小胞体シグナルペプチド
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 00:50 UTC 版)
「シグナルペプチド」の記事における「小胞体シグナルペプチド」の解説
小胞体シグナルペプチドは最も研究の進んでいるシグナルであり、タンパク質分子のアミノ末端(N-末端;H2N-)にある5-10個ほどの疎水性アミノ酸を中心とする配列である。リボソームによって翻訳が開始され、まずシグナル部分が合成されると、シグナル認識粒子(Signal recognition particle:SRP)がこのシグナル配列を認識する。SRPはGTP結合性の調節タンパク質である。すると翻訳が一時的に中止され、SRPはリボソームと結合し、さらにこれが小胞体膜上にあるSRP受容体に結合する。このようにして多数のリボソームを結合した小胞体を粗面小胞体という。シグナル配列がSRPから解離し、膜にある小孔を貫通して小胞体内に移動するとともに翻訳が再開され、タンパク質が小胞体内に押し込まれる。膜タンパク質はそのままの形で輸送されるが、それ以外の分泌タンパク質はシグナルが小胞体内のペプチダーゼによって切除される。さらにタンパク質はゴルジ体に輸送されるが、小胞体保留シグナル(カルボキシル末端(C-末端;-COOH)の4アミノ酸を中心とする)がある場合には小胞体に送り返され、その他のシグナルがあればペルオキシソーム等に輸送され、それ以外は細胞外に分泌される。
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