小児性愛者への差別とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 小児性愛者への差別の意味・解説 

小児性愛者への差別

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/27 05:55 UTC 版)

小児性愛者への差別(しょうにせいあいしゃへのさべつ)は小児性愛者への差別嫌悪蔑視を指す。

ポーランドの反小児性愛の落書き

概要

小児性愛に関する情報を提供する支援プロジェクト「PedoHelp」[1]では、小児性愛者は決して怪物や虐待者ではなく、支援を必要とする人であると説明している[2]

反小児性愛私刑団による活動には、犯罪で告発された人々の家族や不当に告発された人々に対する嫌がらせ、晒し行為、恐喝、身体的攻撃などが含まれ、一部の人々は殺害されたり、告発後に自殺したりしている、そのようなグループは法執行機関や政府機関から広く非難されている[3][4]

ペド狩り

Martsinkevich in 2012

2012年、ロシアのマキシム・マルトシンケビッチは、インターネット上で若い男の子を装って、成人男性をおびき寄せ、カメラの前で、その身元と住所を示させられる「オキュパイ・ペドフィリア」プロジェクトというネオナチの私刑団を立ち上げた。場合によっては、私刑団が「ファックLGBT」と書いたり、ターゲットの額に虹色の旗を描いたり、時には怒鳴られたり、平手打ちされたり、頭を剃られたり、尿を飲むことを強要されたりした。オキュパイ・ペドフィリアは、しばしば同性愛小児性愛を混同した[5]

社会的状況

ペドフィリアは、激しい怒り・恐怖・拒絶の対象になりやすく、世間では悪や罪とみなされやすい[6]精神障害の中でも最も社会的スティグマを背負っているもののひとつとされる[7]。児童へ性的な接触はしないと主張するペドフィリアの人たちも苦悩と不安を抱え、自己嫌悪や自殺を考えるケースもある[8]。小児性愛者の約46%が自身の性的関心が原因で自殺を考えたことがあるとの調査結果もある[7]

法制度

大人と未成年者の性行為に関しては、例えば、日本の刑法では、第百七十六条及び百七十七条により16歳未満との交際は事実上禁止されている[9]成年未成年性行為を行った場合、当事者双方が「『真摯な交際関係』の上で性行為があった」考えていても、淫行に当たるとして逮捕されるケースが多い[10][11]。(福岡県青少年保護育成条例事件も参照)  日本の多くの自治体では青少年健全育成条例により、未成年成年交際に対する規制が定められている[12]

韓国インドネシアカザフスタンなどの一部の国や、米国の一部の州では、小児性愛者の化学的または外科的去勢を義務付ける法律が可決されている[13][14][15][16]

1998年、3人の心理学者がアメリカ心理学協会(APA)の学術雑誌『Psychological Bulletin』に、「大人との未成年者の性行為は必ずしも害にはならない。強要・強制される行為とそうでないものとを分けて考える必要がある」という内容の論文を発表した。これに対してアメリカ合衆国連邦議会の両院がその論文を強く非難する決議案を可決し、ミシガン大学教授のブライアン・キムバトラーはこの連邦議会の対応について苦言を呈した[17]

脚注

  1. ^ Offering understanding & support to prevent chid sexual abuse” (英語). PedoHelp™. 2024年7月5日閲覧。
  2. ^ WHY IS PEDOPHILIA SO FRIGHTENING?”. PedoHelp. 2020年10月7日閲覧。
  3. ^ Dearden, Lizzie (2020年). “Paedophile hunters ‘could jeopardise criminal proceedings’, study warns”. The Independent. https://www.independent.co.uk/news/uk/crime/paedophile-hunters-criminal-proceedings-uk-a9571431.html 
  4. ^ Scott, Niall, ed (2007). “Depraved Paedos and Other Beasts: The Media Portrayal of Child Sexual Abusers in Ireland and the UK”. Monsters and the monstrous: myths and metaphors of enduring evil. At the interface, probing the boundaries. Amsterdam: Rodopi. ISBN 978-90-420-2253-9 
  5. ^ Favarel-Garrigues, Gilles (2020-10-01). “Digital vigilantism and anti-paedophile activism in Russia. Between civic involvement in law enforcement, moral policing and business venture” (英語). Global Crime 21 (3–4): 306–326. doi:10.1080/17440572.2019.1676738. ISSN 1744-0572. https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/17440572.2019.1676738. 
  6. ^ Jahnke, S., Imhoff, R., Hoyer, J. (2015). “Stigmatization of People with Pedophilia: Two Comparative Surveys”. Archives of Sexual Behavior 44 (1): 21–34. doi:10.1007/s10508-014-0312-4. PMID 24948422. 
  7. ^ a b Jahnke, S., Hoyer, J. (2013). “Stigma against people with pedophilia: A blind spot in stigma research?”. International Journal of Sexual Health 25 (3): 169–184. doi:10.1080/19317611.2013.795921. 
  8. ^ [1]
  9. ^ e-Gov 法令検索”. laws.e-gov.go.jp. 2024年11月14日閲覧。
  10. ^ 「無理強いなく、金も払わず」でなぜ 大学生の淫行逮捕に疑問相次ぐ”. ライブドアニュース. 2019年4月26日閲覧。
  11. ^ 「真剣交際だった」41歳看護師男、14歳女子中学生とみだらな行為で逮捕 容疑を否認”. デイリーニュースオンライン (2022年3月11日). 2024年11月14日閲覧。
  12. ^ 未成年との恋愛、双方が合意のうえ恋愛対象であれば性行為は法律上犯罪になりませんか”. 大阪難波・堺の刑事事件|弁護士法人ロイヤーズハイ (2020年5月29日). 2024年11月14日閲覧。
  13. ^ S. Korea enacts 'chemical castration' law for pedophiles” (英語). NBC News (2011年7月24日). 2024年9月10日閲覧。
  14. ^ Haro, Alexander (2016年10月18日). “New Indonesian Law Allows Execution and Castration for Pedophiles” (英語). The Inertia. 2024年9月10日閲覧。
  15. ^ Louisiana will punish pedophiles with surgical castration”. KosovaPress.com. 2024年9月10日閲覧。
  16. ^ SULTANOV, Aibek (2019年12月5日). “Chemical castration first applied to four pedophiles in Kazakhstan -” (英語). 24.kg. 2024年9月10日閲覧。
  17. ^ ティム・F・G・ダヴィドソン「児童保護か思想犯罪か -海外におけるマンガ規制の違憲問題と世論-」『社学研論集』第21巻、早稲田大学大学院社会科学研究科、2013年3月、177-186頁、 hdl:2065/39636ISSN 1348-0790CRID 1050282677445216384 

参考資料

関連項目




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  
  •  小児性愛者への差別のページへのリンク

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

小児性愛者への差別のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



小児性愛者への差別のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの小児性愛者への差別 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS