有機金属化合物の合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/06 05:17 UTC 版)
「トランスメタル化」の記事における「有機金属化合物の合成」の解説
芳香族ホウ素化合物、亜鉛化合物、スズ化合物などは、それぞれ鈴木・宮浦カップリング、根岸カップリング、右田・小杉・スティルカップリングの基質として有用な化合物であるが、ベンゼン環上に直接ホウ素や亜鉛、スズ原子を導入する手法は非常に限られている。そこで、芳香族化合物をいったんグリニャール反応、ハロゲンメタル交換、オルトリチオ化などで有機リチウム、あるいはマグネシウム化合物としたのち、トランスメタル化によりホウ素や亜鉛、スズ化合物とする。 以下にいくつか例示する。 マグネシウム−ホウ素 (Mg - B) C 6 H 5 − Br + Mg ⟶ C 6 H 5 − MgBr {\displaystyle {\ce {C6H5-Br\ + Mg -> C6H5-MgBr}}} C 6 H 5 − MgBr + B ( OCH 3 ) 3 ⟶ C 6 H 5 − B ( OCH 3 ) 2 {\displaystyle {\ce {C6H5-MgBr\ + B(OCH3)3 -> C6H5-B(OCH3)2}}} リチウム-亜鉛 (Li - Zn) C 6 H 5 − Br + tert − C 4 H 9 Li ⟶ C 6 H 5 − Li {\displaystyle {\ce {C6H5-Br\ +{\mathit {tert}}-C4H9Li->C6H5-Li}}} C 6 H 5 − Li + ZnCl 2 ⟶ C 6 H 5 − ZnCl {\displaystyle {\ce {C6H5-Li\ + ZnCl2 -> C6H5-ZnCl}}} リチウム-スズ (Li - Sn) CH 3 OC 6 H 5 + tert − C 4 H 9 Li ⟶ o − CH 3 OC 6 H 5 − Li {\displaystyle {\ce {CH3OC6H5\ +{\mathit {tert}}-C4H9Li->{\mathit {o}}-CH3OC6H5-Li}}} o − CH 3 OC 6 H 4 − Li + Cl − Sn ( C 4 H 9 − n ) 3 ⟶ o − CH 3 OC 6 H 4 − Sn ( C 4 H 9 − n ) 3 {\displaystyle {\ce {{\mathit {o}}-CH3OC6H4-Li\ +Cl-Sn(C4H9-{\mathit {n}})3->{\mathit {o}}-CH3OC6H4-Sn(C4H9-{\mathit {n}})3}}} 通常、有機基はイオン性の高い金属から低い金属へと移りやすい。
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