日政とは? わかりやすく解説

日政

(深草元政 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/06 13:35 UTC 版)

深草元政 瑞光寺蔵

日政(にっせい、通称:元政上人(げんせいしょうにん)元和9年2月23日1623年3月23日)- 寛文8年2月18日1668年3月30日[1])は、江戸時代前期の日蓮宗漢詩人。山城・深草瑞光寺 (京都市)を開山した。日政は諱であり[1]、俗名は石井元政(もとまさ)。幼名は源八郎、俊平。号は妙子・泰堂・空子・幻子・不可思議など[1]

生涯

京都一条に地下(じげ)官人・石井元好の五男として生まれる。姉は彦根藩井伊直孝の側室・春光院である[1]。9歳の時に建仁寺・大統院に入り、九厳和尚の薫陶を受ける。後に近江・彦根に移り、13歳から城主の井伊直孝に仕える。松永貞徳に和歌も学んだ[1]

幼少から山水を愛し、たびたび京都に赴いていたところ、泉涌寺・雲龍院の如周が法華経を講ずるのを聴いて感ずるところあり、病弱なこともあって1649年(慶安2年)に職を辞し[1]出家して日蓮宗・妙顕寺の日豊について僧となる[1]。中正院の日護・本性寺の日徳と交流し、日蓮宗の秘奥を究めた。1655年(明暦元年)33歳で伏見深草に称心庵(後の瑞光寺)を営み、竹葉庵と号し仏道の修行に励んだ。翌年、79歳になる母の妙種を伴い身延山に参詣し、帰り道に江戸の井伊邸に母を託し、自身は日本橋に宿を取った。甥にあたる井伊直澄はたびたび自分の屋敷に招待したが、日政はそれを固辞し、母を連れて京に帰った。その年に庵のそばに仏殿などを開き、深草山瑞光寺を開山し、法華経修行の道場とし、門下の宜翁を上座としてともに修行した。修行の合間に詩歌を楽しみ、熊沢蕃山北村季吟など多数の著名人と交友関係があった。

1667年(寛文7年)に母の妙種の喪を営み、摂津の高槻にいたり一月あまり留まるがその翌年正月に病を得て、自ら死期を悟って深草に帰る。日燈に後事を託して寂す。享年46。遺体は称心庵のそばに葬られ、竹三竿を植えて墓標に代えたという。辞世として「鷲の山 常にすむてふ 峰の月 かりにあらはれ かりにかくれて」という歌がある。

校訂・著作

仏書から医学書まで数多くの著書を著した[1]。江戸時代から影響力があり、日政の著作に関する注釈書が数多く刊行された[1]

校訂者としては、『訓点天台三大部輔正記』・『大智度論』・『涅槃経会疏』・『法苑珠林』・『釈門章服義』・『袁中郎全集』・『宝物集』などの業績がある。

著作としては、『如来秘蔵集』6巻・『小止観鈔』3巻・『龍華傳鈔』3巻・『本朝法華傳』3巻・『扶桑隠逸傳』3巻・『元々唱和集』2巻・『衣裏宝珠鈔』・『釈氏二十四孝』・『釈門孝傳』・『龍華歴代師承傳』・『身延山七面記』・『身延山紀行』・『溫泉遊草』・『称心病課』・『草山要路』・『草山和歌集』・『食医要編』・『以空上人方丈記首書』・『聖凡唱和』・『都土産』・『霞谷法語』・『江左垂示』・『唱題得意』・『題目和歌鈔』がある。

から亡命して名古屋藩に仕えていた陳元贇の影響を受け、漢詩人としても知られる[1]。性霊派の祖と称される[1]。漢詩文集に『草山集』30巻・『谷口山詩集』6巻がある。

参考文献

  • 『元政行状』[要文献特定詳細情報]
  • 『近世畸人傳』[要文献特定詳細情報]
  • 『本化別頭仏祖統紀』[要文献特定詳細情報]
  • 『近世叢語』[要文献特定詳細情報]
  • 『近世名家著述目録』[要文献特定詳細情報]

訳注・評伝

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k 岡本勝, 雲英末雄編 『新版近世文学研究事典』おうふう、2006年2月、250頁。 

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