京福電気鉄道デオ600形電車とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 京福電気鉄道デオ600形電車の意味・解説 

京福電気鉄道デオ600形電車

(叡山電鉄デオ600形電車 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/15 03:15 UTC 版)

京福電気鉄道デオ600形電車
山中を行くデオ603-デオ604
基本情報
運用者 京福電気鉄道
叡山電鉄
製造所 武庫川車両工業[1]
種車 京福電気鉄道デナ500形(機器類のみ)[1]
製造年 1979年 - 1980年[2]
製造数 6両[1]
投入先 叡山本線・鞍馬線
主要諸元
軌間 1,435 mm
電気方式 直流 600 V
車両定員 100名(座席44名)[4]
自重 30.00 t[4]
最大寸法
(長・幅・高)
15,700 × 2,650 × 4,230 mm[4]
車体長 15,000 mm[3]
車体幅 2,600 mm[3]
車体高 3,633 mm[3]
車体 全鋼製[7]
台車 BW-78-25-AA[2]
固定軸距 2,030 mm[3]
台車中心間距離 10,200 mm[3]
主電動機 TDK-513-T[5]
主電動機出力 48.6 kW[2][5]
搭載数 4 個/両[5]
駆動方式 吊り掛け駆動方式[6]
歯車比 3.136[4]
制御装置 RPC-51[5]
制動装置 SME[5]
テンプレートを表示
単行時代のデオ600形(二軒茶屋駅旧上りホームにて)

京福電気鉄道デオ600形電車(けいふくでんきてつどうデオ600がたでんしゃ)は、京福電気鉄道1979年から1980年にかけて[2]デナ500形の下回りを流用して新製した[8]電車制御電動車)である。車両記号の「デオ」とは、「デ」が電動車を(ンドウシャ)、「オ」が車体の大きさ(大型 = オガタ)をそれぞれ意味する[1]1985年の叡山線分社化に際し、叡山電鉄に承継された。

概要

武庫川車両工業[2]製。デナ500形にはなかった発電制動も装備され[1]二軒茶屋駅より先の急勾配路線に入線できるようになった。デオ300形の経験から車体長15.0m・全長15.7mに抑えられ、以後の叡電車両の標準となった。車体はデオ300形類似であるがより角ばったものとなり[8]、前面は3枚窓貫通形、側面窓配置はdD5D5Dd(dは乗務員室扉、Dは客用扉、数字は扉間の窓の数)である。正面貫通扉上に2つ並んだ小型のヘッドライト[6]と、屋根上に並んだグローブ型ベンチレーターが特徴である。集電装置は当初よりパンタグラフである[7]

連結器はそれまでの車両の(並形)自動連結器から密着自動連結器(従来車ともそのまま連結可)に変更され、その後の全営業車に普及している。台車は抱き合わせ型ブレーキ(505 - 510)のものが選ばれており(一時期残ったデナ500形には振り替えて使用)その関係から601 - 604は元阪神881形のU形イコライザーの台車、605・606は元阪神831形の弓形イコライザーの台車を履いている(台車形式は同じ)。

塗色はデオ200形以来の京福京都本社時代の標準色であったクリームと緑のツートンカラーで、叡山電鉄発足後も同塗装で残った最後の旅客車両であった(事業用ではデト1000形が残存)。

大型化されたこともあり当初は主に単行で使用されたが[1]700系登場以降は番号順(601+602・603+604・605+606)の2両編成で使用されるようになった。なお、その後も単行での使用は考慮されており、1989年(平成元年)のATS取付は全車に実施され、運用離脱まで各車の単独営業運転が可能であった。

廃車

運用最終日のデオ603-デオ604(2008年撮影)
装飾された修学院行き最終電車

改造により冷房装置を搭載するよりも新車導入が有利とされ、比較的若い車齢にもかかわらずデオ900系に置き換えられる形で廃車が進んだが、同形式は計画変更で2編成のみで製造が打ち止めとなり、本形式は603+604の2両のみが残存した[1]。ただし、2004年(平成16年)1月13日の原則全列車ワンマン運行化に際してもワンマン機器は搭載されず[9]、定期運用に就くことはなく貸切列車などで使われるのみとなっていた。

その後、最後まで残っていた603+604も2008年(平成20年)11月1日をもって引退することとなり、同日には「さよなら600ラストラン」と題するさよなら運転が行われた。最後の出町柳~二軒茶屋往復運用および最終運転の出町柳発修学院行きには「さよならデオ600形」の装飾が車両の前後に施された。

運用離脱後も修学院車庫で休車のサボを出して留置されていたが、のちに廃車解体された。これにより、旧京福時代から継承した旅客営業車両、および吊り掛け駆動の旅客営業車両は叡山電鉄から消滅し、事業用のデト1000形を除いてカルダン駆動車に統一された。

脚注

  1. ^ a b c d e f g 『現有私鉄概説 叡山電鉄』、64頁
  2. ^ a b c d e 『カラーブックス 日本の私鉄24 近畿』、132頁
  3. ^ a b c d e 『カラーブックス 日本の私鉄24 近畿』、143頁
  4. ^ a b c d 『現有私鉄概説 叡山電鉄』、66頁
  5. ^ a b c d e 『関西地方のローカル私鉄 現況2 京福電気鉄道』、104頁
  6. ^ a b 『関西地方のローカル私鉄 現況2 京福電気鉄道』、101頁
  7. ^ a b 『関西地方のローカル私鉄 現況2 京福電気鉄道』、100頁
  8. ^ a b 『カラーブックス 日本の私鉄24 近畿』、21頁
  9. ^ 一部臨時運行の際は移動式の運賃精算機を車輌に乗せてカード関係の利用の際の処理を行っていた

参考文献




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「京福電気鉄道デオ600形電車」の関連用語

京福電気鉄道デオ600形電車のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



京福電気鉄道デオ600形電車のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの京福電気鉄道デオ600形電車 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS