東京都エジプト合意
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/17 23:15 UTC 版)
東京都エジプト合意(とうきょうとエジプトごうい)は、東京都とエジプトによって結ばれた合意で、エジプトへの支援を行うというもの。
概要
2025年8月21日に東京都は、エジプトとの間で4つの覚書や合意を結んだということを明らかにした。これの内容というのは、教員の専門性向上や技術者教育の充実や、グリーン水素市場の需要喚起やエジプト人労働者雇用であった。この時期には横浜市でアフリカ開発会議が開かれており、これに合わせて東京都とエジプト政府の担当者の間で締結されていた。8月20日には東京都知事とエジプト首相が横浜市で会談して東京都とエジプトの連携強化を確認した[1]。
この合意でのエジプト人労働者の日本での雇用においてはエジプト人労働者が日本での就労することでの協力をすることが明記されており、これには事実上の移民受け入れにつながるという指摘もあるが、これに対して東京都知事は移民受け入れを否定する。外国人が就労することからは、行方不明になったり家族帯同や結婚や難民申請などをすることで事実上の移民になるという批判がある[2]。
9月5日に東京都知事は記者会見を行い、そこで合意の締結とは、エジプトにおいて行われる日本での雇用に必要なスキルや基準の研修などについての助言や情報提供を行うことを目的とするものであるということを説明する。そして移民を受け入れることを促進するということを否定して、最近は国際協力機構のアフリカホームタウンの話などで、情報を正しく伝えられていないということが多々あるとした[2]。
東京都に対しては、9月上旬よりエジプトとの合意に関する問い合わせが増加する。SNSではエジプトとの合意を批判する立場から、東京都に問いただすことを呼びかけるという投稿が見られるようになっていた。9月12日には東京都庁の前でエジプトとの合意を撤回することを求めるデモが行われた[3]。東京都庁の前では毎週のように抗議デモが行われるようになる[4]。
9月5日にはグーグルマップで東京都の施設の表記が何者かに書き換えられているということが明らかとなった。そこでは「東京観光情報センター東京都庁」が「東京エジプト観光情報センター」に、「東京都議会議事堂」が「エジプト小池ゆりこ神殿・東京都議会議事堂」に書き換えられていた。東京都はこれに対してはグーグル側に削除要請を行い原状回復させて、今後はこのようなことができないようにグーグル側と協議をするとした。東京都以外にも国際協力機構によるアフリカ諸国のホームタウンに認定された自治体の施設が書き換えられるということが起きていた[5]。
東京都では外国人政策を巡ってSNSでは誤った情報が拡散されているとして、専用のハッシュタグを作り発信を強化する。東京都は誤った情報というのは、エジプトとの合意というのは移民を受け入れるという情報で、このことについて東京都への問い合わせが相次いでいるとのこと。東京都は「correct=正しい」という意味の単語を入れた「#TOKYO_CORRECT」というハッシュタグを用いることにしている[6]。東京都はこのハッシュタグを用いると共に、移民の受け入れ促進や特別な査証を発給することは想定していないと投稿した。このハッシュタグではエジプトとの合意以外の政策についての投稿でも用いられるようになっている[7]。
9月19日に東京都庁で行われた記者会見では、東京都知事はエジプトと結んだ合意については見直しは考えていないと述べた。このことについては誤った情報が拡散されているとして、正しい情報を伝えて行きたいとした[8]。この時期には都知事自身が否定している学歴詐称疑惑も再燃していた[9]。
9月26日に東京都庁で行われた記者会見では、国際協力機構がアフリカ諸国のホームタウンを撤回したことについてはひとえにJICAの判断と述べて、東京都がエジプトと合意を結んだことについては、これからも東京都として正しい情報を丁寧に伝えるとして見直さない考えを示した[10]。
10月2日に開かれた東京都議会本会議の一般質問において、参政党の議員と自由を守る会の議員によって、エジプトとの合意でのエジプト人労働者の就労協力は移民受け入れの促進につながるのではないかと懸念されていることについての説明が求められた。これには東京都知事は答弁には立たず局長が答えていた。局長はこの合意は、エジプト人の労働者や技術者を積極的に誘導するものではなく、移民の受け入れを促進するものでもなく、特別な査証が発給されることも無いと答えた。なぜエジプトとのみ雇用に関する合意を結ぶのかという質問も行われ、これに対しても東京都知事ではなく局長が、東京都はこれまでもエジプトと様々な交流を行っており、友好関係の発展への意見交換を行い、実務的に協議を重ねた結果、合意に至ったと答えた。さらになぜ知事が自ら説明できないような合意を結んだのかという質問も行われたが、これに対しては局長は突っぱねた[11]。
浅川芳裕は東京都知事がエジプトとの合意を強行したのは、東京都知事の単独犯であると断言する。断言する理由というのは、合意に至るまでの東京都知事とエジプト移民利害関係者との暗躍が明らかであったからとのこと。そしてこの暗躍の背景には、2024年東京都知事選挙を揺るがすまでになった東京都知事の学歴詐称疑惑に対するエジプト政府からの助けとそれの貸し借り外交があるとのこと[12]。浅川芳裕は東京都知事はエジプトが日本に不法移民の予備軍を送り込むことの片棒を担いでいるとも批判している[13]。
脚注
- ^ Inc, Nikkei (2025年8月21日). “東京都、エジプトと4覚書・合意書を締結 教員の専門性向上など”. 日本経済新聞. 2025年10月16日閲覧。
- ^ a b 浩, 渡辺 (2025年9月10日). “東京都がエジプトと「日本での就労協力」の合意書 小池百合子知事、移民受け入れは否定”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年10月16日閲覧。
- ^ “デモ発生「東京都は移民を受け入れるのか」…実は誤情報が独り歩き 「元ネタ」エジプトとの合意書の真実は:東京新聞デジタル”. 東京新聞デジタル. 2025年10月16日閲覧。
- ^ “<小池知事会見ファイル+9月>エジプトを巡る「誤情報」拡散の背景… 「排外主義」には毅然とした対応を:東京新聞デジタル”. 東京新聞デジタル. 2025年10月16日閲覧。
- ^ 晃彦, 外崎 (2025年9月5日). “都庁や都議会がグーグルマップで「エジプト」関連施設に書き換え 「小池ゆりこ神殿」とも”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年10月16日閲覧。
- ^ 日本テレビ. “東京都、外国人政策めぐり専用ハッシュタグで発信強化 誤情報への対策(2025年9月10日掲載)|日テレNEWS NNN”. 日テレNEWS NNN. 2025年10月16日閲覧。
- ^ 産経新聞 (2025年9月12日). “「移民ではない」東京都が「#TOKYO_CORRECT」使い発信 エジプト合意書問題”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年10月16日閲覧。
- ^ Inc, Nikkei (2025年9月19日). “小池百合子知事、都とエジプトの雇用に関する合意 「見直し考えず」”. 日本経済新聞. 2025年10月16日閲覧。
- ^ 中山知子. “小池百合子知事「移民促進」否定 都とエジプト経済団体との合意書めぐり「正しい情報伝える」 - 政治 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2025年10月16日閲覧。
- ^ 産経新聞 (2025年9月26日). “小池都知事、ホームタウン撤回は「JICAの判断」 エジプト合意書「正しい情報伝える」”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年10月16日閲覧。
- ^ 浩, 渡辺 (2025年10月3日). “東京都の就労合意書「なぜエジプトだけなのか」 都議会での質問に小池百合子知事答弁せず”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年10月16日閲覧。
- ^ “【アゴラ】浅川 芳裕:東京都はなぜエジプト移民政策を強行するのか?小池都知事がひた隠す移民大臣と利権団体との会合【アゴラ言論プラットフォーム】”. アゴラ 言論プラットフォーム (2025年9月10日). 2025年10月16日閲覧。
- ^ “【アゴラ】浅川 芳裕:東京都はなぜエジプト移民政策を強行するのか?②不法移民予備軍を送り込むエジプトの片棒を担ぐ小池都知事【アゴラ言論プラットフォーム】”. アゴラ 言論プラットフォーム (2025年10月5日). 2025年10月16日閲覧。
関連項目
- 東京都エジプト合意のページへのリンク