国鉄6500形蒸気機関車とは? わかりやすく解説

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国鉄6500形蒸気機関車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/10 00:49 UTC 版)

6500形は、今の関西本線などを敷設した関西鉄道1898年(明治31年)および1906年(明治39年)に米国ピッツバーグ社から計9両を購入して投入し、同社の鉄道国有法に基づく国有化で官設鉄道(国鉄)の所有になったテンダー式蒸気機関車である。

概要

関西鉄道の網島駅廃駅) - 名古屋駅間開業に伴う急行列車運転開始を前に、投入された機関車で、形式40早風」(はやかぜ)クラスと呼ばれ、6両(製造番号1771 - 1776)が40 - 45に付番されたが、1906年にも3両(製造番号41429, 41428, 41427[1])が増備され107 - 109とされた[2]

当時の関西鉄道汽車課長島安次郎の提唱により、当時としては最大の動輪径1,575mm(5ft2in)と2シリンダ複式が採用された。外観は典型的なアメリカ古典機スタイルであるが、ストレート形のボイラーや深いつばを持った独特のキャップを先端部に被せたストレート形の煙突、細長く大柄なワンピース形の蒸気ドームや砂箱、補強のためスポークの間にウェッブ(水かき)を設けた動輪(リム強化スポーク輪心)など、ピッツバーグ社製蒸気機関車の特徴を備えた洗練されたものであった。また、煙室扉の周囲を一段膨らませるなど、細部の造作も凝っており、ボールドウィン社などに比べて品質も良好であった。

2シリンダ複式は、単式に比べて構造が複雑で、取扱いにも熟練を要したが、石炭の消費節約に効果を発揮した。また、同社に複式機関車に好適な名古屋 - 亀山間のような平坦区間が存在したことも、複式機関車導入の効果を大きくした。1906年に3両が追加製造されたのも、こうした事情からであろう。

官設鉄道への編入後、1909年(明治42年)に制定された鉄道院の車両形式称号規程では6500形に定められ、番号は6500 - 6508に改められた。主に亀山と王寺に配属され、関西本線の平坦区間で使用されたが、複式という特殊な機構が嫌われ、1925年(大正14年)に全車が廃車解体された。

主要諸元

  • 全長 : 14,405mm
  • 全高 : 3,658mm
  • 軌間 : 1,067mm
  • 車軸配置 : 4-4-0(2B)
  • 動輪直径 : 1,575mm(5'2")
  • 弁装置 : スティーブンソン式アメリカ形
  • シリンダ(直径×行程) : 高圧用432mm×610mm,低圧用635mm×610mm
  • ボイラー圧力 : 12.7kg/cm2
  • 火格子面積 : 1.23m2
  • 全伝熱面積 : 97.0m2
    • 煙管蒸発伝熱面積 : 89.8m2
    • 火室蒸発伝熱面積 : 7.2m2
  • ボイラー水容量 : 3.1m3
  • 小煙管(直径×長サ×数) : 44.5mm×2,821mm×228本(明細図による管板間は2,810mm)
  • 機関車運転整備重量 : 40.61t
  • 機関車空車重量 : 36.98t
  • 機関車動輪上重量(運転整備時) : 24.58t
  • 機関車動輪軸重(第2動輪上) : 12.32t
  • 炭水車運転整備重量 : 22.21t
  • 炭水車空車重量 : 13.61t
  • 水タンク容量 : 9.08m3
  • 燃料積載量 : 1.02t
  • 機関車性能
    • シリンダ引張力 (0.85P): 7,800kg(単式時)、5,330kg(複式時)
  • ブレーキ装置 : 手ブレーキ真空ブレーキ

脚注

  1. ^ この時点でピッツバーグ社はアメリカン・ロコモティブに統合されており、同社のピッツバーグ工場製である。
  2. ^ 15両の設計認可の申請をし認可を得ていたが、その後12両は2シリンダ単式(110形/追風)に変更した。

参考文献

  • 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社
  • 臼井茂信「機関車の系譜図 2」1972年、交友社
  • 金田茂裕「日本蒸気機関車史 私設鉄道編 I」1981年、エリエイ出版部 プレス・アイゼンバーン刊
  • 金田茂裕「形式別 国鉄の蒸気機関車 III」1985年、機関車史研究会刊
  • 国立アメリカ歴史博物館所蔵組立図
  • 川上幸義「私の蒸気機関車史 上」1978年、交友社刊
  • 高田隆雄監修「万有ガイドシリーズ12 蒸気機関車 日本編」1981年、小学館
  • 寺島京一「機関車史のうらばなし10」『レイル』No12、1979年3月号、55-57頁




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