生態的地位の謎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/21 01:09 UTC 版)
ワニと類似する生態を持つアンブロケトゥスであれば、同じ時代を生きていたワニ類(クロコダイル類)と直接的な生態的競合を強いられていなければおかしい。ワニのような中生代で既にニッチ(生態的地位)を確固たるものにした動物がいるなかで、ワニ様の水生哺乳類が生存し得た理由は一つの謎である。この時代のテティス海周辺において、クロコダイルの生息を制限するような環境条件があったという証拠は、今のところ見つかっていない。アンブロケトゥスは、「なんらかの幸運な条件」に助けられて、クロコダイルとの競合を回避できていたものと考えられる。しかし、その期間は長く続かず、彼等は更に水中生活に特化する進化を遂げた系統以外は短命のうちに絶滅することになる。それ以降、このような「ワニ様の哺乳類」は見られず、そのニッチはワニ類が独占し続けている。アンブロケトゥスがワニ類との競合を避けられた「なんらかの幸運な条件」は、彼等の生存していた地域や時代のみに見られた、極めて特殊なものだったのかもしれない(彼らが出現したのとほぼ同じ時期に、ワニ類とよく似たチャンプソサウルスをはじめとするコリトデスラ類が絶滅しており、そのことと何らかの関係があるのかもしれない。)。
※この「生態的地位の謎」の解説は、「アンブロケトゥス」の解説の一部です。
「生態的地位の謎」を含む「アンブロケトゥス」の記事については、「アンブロケトゥス」の概要を参照ください。
- 生態的地位の謎のページへのリンク