寺田京子とは? わかりやすく解説

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寺田京子

寺田京子の俳句

ごつたがえす雪靴雪下駄わが喪なり
つららは花真昼をねむり夜を書く
にぎりめし屍焼く間の雪の笛
ばら剪ってすでに短命にはあらず
ばら剪つてすでに短命にはあらず
ひびきあう冬灯女とえびのひげ
セルを着て遺書は一行にて足りる
トンネルの小暗さ雪夜の眠りにも
ハンカチ一枚干す神の舌のように
五月の噴水にふれこの刻もう還らず
冬の鷹二つ耳もち生き残る
凧とぶや僧きて父を失いき
十指どの指もて射つやホテルのシャンデリヤ
反古稿よりわが名すっくと冬日射し
売文書くめくそはなくそ冬レモン
天につながる梯子雪ふる奥に見ゆ
寒風に声かけゆくは亡父ならむ
往復する怒りの速達冬の鳥
日の鷹がとぶ骨片となるまで飛ぶ
昨日のわれと還る冬濤沖ありて
朝の焚火燃えいて鞭の音たてる
東あり望楼がある凍死体
桃咲くやすぐに忘れる他人の死
樹氷林男追うには呼吸足りぬ
死ぬ者は死に恋猫のあまえ声
流氷やたそがれきては庖丁もつ
流氷を見にゆく男をまじえずに
火の粉とぶ朝空零下父生きよ
熱の日の噴水しぶき鳥となる
片肺が春まつ鍋色の鳥がとび
生の終り見えざる七月杉が立つ
男物裁つ寒色の過去ひろがり
病歴ががらんがらんと冬の坂
白鳥の無音のさむき羽根もらす
磐梯の夏かあっとあり師とありぬ
種を蒔き種が呼びあう夜の稿
紅葉終る血族の樹々声たてて
絹の赤児に仕えいちにち枯れ硝子
緑噴きあげし山脈妻になれず
群集いま野鳥の羽音雪きたる
老夫ひとり水と争い夏あかつき
老婆くればまた老婆くる冬岬
耳の背後に誰か立つ旅雪ふりて
薔薇園あり真中に老婆たち
起きてやまぬ寒潮誰の葬ならむ
雪の夜のヘヤピン海の匂いもつ
雪を割り引きだす鋪道ものいえよ
雪解川は刃物のひかり男のこと
頭上よりシャワー見えざる鷹が飛ぶ
鷹とんで朝海無数の針流れる
 

寺田京子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/11 17:49 UTC 版)

寺田 京子(てらだ きょうこ、1922年1月11日 - 1976年6月22日)は、北海道札幌市出身の俳人放送作家。本名・寺田キヤウ。

来歴

1939年、旧満州国鞍山女学院に入学。病のため1942年に札幌に戻り 以後結核のため闘病生活を送る。1944年、栗木重光の指導による「狭霧句会」にて句作を開始。1946年から49年にかけて「水声」「水輪」「壺」に参加し、それぞれ同人となる。1948年加藤楸邨に師事し、1954年「寒雷」同人。1959年より放送作家としてNHKや北海道の民放でドラマ作品を発表。1968年、第15回現代俳句協会賞受賞。1970年「杉」創刊同人。

いわゆる療養俳人として出発し、持病との闘いの中で自己をみつめる句を多く作った。生への葛藤や女性の情念などを主題とし、鋭敏な言語感覚とリアリズムを融合させた独自の作風で知られた[1]。句集に『冬の匙』『日の鷹』『鷺の巣』『雛の晴』がある。1976年6月22日、慢性呼吸不全による心肺不全により死去。54歳。自宅に近かった札幌市の旭山記念公園に句碑がある。

2019年6月、宇多喜代子林桂らの尽力により、『寺田京子全句集』が刊行された[2]

句集

  • 冬の匙 (1956)
  • 日の鷹 (1967)
  • 鷺の巣 (1975)
  • 雛の晴 (1983)
  • 寺田京子全句集 (2019)

参考文献

関連文献

  • 寺田京子句碑建立発起人会 『寺田京子句碑建立記念誌』
  • 栗林浩 『続々俳人探訪』 文学の森
  • 松田ひろむ「句集探訪 寺田京子全句集」(「鷗座」2020年1月号~3月号連載中)

出典

  1. ^ 「寺田京子」『現代俳句大事典』三省堂、2005年、359-360頁。
  2. ^ 詩歌の森へ:『寺田京子全句集』=酒井佐忠 毎日新聞、2019年9月10日

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