塩化ニオブ(V)とは? わかりやすく解説

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五塩化ニオブ

分子式Cl5Nb
その他の名称塩化ニオブ(V)、五塩化ニオブ、Niobium pentachloride、Niobium(V) chloride塩化ニオブ(NiCl5)、Niobium chloride(NiCl5)、Niobium(V)pentachloride
体系名:ニオブ(V)ペンタクロリド


塩化ニオブ(V)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/11 09:08 UTC 版)

塩化ニオブ(V)
識別情報
3D model (JSmol)
ChemSpider
EC番号
  • 233-059-8
PubChem CID
RTECS number
  • QU0350000
UNII
特性
化学式 NbCl5
モル質量 270.17 g/mol
外観 yellow monoclinic crystals
deliquescent
密度 2.75 g/cm3
融点

204.7 °C, 478 K, 400 °F

沸点

248.2 °C, 521 K, 479 °F

への溶解度 decomposes
溶解度 HCl, chloroform, CCl4
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −797.47 kJ/mol
標準モルエントロピー So 214.05 J K−1 mol−1
危険性
GHS表示:
Danger
H302, H312, H314, H332
P260, P261, P264, P270, P271, P280, P301+312, P301+330+331, P302+352, P303+361+353, P304+312, P304+340, P305+351+338, P310
引火点 Non-flammable
関連する物質
その他の
陰イオン
Niobium(V) fluoride
Niobium(V) bromide
Niobium(V) iodide
その他の
陽イオン
Vanadium(IV) chloride
Tantalum(V) chloride
関連するniobium chlorides Niobium(III) chloride
Niobium(IV) chloride
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

塩化ニオブ(V)は、五塩化ニオブとしても知られ、黄色の結晶性固体である。空気中で加水分解し、試料はしばしば少量のNbOCl3で汚染される。ニオブの他の化合物の前駆体としてよく使用される。 NbCl5は昇華によって精製することができる[1]

構造と性質

Ball-and-stick model of niobium pentachloride

塩化ニオブ(V)は固体状態でクロロ架橋二量体を形成する(図参照)。各ニオブ中心は6配位であるが、八面体配位は著しく歪んでいる。赤道方向のニオブ-塩素結合の長さは225 pm(末端)と256 pm(架橋)であり、一方、軸方向のニオブ-塩素結合の長さは229.2 pmであり、分子の赤道面と83.7°の角度をなすように内側に偏向している。ブリッジのNb-Cl-Nb角度は101.3°である。Nb-Nb間の距離は398.8pmで、金属間相互作用には長すぎる。[2] NbBr5、NbI5、 TaCl5 、TaBr5 、TaI5 はNbCl5と等しい構造である。

製造

Niobium pentachloride liquid and vapor.

工業的には、五塩化ニオブは金属ニオブを300~350℃で直接塩素化することによって得られる:[3]

2 Nb + 5 Cl2 → 2 NbCl5

実験室では、五塩化ニオブはしばしばNb2O5から調製されるが主な課題は NbOCl3を得るための不完全反応である。塩化チオニルを用いて変換することができる。[4] また、五酸化ニオブを炭素の存在下、300℃で塩素化することによっても調製できる。

使用

塩化ニオブ(V)は、ニオブのアルコキシドの主な前駆体であり、ゾル-ゲル処理で使用される。また、ほとんどの有機ニオブ化合物を含む、他の多くのニオブ含有試薬の前駆体でもある。

有機合成においてNbCl5 は、カルボニル-エン反応やディールス-アルダー反応のためのアルケンの活性化に非常に特化したルイス酸である。塩化ニオブはまた、アリルトリメチルシラン、インドール、ベンゾフェノンのシリルエノールエーテルなどの求核剤の基質である特定のピロリジンからN-アシルイミニウム化合物を生成することができる。[5]

参照

  1. ^ Cotton, F. Albert; Wilkinson, Geoffrey (1980), Advanced Inorganic Chemistry (4th ed.), New York: Wiley, ISBN 0-471-02775-8 
  2. ^ Cotton, F.A., P. A. Kibala, M. Matusz and R. B. W. Sandor (1991). “Structure of the Second Polymorph of Niobium Pentachloride”. Acta Crystallogr. C 47 (11): 2435–2437. Bibcode1991AcCrC..47.2435C. doi:10.1107/S0108270191000239. 
  3. ^ Joachim Eckert; Hermann C. Starck (2005). “Niobium and Niobium Compounds”. Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry. Weinheim: Wiley-VCH. doi:10.1002/14356007.a17_251. ISBN 3-527-30673-0.
  4. ^ Brown, D. (1957). “Niobium(V) Chloride and Hexachloroniobates(V)”. Inorganic Syntheses. 9. pp. 88–92. doi:10.1002/9780470132401.ch24. ISBN 978-0-470-13240-1 
  5. ^ Andrade, C. K. Z.; Rocha, R. O.; Russowsky, D. & Godoy, M. N. (2005). “Studies on the Niobium Pentachloride-Mediated Nucleophilic Additions to an Enantiopure Cyclic N-acyliminium Ion Derived from (S)-malic acid”. J. Braz. Chem. Soc. 16 (3b): 535–539. doi:10.1590/S0103-50532005000400007. hdl:10183/24558. 

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