政府飛行服務隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/09/01 16:11 UTC 版)
政府飛行服務隊 Government Flying Service |
|
---|---|
活動期間 | 1993年- |
国籍 | ![]() |
軍種 | 保安局 |
兵科 | 捜索救難・治安維持・航空救急・空中消火・航空測量・気象観測 |
兵力 | 240人以上 |
政府飛行服務隊(せいふひこうふくむたい)または香港政府飛行サービス(ほんこんせいふひこうサービス、通称:飛行服務隊;英語: Government Flying Service、GFS)は香港特別行政区政府保安局傘下のヘリコプター部隊。
歴史
政府飛行服務隊が設立される前は、香港政庁傘下の皇家香港輔助空軍が警察、消防、救急、沿岸警備、国境警備などを担っていた。1993年4月1日、皇家香港輔助空軍は政府飛行服務隊に再編成され、それまで輔助空軍で使用されていたヘリコプターなどは政府飛行服務隊に引き継がれた。
1996年11月20日:キャリービル火災にて、屋上に取り残された4名をS-70A-27ブラックホークヘリコプターで救出。政府飛行服務隊が都市部で救助活動を行うのはこれが初めてであった。しかし、現地メディアはブラックホークヘリコプターのメインローターがもたらす激しい突風により、火災を激しくしたと物議を読んだ。
1998年:政府飛行服務隊はこれまで拠点を置いていた啓徳空港の閉港に伴い、基地機能及び本部を新空港である香港国際空港に移転した。
2001年:政府飛行服務隊はS-70A-27ブラックホークヘリコプターを早期退役させるに伴い、後継機として、ユーロコプターAS332L2(スーパーピューマ)3機と同じくユーロコプターEC155B1型機5機を導入。
2003年8月26日:救急任務のため長洲島に向かっていたEC155B1型機1機がランタオ島の山腹に墜落し、乗っていたパイロット1名と救助要員1名全員が死亡した。なお、この事故は政府飛行服務隊が設立されて以来、初めての死亡事故となった。また、この事故を機に政府飛行服務隊はパイロットをはじめ、機上要員や救助要員などにヘリコプター搭乗の際には航空ヘルメットの着用を義務づけた。
2008年5月23日:四川大地震を受け、政府飛行服務隊は救助活動に参加し、AS332L2スーパーピューマヘリコプターを派遣。数多くの任務と生存者や救助隊員を輸送し、翌月6日に香港へ帰還。
2010年12月27日:空中消火任務に参加していたAS332L2 1機が城門貯水池で消火に使用する水を補給するため、ホバリング給水中にメインエンジン1機にトラブルが発生して出力が低下。そのまま、貯水池に着水するトラブルが起きた。機体にはパイロット2名と機上要員1名が乗っていたが、自力で脱出し、消防に無事救助された。なお、このトラブルは2003年の墜落事故(上記を参照)に引き続き、政府飛行服務隊が設立されて以来、2番目に大きなトラブルである。
2020年8月23日:チャレンジャー605/SAR 1機が2019年-2020年香港民主化デモで香港警察に指名手配され、台湾へ脱出を試みた香港人12人が乗ったボートを発見し、中国海警局に通報。その後、12人の香港人は海警局に身柄を拘束された。
同年12月21日:アメリカ合衆国商務省は輸出管理規則を改正し、その中で政府飛行服務隊を軍事エンドユーザー (MEU)リストに追加し、チャレンジャー 605/SARなどに使われるアメリカ製部品の輸出を禁止した。
2025年5月2日~6日:東京都新宿区にある京王プラザホテルにて開催された第23回世界災害救急医学会(WADEM2025)に政府飛行服務隊の隊員や関係者数名が参加した。また、後日には日本医科大学千葉北総病院及びドクターヘリなどの視察を行なった。
任務
政府飛行服務隊は主に5つの任務がある。
1つ目は治安維持における警察支援であり、この任務は主に香港警察の特殊部隊であるSDUの作戦支援をはじめ、入国管理局及び関税局と共に中国本土との境界線を管理する国境警備、刑務所での緊急事態に対応する特殊部隊の輸送などを担っている。
2つ目は航空救急であり、香港における離島(長洲島や南Y島ほか)においての救急事案にて、より高度な医療設備の整っている香港島や九龍半島への搬送が必要と判断された場合に出動する。いわゆる、日本でのドクターヘリ的な任務を担う。
3つ目は消防支援であり、香港消防處と協力して、山火事や市街地でのビル火災などにおいての消火活動や海難救助を行う。
4つ目は航空測量であり、上空からの地形探査や天候調査、さらには台風の真上を飛行し、測量活動を行う。
5つ目は政府支援であり、主に毎年7月1日に実施される香港返還記念式典や10月1日の中華人民共和国の建国記念日(國慶日)における香港式典会場での国旗掲揚飛行を行う。
上記の任務以外でその他にも映画撮影協力や政府広報による撮影などがある。最近では、2024年12月に香港へ飛来した中国製旅客機COMAC C919の空中からの撮影や、2025年7月の香港返還記念日に合わせて来港した中国海軍の2隻目の空母(山東)を上空から撮影&警備を行っている。
航空機
現役
退役
- シコルスキー S-70A-27 3機(1992年に皇家香港輔助空軍へ配備。2003年に退役後、アメリカに送り返され、現在は消防ヘリとして活躍中)
- シコルスキー S-76
- ユーロコプターAS332L2 3機
- ユーロコプターEC155B1 5機(うち1機は墜落事故で損失。なお、一部の機体が退役後も予備機として現在も運用されている模様。)
- ジェットストリーム 41 2機
- ビーチクラフト キングエア 2機
- Zlin Z242L 1機
登場作品
- 『香港国際警察/NEW POLICE STORY』- 終盤にて、香港會議展覽中心の屋上に展開するSDUと共にユーロコプターEC155B1型ヘリコプター1機が一瞬だけ登場する。
関連項目
- 皇家香港輔助空軍 - 政府飛行服務隊の前身部隊。
- 特別任務連(SDU)
- 警察機動部隊(PTU)
- 香港消防處
外部リンク
- 政府飛行服務隊のページへのリンク