応報的司法との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/02 06:42 UTC 版)
ハワード・ゼアは、犯罪の本質を、法益侵害ではなく、害悪 (harm) として捉えるべきであると主張する。そして、応報的司法も、修復的司法も、犯罪によって生じた不均衡・不公平を是正する目的をもつものであるが、応報的司法は、刑罰によって、加害者を、犯罪被害者と同等の地位まで落とすことで、被害者の尊厳を抽象的に回復し、不公正を是正するのに対して、修復的司法は、具体的な犯罪被害者を犯罪被害を受ける前の状態まで引き上げる(回復する)ことによって、被害者の尊厳を確証する一方、加害者に修復への義務と悔悛の機会を与えることによってその尊厳をも認めるものであり、応報に比べて癒しを促進しやすいものであると述べ、その優位性を主張する。 しかし、修復的司法は、従来刑事司法を担ってきた応報的司法(刑罰)に対して、完全に代替するものではない。ハワード・ゼアは、その著書『修復的司法とは何か』の中で、修復的司法と応報的司法とを排他的・対立的に論じたが、コンラッド・ブランク (Conrad Brunk) は、両者が相対立するものではないことを指摘し、後にゼア自身もこのことを認めている。
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