橋上で頬を殴ってもらう盲人の物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「橋上で頬を殴ってもらう盲人の物語」の解説
その男は、ババ・アブドゥッラーといい、80頭の駱駝を所有する駱駝曳きであった。ある日、ババ・アブドゥッラーは修道僧と知り合いになり、修道僧の知っている秘密の宝を取りに行くことになった。ある岩山に着き、修道僧が秘儀を行うと、岩山が割れ、中には無数の金銀宝石があり、とても80頭の駱駝に積める量ではなく、金銀はあきらめ、高価な宝石だけを駱駝に積めるだけ積んだ。修道僧は小さな金の壷を懐にしまった。 積めるだけ積んだので岩山を出ることになり、修道僧は宝を40頭ずつ分けようと提案した。ババ・アブドゥッラーは欲が出て60頭を要求し、交渉の結果、一旦はそれで話がまとまった。しかし、さらに欲が出て今度は70頭を要求し、再度の交渉の結果、70頭で話はまとまった。しかし、さらに欲が出て今度は80頭全部を要求し、再度の交渉の結果、80頭で話はまとまった。 ババ・アブドゥッラーは、修道僧が懐にしまった金の壷に大変な価値があるに違いないと思い修道僧に聞くと、修道僧は「この壷には煉り脂が入っており、左目の瞼に塗れば地中の宝が見えるようになるが、右目の瞼に塗ると両目がつぶれて見えなくなるものだ。」と答えた。ババ・アブドゥッラーが左目の瞼に塗ってもらうと、確かに地中の宝が見えるようになった。ババ・アブドゥッラーは、これを右目の瞼にも塗れば、もっとすごいものが見えるに違いないと思い、修道僧が止めるにもかかわらず、修道僧に右目の瞼にも塗ってもらったところ、言われた通り両目が見えなくなってしまった。 修道僧は80頭の駱駝を曳いてどこかに行ってしまった。残されたババ・アブドゥッラーは、たまたま通りかかった隊商に助けられ、バグダードまで来た。それ以来、ババ・アブドゥッラーは自分の強欲を恥じ、施しをもらうたびに頬を殴ってもらうようにしているのであった。
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