抽象的コーシー問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/20 05:10 UTC 版)
次のような抽象的コーシー問題を考える: u ′ ( t ) = A u ( t ) , u ( 0 ) = x . {\displaystyle u'(t)=Au(t),~~~u(0)=x.} ここで A はバナッハ空間 X 上の閉作用素とし、x∈X とする。この問題の解には、次のような二つの概念がある: 連続的微分可能な関数 u:[0,∞)→X で、すべての t ≥ 0 に対して u(t) ∈ D(A) を満たし、かつ与えられた初期条件を満たすものは、上のコーシー問題の古典解と呼ばれる。 連続関数 u:[0,∞) → X で ∫ 0 t u ( s ) d s ∈ D ( A ) and A ∫ 0 t u ( s ) d s = u ( t ) − x {\displaystyle \int _{0}^{t}u(s)\,ds\in D(A){\text{ and }}A\int _{0}^{t}u(s)\,ds=u(t)-x} を満たすようなものは、上のコーシー問題の軟解と呼ばれる。 すべての古典解は、軟解である。軟解が古典解であるための必要十分条件は、それが連続的微分可能であることである。 次の定理は、抽象的コーシー問題と強連続半群の関係に関するものである。 定理 A をバナッハ空間 X 上の閉作用素とする。以下の主張は同値である: すべての x∈X に対して、抽象的コーシー問題には唯一つの軟解が存在する。 作用素 A はある強連続半群を生成する。 A のレゾルベント集合は空でなく、すべての x ∈ D(A) に対して、抽象的コーシー問題には唯一つの古典解が存在する。 これらの主張が成立するとき、コーシー問題の解は u(t) = T(t)x によって与えられる。ただし、T は A によって生成される強連続半群である。
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