極限の存在性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/07 14:21 UTC 版)
勝手な図式 F : J → C はCに極限(または極限)を持つこともあるし、持たないこともある。さらに、Fへの錐すらないこともあり、このときは普遍錐ももちろん存在しない。 圏Cが Jの形の極限を持つというのは、形がJの任意の図式の極限がCで存在することをいう。特に、圏Cが 積を持つとは全ての小さな離散圏Jに対して、Jの形の極限を持つことを言う(大きな積を持つ必要はない) 等化子を持つとは ∙ ⇉ ∙ {\displaystyle \bullet \rightrightarrows \bullet } の形の極限を持つことである(つまり、全ての平行な射の対は等化子を持つ) 引き戻しを持つとは ∙ → ∙ ← ∙ {\displaystyle \bullet \rightarrow \bullet \leftarrow \bullet } の形の極限を持つことである(つまり、共通の余ドメインを持つ全ての射の対は引き戻しを持つ) 完備であるとは小さな極限をすべて持つことである(つまり、全ての小さい圏Jの形の極限を持つ) 双対的な定義も可能である。圏が Jの形の余極限を持つとは、形がJである全ての図式がCで余極限を持つことである。余完備圏は全ての小さな余極限を持つ圏のことである。 極限の存在定理とは、圏Cが等化子を持ち、クラスOb(J)とクラスHom(J)で添え字付けられた全ての積を持つならば、CはJの形の全ての極限を持つという定理である。この場合、図式 F : J → C の極限は二つの射 s , t : ∏ i ∈ O b ( J ) F ( i ) ⇉ ∏ f ∈ H o m ( J ) F ( c o d ( f ) ) {\displaystyle s,t:\prod _{i\in \mathrm {Ob} (J)}F(i)\rightrightarrows \prod _{f\in \mathrm {Hom} (J)}F(\mathrm {cod} (f))} の等化子として構成することができる。ここで、sとtは s = ( F ( f ) ∘ π F ( d o m ( f ) ) ) f ∈ H o m ( J ) t = ( π F ( c o d ( f ) ) ) f ∈ H o m ( J ) . {\displaystyle {\begin{aligned}s&={\bigl (}F(f)\circ \pi _{F(\mathrm {dom} (f))}{\bigr )}_{f\in \mathrm {Hom} (J)}\\t&={\bigl (}\pi _{F(\mathrm {cod} (f))}{\bigr )}_{f\in \mathrm {Hom} (J)}.\end{aligned}}} で与えられる。 双対的に余等化子と余積を使った余極限の存在定理も同様に成り立つ。これらの定理はJの形の全ての(余)極限が存在することの十分条件ではあるが、必要条件ではない。
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