四万十川 (小説)
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『四万十川』(しまんとがわ)は、笹山久三の小説および、それを原作とした映画である。
原作
四万十川と共に成長していく、主人公、篤義(あつよし)を追った内容である。
第1部から、第6部まであり、主人公の少年期から、高校を卒業して都会に出て、郵便局に勤める中で自立していく主人公の姿が描かれている。
第1部にあたる『四万十川 あつよしの夏』で第24回文藝賞(1987年度)、第4回坪田譲治文学賞(1989年度)を受賞した。
シリーズ一覧
- あつよしの夏
- とおいわかれの日々に
- 青の芽吹くころは
- さよならを言えずに
- ふるさとを捨てても
- こころの中を川が流れる
テレビドラマ
『四万十川 あつよしの夏』のタイトルで[1][2]、1988年9月17日、TBS土曜ドラマスペシャル枠(22:02–23:54)で放送[1][2]。
キャスト
スタッフ
映画
四万十川 | |
---|---|
監督 | 恩地日出夫 |
脚本 | 古田求 |
原作 | 笹山久三 |
製作 | 鍋島壽夫 |
出演者 | |
音楽 | 毛利蔵人 |
撮影 | 安藤庄平 |
編集 | 小川信夫 |
製作会社 | 山田洋行ライトヴィジョン=バップ |
配給 | ヘラルド・エース=日本へラルド映画 |
公開 | ![]() |
上映時間 | 111分 |
製作国 | ![]() |
言語 | 日本語 |
1991年12月7日公開[3][4]。笹山久三の自伝的小説の映画化[3][4]。恩地日出夫監督[3][4]。昭和30年代前半の高知県を舞台に原作の中から第1部『あつよしの夏』と第2部『とおいわかれの日々に』の部分を映画化[4]。自然と戦いながら四万十川流域に住む人々や家族の姿を通して、主人公の少年・篤義(あつよし)の成長を温かく描く[4]。
キャスト
- 山本スミ:樋口可南子
- 山本秀男:小林薫
- 山本篤義:山田哲平
- 山本朝子:高橋かおり
- 浅野千代子:小島幸子
- 青木先生:石橋蓮司
- ハル:菅井きん
- 田村:佐野史郎
- 杜夫:ベンガル
- はる江:絵沢萠子
- タケ:中島葵
- 義一:奥村公延
- 邦子:芹明香
スタッフ
- 監督:恩地日出夫
- 脚本:古田求
- 音楽:毛利蔵人
- 撮影:安藤庄平
- 編集:小川信夫
- 助監督:三池崇史
- 演出助手:石田周(セカンド助監)[5]、渡辺武、麻生学
- 製作管理:片岡公生
- 撮影協力:高知県西土佐村、愛媛県宇和島市、松野町、日吉村
- プロデューサー:猪崎宣昭
- 製作:鍋島壽夫
- 製作:山田洋行ライトヴィジョン・バップ
- 配給:ヘラルド・エース・日本へラルド映画
製作
ロケハン&オーディション
1990年6月25日–7月5日、高知県ロケハンと実景撮影[5]。子役は山本篤義(あつよし、山田哲平)だけ決まっており、後の子は6月に若草、ひまわりなど、児童劇団でオーディションを行ない[5]、全体バランスを考えながら選ばれた[5]。山田哲平は本作と同じ年の4月に公開された『仔鹿物語』でも主役を務めた[4]。本作もあつよし(山田)目線で全編が描かれる。オーディションで選ばれた11人の子役は全員都会育ちで、河原を裸足で歩いたことのないファミコン世代の子どもたち[4]。篤義の姉・朝子役の高橋かおりは天才子役として有名で、田舎イメージが合わないという見方もあったが、母親役が樋口可南子(山本スミ)なら田舎っぽくなくてもいいだろうと決まった[5]。朝子(高橋)は家族のためにも集団就職で家を出ると主張、まだ小さい子どもがいるから、家の手伝いを続けて欲しいと頼む母とぶつかることが重要なプロットとなっており[3][4]、就職先は倉敷紡績(女工)と劇中に語られる。セリフは全編幡多弁で統一されており、撮影前(7月?)に長期のリハーサルが行われたものと見られる。衣装合わせ等は東宝スタジオ[5]。
撮影
1990年8月10日、高知でクランクイン[5]。以降、9月12日までと、9月12日–20日まで高知ロケ[5]。主人公一家の住む家は四万十川支流の目黒川近くの設定。昭和30年代の四万十川が舞台で、1959年4月10日当時の皇太子と正田美智子の結婚「朝見の儀」と「結婚パレード」のフィルムを野外で上映するシーンがある。当時を再現するため、ガードレールを杉皮を巻いて作ったものに交換するなどした[5]。1990年9月16日、愛媛県宇和島市ロケ[5]。労災で入院する山本秀男(小林薫)の病室と市場が撮影されている。このシーンで会社の労務担当者田村役で佐野史郎が出演。1990年9月20日、9月23日、静岡県大井川鐵道蒸気機関車車中、走行シーンのロケでクランクアップ[5]。最終盤は1959年9月26日の伊勢湾台風設定で自宅の倒壊が描かれる。山本家はスミ(樋口)が食料品店を営んでいるが、猫好きな篤義(山田)の飼い、納屋で牝猫きいが赤ちゃんを産んだため、店内にたくさん猫が入ってくることが予想され、スミが「目が開いたら捨てられんけえねえ。猫屋敷に買い物来てくれるお客はおらんけえ」と、篤義に赤ちゃん猫を捨てなさいと命じる。それを察したかのように母猫きいが強引に軒下に赤ちゃん猫を移動し、乳を与える母猫を見て同じ母親であるスミが情にほだされ子猫を育てることを許す。前記のTBSのテレビドラマもひと夏だけを描いており[1]、本作も1959年の夏から秋にかけてを描いているようにも見え、主人公、篤義が、大人になって郵便局に勤めるまでは映画ではいかない[4]。
興行
東京シネドームと[4]、シネマスクエアとうきゅうで封切[5]。
作品の評価
ソフト状況
バップからビデオが発売され[4]、DVDもバップから2015年11月25日に発売されている[3]。
脚注
- ^ a b c 四万十川 あつよしの夏|ドラマ・時代劇 – TBSチャンネル
- ^ a b 土曜ドラマスペシャル 四万十川 あつよしの夏 – 放送ライブラリー
- ^ a b c d e 四万十川 – バップ
- ^ a b c d e f g h i j k 『ぴあシネマクラブ 日本映画編 2004-2005 四万十川』ぴあ、2004年、336頁。ISBN 978-4835606170。四万十川 – 映画ナタリー
- ^ a b c d e f g h i j k l m 石田周 (2014年8月12日). “「四万十川」なんでもない映画の事”. note. note. 2025年9月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2025年9月26日閲覧。
外部リンク
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