効用関数の存在
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/17 15:27 UTC 版)
選好関係 ≿ {\displaystyle \succsim } が合理性を満たす(すなわち、完備性と推移性を満たす)ことは、 ≿ {\displaystyle \succsim } を表現する効用関数が存在するための必要条件である。 選択肢の集合 S {\displaystyle S} が有限の場合、選好関係 ≿ {\displaystyle \succsim } が合理性を満たすならば、 ≿ {\displaystyle \succsim } を表現する効用関数が存在する。したがって、選好関係が合理性を満たすことは、選好関係を表現する効用関数が存在するための必要十分条件である。 選択肢の集合が無限の場合、 ≿ {\displaystyle \succsim } が合理性を満たしていても、 ≿ {\displaystyle \succsim } を表現する効用関数が存在しない場合がある。例えば、選択肢の集合 S {\displaystyle S} がn次元の実数の集合 R n {\displaystyle \mathbb {R} ^{n}} である場合、その選択肢の集合上の辞書式選好(英語: Lexicographic preferences)は合理性を満たすが、それを表現する効用関数は存在しない。選好関係 ≿ {\displaystyle \succsim } が合理性に加えて連続性を満たしていれば、 ≿ {\displaystyle \succsim } を表現する効用関数が存在する。ただし、選好関係が連続性を満たさなくても選好関係を表現する効用関数が存在する場合があるので、合理性と連続性を満たすことは効用関数が存在するための十分条件ではあっても必要条件ではない。
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