支援や暮らし、健康、DVやハラスメントなどに関する講座・セミナーを実施している[5][17]。
- 若年女性支援事業として、2009年に「ガールズ編しごと準備講座」を開始し[18]、2010年には人や社会と関わるスキルを学ぶ就労体験の場「めぐカフェ」を開設、2015年からは地域住民のグループや企業などの協力を得て、受講生がボランティアなどを行う「社会参加体験」を実施している[19]。これらの取組は、就労を最終目的とせず、安心できる場での交流や体験を通じて自己肯定感と社会とのつながりを回復することを重視している[18][19]。
- 相談事業
- 「心とからだと生き方の総合相談」(電話・面接):日常生活の困りごとや家族・職場の人間関係、DV等に対応する相談窓口[20][21][22]。
- 「女性としごと 応援デスク」:女性の再就職や転職、職場の人間関係やハラスメントなどの総合相談窓口[7][23]。
- 自助グループの募集・支援[20][24][25]。
- 市民協働支援
市民協働・連携事業を行い、文化活動や草の根活動の拠点機能を担う[15][24]。市民グループによる企画の具体例には、横浜で暮らす外国にルーツを持つ人々に関するイベントや[26][27]、性的少数者の写真展などがある[28]。
- 広報啓発事業
ホームページやSNS、広報誌「フォーラム通信」(1988年–、年2回発行。3館共通)などで情報を発信[5][29]。
歴史
本センターの前身は、女性の社会活動の拠点として1927年に日本で初めて建設された婦人会館「横浜連合婦人会館」である[30][31]。
- 1923年: 関東大震災の発生を受け、横浜の女性たちが復興・救済活動を目的に「横浜連合婦人会」を結成[29][30]。
- 1927年: 各方面から寄付を集め、活動拠点として紅葉坂(現・西区宮崎町)に「横浜連合婦人会館」を建設・開館[32][33]。会長の渡辺たまは自ら高額な寄付を行い建設を支えた[33]。
- 1936年:戦時体制下で婦人団体が統合され、同会は解散、土地と建物を横浜市に寄贈[33][6]。
- 1942年:「横浜市連合婦人会館」へ改称。戦時中は旧日本軍、戦後は「紅葉坂ホテル」として進駐軍などに使用された[6][33]。
- 1952年:横浜市に返還され、「横浜市婦人会館」として再出発[6][33]。
- 1978年:老朽化により閉館し、現在地の南区南太田に移転・開館[6][31]。
- 2000年4月:財団法人横浜市女性協会(現・公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会)が運営を受託[34]。
- 2005年4月:男女共同参画推進の拠点としてリニューアルし、「男女共同参画センター横浜南(フォーラム南太田)」に改称。指定管理者制度を導入[1]。
- 2010年:就労体験型カフェ「めぐカフェ」開設[9][35][36]。
- 2022年:旧館時代の資料を整理し、100年の歩みをまとめた記録冊子『横浜連合婦人会館史 100年のバトンを受けとる』を刊行[29]。
刊行物
- 『横浜連合婦人会館史 100年のバトンを受けとる』(男女共同参画センター横浜南:編、江刺昭子:監修、2022年)[30][31][33]
関連施設
横浜市内には3館の男女共同参画センターがある[4][36]。
- 男女共同参画センター横浜(フォーラム、戸塚区) - 「横浜女性フォーラム」として1988年に開館。
- 男女共同参画センター横浜南(フォーラム南太田、南区) - 「横浜市婦人会館」として1978年に開館。
- 男女共同参画センター横浜北(アートフォーラムあざみ野、青葉区) - 横浜市民ギャラリーあざみ野との複合文化施設として2005年に開館。
所在地・アクセス
- 所在地:神奈川県横浜市南区南太田1-7-20[2][7]
- 開館時間:9:00 - 21:00(日曜・祝日は9:00 - 17:00)[2][7]
- 休館日:毎月第3月曜日・年末年始[2][7]
- アクセス:京急本線南太田駅から徒歩3分、または横浜市営地下鉄ブルーライン吉野町駅から徒歩7分[3][7]。
脚注
- ^ a b c d “男女共同参画センター横浜南”. 女性情報ポータルWinet. 2025年10月4日閲覧。
- ^ a b c d “交通アクセス”. 男女共同参画センター横浜南. 2025年10月4日閲覧。
- ^ a b “男女共同参画センター 横浜南 フォーラム南太田”. 公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会. 2025年10月4日閲覧。
- ^ a b c d “横浜市男女共同参画センター条例” (PDF). 横浜市 (2016年2月24日). 2025年10月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g “横浜市男女共同参画センターについて”. 横浜市 (2025年1月31日). 2025年10月1日閲覧。
- ^ a b c d e 江刺昭子:監修. “『横浜連合婦人会館史 100年のバトンを受けとる』「横浜連合婦人会館史」解説”. 公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会 男女共同参画センター横浜南(2022年). 2025年10月10日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “第5次横浜市男女共同参画行動計画 2021-2025” (PDF). 横浜市. 2025年10月8日閲覧。
- ^ “交流ラウンジ”. 男女共同参画センター横浜南フォーラム南太田. 2025年10月8日閲覧。
- ^ a b “横浜市男女共同参画センターでの試み:女性のエンパワーメントをめざして”. NWEC実践研究 巻6, p.112-127 (2016年2月28日). 2025年10月3日閲覧。
- ^ “ライブラリを利用する”. 男女共同参画センター横浜(フォーラム). 2025年10月1日閲覧。
- ^ “「ひとり、こんなに肯定されてる」ひとりの本だらけの企画展に、横浜市の図書館が込めたメッセージ”. ハフポスト (2017年7月27日). 2025年10月1日閲覧。
- ^ a b “アートフォーラムあざみ野 (男女共同参画センター横浜北・横浜市民ギャラリーあざみ野)”. コドモト. 2025年10月7日閲覧。
- ^ “保育を利用する”. 男女共同参画センター横浜フォーラム. 2025年10月10日閲覧。
- ^ “施設をつかう”. 男女共同参画センター横浜南フォーラム南太田. 2025年10月8日閲覧。
- ^ a b “公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会 設立30周年記念誌 未来へのタネをまく” (PDF). 公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会 (2017年11月12日). 2025年10月2日閲覧。
- ^ “情報事業”. (公財)横浜市男女共同参画推進協会. 2025年10月1日閲覧。
- ^ “生活設計策を解説 フォーラム、単身女性に”. タウンニュース 南区版 (2021年9月16日). 2025年10月4日閲覧。
- ^ a b “ガールズ編しごと準備講座 修了者調査から(上)”. 神奈川新聞 (2024年8月10日). 2025年10月4日閲覧。
- ^ a b “ガールズ編しごと準備講座 修了者調査から(下)”. 神奈川新聞 (2024年8月16日). 2025年10月4日閲覧。
- ^ a b “相談する”. 男女共同参画センター横浜南フォーラム南太田. 2025年10月8日閲覧。
- ^ “相談事業”. (公財)横浜市男女共同参画推進協会. 2025年10月2日閲覧。
- ^ “「心の居場所がない」家で 会社で孤立 苦悩抱える女性たち”. NHK (2023年5月15日). 2025年10月1日閲覧。
- ^ “フォーラム南太田 働きたい女性を支援 相談窓口「女性としごと 応援デスク」”. タウンニュース 南区版 (2018年3月22日). 2025年10月4日閲覧。
- ^ a b “横浜市男女共同参画センターでの試み:女性のエンパワーメントをめざして”. NWEC実践研究 巻6, p.112-127 (2016年2月28日). 2025年10月3日閲覧。
- ^ “男女共同参画センター横浜南 相談事業の概要”. 女性情報ポータルWinet (2025年9月1日). 2025年10月8日閲覧。
- ^ “外国にルーツ、私らしく 横浜で1月11日上映会”. 神奈川新聞 (2019年12月31日). 2025年10月4日閲覧。
- ^ “「外国人二世への支援を」 支援者らが訴え”. タウンニュース 南区版 (2022年10月13日). 2025年10月4日閲覧。
- ^ “「性別で決める必要ない」 南太田写真展 同性カップル語る”. タウンニュース 南区版 (2016年1月28日). 2025年10月4日閲覧。
- ^ a b c d “書籍・絵本(協会の刊行物)”. (公財)横浜市男女共同参画推進協会. 2025年10月4日閲覧。
- ^ a b c d “婦人会館の源流記す手記発見、書籍化へ 女性の社会参画 横浜に拠点 大正〜昭和期、規約など回顧録”. 東京新聞 (2021年9月3日). 2025年10月4日閲覧。
- ^ a b c “戦前の女性の社会進出とは 全国初の拠点「横濱婦人会館」記録発見”. 毎日新聞 (2022年2月27日). 2025年10月4日閲覧。
- ^ “公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会 設立30周年記念誌 未来へのタネをまく” (PDF). (公財)横浜市男女共同参画推進協会 (2017年11月12日). 2025年10月3日閲覧。
- ^ a b c d e f “横濱連合婦人会館史が記す女性たちの社会活動”. 神奈川新聞 (2021年9月21日). 2025年10月4日閲覧。
- ^ “協会について”. 公益財団法人 横浜市男女共同参画推進協会. 2025年10月1日閲覧。
- ^ “横浜に女性の就労支援カフェ&ギャラリー-新たな交流拠点に”. ヨコハマ経済新聞 (2010年11月13日). 2025年10月4日閲覧。
- ^ a b 小園弥生. “若い女性の就労体験「めぐカフェ」 ~横浜市男女共同参画センターの試み” (PDF). 横浜市 調査季報171号・特集/地域社会の新しい可能性を拓く-コミュニティ経済という視点から(2013年2月発行). 2025年10月4日閲覧。
- ^ 江刺昭子:監修. “横浜連合婦人会館史 100年のバトンを受けとる”. 公益財団法人横浜市男女共同参画推進協会 男女共同参画センター横浜南(2022年). 2025年10月10日閲覧。
外部リンク
- 男女共同参画センター横浜南 フォーラム南太田(公式サイト)
- 男女共同参画センター横浜南のページへのリンク