日本歌人
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『日本歌人』(にっぽんかじん/にほんかじん)は、前川佐美雄が1934年(昭和9年)に設立した短歌結社、および日本歌人社が発行する月刊の短歌結社誌。[1]1990年(平成2年)、前川佐重郎が継承、編集人となる。[2]2025年7月号(通巻826号)より発行人は前川斎子、編集人は社領美穂、事務局・関西支部は仲務、会計部は岡本万貴子。[3]
短歌結社としての名称は日本歌人社であり、結社誌の『日本歌人』は日本歌人社の発行である。[4]
日本歌人クラブは無関係の別団体である。
沿革[5]
1931年、前川佐美雄が石川信雄(のち信夫)、木俣修、斎藤史らと『短歌作品』を創刊し、新芸術派運動を展開。
1933年、『短歌作品』を『カメレオン』と改題。
1934年6月、前川佐美雄が『カメレオン』同人を率いて『日本歌人』を創刊。主宰となる。
1941年(昭和16年)8月、当局の命令により『日本歌人』は84号で終刊する。
1946年(昭和21年)11月、『オレンヂ』を創刊。
1950年(昭和25年)1月、『オレンヂ』を『日本歌人』と改題し、『日本歌人』を復活させた。[6]
結社名
創刊号の「編集後記」に前川佐美雄は次のように「日本歌人」の命名について記している。
たうたうかういふ雑誌が出来上つてしまつた。兎に角関西たるこの大阪を中心として歌壇に奮然と働きかける有力な機関が一つぐらゐあつてよささうだと思つて計画したのが、かういふ結果になつたのだ。可笑な話だが最初はこれを「菊」にしようか「鷲」にしようかと迷つたものだが誰いふとなく「日本歌人」がよからうといふ事になり、つひに「ニッポンカジン」となつたのである。 — 『日本歌人』1巻1号、1934年6月
これに依ると、「日本歌人」の正式な読みは「ニッポンカジン」となり、公式サイトのドメインも「https://nipponkajin.wordpress.com/」と「nipponkajin」になっている。しかし、前川家の関係者は「ニホンカジン」としか言わないと発言しており、「ニッポン」は創刊号の意気軒昂な文章の中での読みという可能性もある[6][7]。
歌風
阿部正路は日本歌人の歌風について「芸術的香りの高い浪漫主義的な歌風」「『明星』の歌風を色濃くうけつぎながら新伝統主義ともいうべき古典尊重の姿勢を打出し、いちじ、「新古典主義」を提唱」「写生派に対抗しつつ、自在で個性にみちた活動を示した」[8]という。
短歌雑誌などに掲載されている広告には「伝統の中に個性を生かす」と記されており、公式サイトのトップページもこれを踏襲している。
『日本歌人』誌
会員・同人と掲載内容
毎月1回『日本歌人』を発行。会員・同人は毎月8首以内を投稿し、掲載される。投稿された作品を対象として、掲載の号に選者評、2ヶ月後の号に作品評、3ヶ月後の号に十首選が掲載される。この他、題詠が課せられることがある。1月号には自選1首が掲載される。[9]
参加者には区分があり青葉集(入会時点ではこの区分)、緑葉集は会員、金葉集、風葉集は同人と呼ばれる[10]。研鑽を積んだ会員は緑葉集に掲載される。同人になると指導者的な役割を依頼されるようになる。[11]
表紙絵
創刊号から表紙絵は佐美雄と親交のあった棟方志功が手がけた。現在は佐美雄の次女で洋画家の前川寿々子による。[12]
歌会
全国の会員・同人が、それぞれの地域やインターネットで原則として毎月歌会を開いている[13]。
過去の参加者
現在の参加者
脚注
- ^ 『日本近代文学大事典 増補改訂デジタル版』[編集]日本近代文学館 [刊行]講談社、2022年5月10日。
- ^ 『日本歌人』日本歌人社、1990年、奥付頁。
- ^ 『日本歌人』日本歌人社、2025年7月1日、奥付頁。
- ^ 『日本歌人規約』。
- ^ 『短歌』編集部編・協力前川佐重郎 (2020-06-25). “前川佐美雄略年譜”. 『短歌』 (角川文化振興財団) 第67巻(通巻871号) (第7号): 78-79.
- ^ a b 石原美予 (増補・修正:令和2年2月21日). 前川佐美雄編集『日本歌人』目次集(戦前期分) 増補・修正版 .
- ^ “ニホンカジンか、ニッポンカジンか”. 2025年7月9日閲覧。
- ^ 『日本近代文学大事典 増補改訂デジタル版』[編集]日本近代文学館 [刊行]講談社、2022年5月10日 。
- ^ “入会案内”. 2025年6月30日閲覧。
- ^ “入会案内”. 日本歌人. 2025年6月30日閲覧。
- ^ “入会案内”. 2025年6月30日閲覧。
- ^ 『日本歌人』日本歌人発行所、1934年6月 。
- ^ “各地歌会案内”. 日本歌人. 2025年6月30日閲覧。
- ^ 2013年「きつね森」で第56回短歌研究新人賞次席。
参考文献
- 小高根二郎『歌の鬼・前川佐美雄』沖積舎<ちゅうせき叢書>、1987年
- 三枝昂之『前川佐美雄』五柳書院、1993年
- 伊藤一彦『前川佐美雄』「鑑賞・現代短歌」本阿弥書店、1993年
- 鳴上善治『絢爛たる翼 前川佐美雄論』沖積舎、1996年
- 角川文化振興財団『短歌』没後30年 前川佐美雄特集、2020年7月号
- バイオグラフィ
- 地霊の聲に呼び出され詩的パラドクスを生きた人 …… 前川斎子
- 代表歌50首+鑑賞の手引 …… 奥田亡羊 選
- 佐美雄論1 『植物祭』から『大和』までの道 『植物祭』と『大和』のこと …… 永井 祐
- 佐美雄論2 佐佐木信綱・塚本邦雄・山中智恵子・前 登志夫、坊屋敷の佐美雄サロン …… 都築直子
- 佐美雄論3 戦後~晩年の佐美雄短歌の魅力 老いの豊饒 …… 伊藤一彦、佐美雄の雑誌遍歴 「日本歌人」創刊まで …… 石原深予
- 佐美雄論4 伝統と革新 空の奥どを掘る――佐美雄的な伝統と革新 …… 三枝昻之
外部リンク
- 日本歌人のページへのリンク