加群の有理包
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/28 00:46 UTC 版)
すべての右 R 加群 M はその移入包絡 (injective hull) である極大本質拡大 E(M) をもつ。極大稠密拡大を用いた類似の構成の結果が、E(M) の部分加群である rational hull Ẽ(M) である。加群が真の有理拡大をもたず Ẽ(M) = M であるとき、加群を rationally complete という。R が右非特異であれば、もちろん Ẽ(M) = E(M) である。 rational hull は直ちに移入包絡の部分加群と同一視される。S = EndR(E(M)) を移入包絡の自己準同型環とする。すると移入包絡の元 x が rational hull に入ることと x が M 上 0 である S のすべての写像によって 0 に送られることが同値である。記号で書けば、 E ~ ( M ) = { x ∈ E ( M ) ∣ ∀ f ∈ S , f ( M ) = 0 ⟹ f ( x ) = 0 } {\displaystyle {\tilde {E}}(M)=\{x\in E(M)\mid \forall f\in S,f(M)=0\implies f(x)=0\}\,} 一般に、M 上 0 だが M の元でないある x で 0 でないような S の写像が存在するかもしれず、そのような x は rational hull には入らない。
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