中井汲泉とは? わかりやすく解説

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中井汲泉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/04 00:24 UTC 版)

なかい きゅうせん
中井 汲泉
生誕 中井 政治郎
1892年7月1日
京都府京都市上京区
死没 (1970-08-24) 1970年8月24日(78歳没)
国籍 日本
出身校 京都市立絵画専門学校
著名な実績 南部絵、染絵、郷土玩具
メモリアル 画碑(法泉寺)
影響を受けた
芸術家
竹内栖鳳
影響を与えた
芸術家
歌川豊国[1]福田隆、村田三樹二郎[2]

中井 汲泉(なかい きゅうせん、1892年7月1日 - 1970年8月24日[3])は、京都府出身の美術家図画教師である。本名は中井 政治郎[4]

来歴

1892年明治25年)7月1日京都市上京区に生まれる。京都市立絵画専門学校[注釈 1]に進み、竹内栖鳳らから日本画を学ぶ。2年生の時に文展の初入選を果たしたが、教師の目を通さずに出品したことから逆に叱責を受けた。翌年、教師に提出したものの、修正の指導に納得できず、それ以降は官展公募展を問わず出品することはなかった[4]

岩手県の旧制岩手県立盛岡中学校(現 岩手県立盛岡第一高等学校)から図画教員の勧誘がある。一度は固辞したものの、盛岡から訪ねて来た使いの者の「雪景色も、また良うござんすよ」の一言で赴任を決めた。1929年、37歳で盛岡中学校に着任。生徒たちに自由に創作させ、その個性を見守る指導方針を採った[4]。京都在住時には六代目歌川豊国に絵の手ほどきをし[1]、盛岡での教え子には福田隆や村田三樹二郎[注釈 2]らがいた[2]。教職の傍ら、岩手県産木材を使った郷土玩具の制作も行った。戦争の激化により授業が減少したことから、盛岡中学を退職[4]。戦後も盛岡に暮らし、岩手県の風俗や方言を県外に伝えることを兼ねて、「盛岡方言絵はがき集」を製作。滋賀県の民族絵画である「大津絵」に着想を得て、「南部絵」の制作を志した。一点ずつ筆で描く方法では量産が困難であったため、「染絵」の技法を採り入れた。1956年には作品を通じて岩手の民芸を全国に伝えた功績から、第9回岩手日報文化賞を受賞[6]。その年に京都に戻り、工芸喫茶「わびすけ」を開店。亡くなる直前まで染絵や絵はがきを中心とした創作活動を行った[4]

1970年(昭和45年)8月24日[3]、死去。享年78。27年間暮らした盛岡では飄々とした人柄で親しまれ、1974年の命日には教え子や友人らにより、盛岡市北山の法泉寺に画碑が建立された[7]。生誕130年にあたる2022年には、盛岡市先人記念館で企画展が開催された[2]

作風

ほのぼのした作風が特徴で[8]こけし土人形などの郷土玩具を制作[2]木綿の布に糊で図案を描き、染色して地の色を白く残す染絵の技法は福田隆にも影響を与えた[9]。1963年には、随筆『夢十夜』を著した[10]

著書

  • 中井 汲泉『夢十夜』中井汲泉随筆集刊行会、1963年。 [10]

脚注

注釈

  1. ^ 京都市立芸術大学
  2. ^ 1927年、岩手県大迫町(現 花巻市)生まれ。1968年に村田民芸工房を開いた[5]

出典

  1. ^ a b 歌川豊國”. 東京文化財研究所 (2000年11月13日). 2025年3月29日閲覧。
  2. ^ a b c d “盛岡市先人記念館で「中井汲泉」展 生誕130年、ほのぼのした画風を”. 盛岡経済新聞. (2022年4月6日). https://morioka.keizai.biz/headline/3524/ 2025年4月3日閲覧。 
  3. ^ a b 物故日本画家一覧”. UAG美術家資料棚 (2024年10月24日). 2025年4月3日閲覧。
  4. ^ a b c d e 盛岡の先人たち 第115回 中井汲泉”. 盛岡市教育委員会 (2009年7月10日). 2025年3月29日閲覧。
  5. ^ 村田三樹二郎物語(村田民芸工房)
  6. ^ 岩手日報文化賞 学芸部門・受賞者
  7. ^ 法泉寺について
  8. ^ 中井汲泉の世界 (PDF) (盛岡市先人記念館)
  9. ^ 街なかで、染絵作家・福田隆さんの作品と人柄にふれる」(PDF)『flamme』第28巻、盛岡ガス、2013年9月1日、1-2頁、2025年3月26日閲覧 
  10. ^ a b 夢十夜国立国会図書館サーチ



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